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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第二部

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〜回想 レックス〜

回想です。

 父上は国王として尊敬している。

 しかし、一つだけ不満がある。

 母様の事だ。


 氷の国は一夫多妻制度であり、夫が望めば、妻は何人いても問題ない。

 しかし、隣国の太陽の国は、夫と妻は一人ずつである。

 母様はそんな常識の中、氷の国へ第二王妃として嫁いだ。氷の国のバランスを保つ為の、政略結婚である。


 レックスは氷の国だと珍しい、赤髪だ。

 母様も赤い髪の毛だった。

 学校へ通い出すと、皆と違うことがよく分かった。いじめられる事はなかったが、裏で悪口を言われる事はあった。

 赤髪のこと、母様が太陽の国の出身のこと。レックスは、そんな事で悪口を言う奴らを無視していたし、気にもならなかった。自分には母も父も、義兄、義妹もいる。


 しかし、母は耐えられなかった。


 母はこの国の長くて寒い冬、親しい者が近くにいない事に苦しんでいた。レックスだけじゃ足りなかった。

 日に日に塞ぎ込む母様を、レックスも父上も見ていられなかった。


 しばらくして、母様は太陽の国へ帰ることになった。レックスは第一王妃の養子になった。

 母様はレックスに「ごめんね」と言って去った。その時からだろうか? レックスは何事も他人事のように、一歩下がって物事を見るようになった。


 父や義兄妹達とも距離を取った。義兄は自分からぐいぐい近付いてきたが。


 それから十年。


 魔法学園に通い始めたレックス。

 そこで出会ったのがオーレリアだった。


 他国から留学してきた彼女は、従者も連れず、一人で立っていた。臆する事もなく、自然体のまま。

 すごい能力を持っているのに、見せびらかす事もせず、噂話をされても気にしている様子はない。


 かっこいい。


 そう思った。

 何かと気になって、気付くと目で追っていた。親しくなるにつれ、レックスはよく笑うようになった。

 そして、彼女に隣にいてほしいと強く思うようになった。



 目が覚める。

 桜の花が見える。


 そうだ! オーレリアの膝枕で寝てたんだ!

「ごめん、重かったよね」


 隣にオーレリアがいた。彼女も寝ている。

 そんな無防備な姿に、自分を信頼してくれているようで少し嬉しくなる。


 ずっと一緒にいたい……


 そう思うと同時に、自分のもとから去った母を思い出してしまい、不安が顔を覗かせる。

 彼女の寝顔を愛おしく見つめるレックス。そっと頬にキスする。

 オーレリアは、変わらず気持ちよさそうに寝ている。


「オーレリア、そろそろ起きて?」

 肩を叩いて起こす。



 こんな毎日が続くようにと、心から願うレックスだった。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

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