表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/47

〜回想 魔犬〜

回想です。

 前のご主人は、妖精の国の森に住む管理人だった。



 城の近く、この森の湖のほとりには、十頭程の魔犬の群れが住んでいた。

 年老いた犬に、大きな犬、小さな犬。そんな群れの中に、産まれたばかりの子犬がいた。

 魔犬はどんどん数が減っている。いずれいなくなるのだろう。そんな事を知りもしない、子犬は母犬の胸の中で寝息を立てている。


「ワン!」

 一頭の魔犬が吠える。それに気付いた魔犬が次々と走って行く。

「おー! 元気だな」

 一人の男が湖に現れた。

 そんな騒ぎに気付いて、子犬も顔をあげる。

 人間が、じゃれついてくる魔犬を撫でている。

 魔犬は夜行性だ。しかし人間が来るときは、皆起き出して撫でてもらいに行くのだ。

 人間は、この森の中をウロウロ歩き回っては木や草花、土、湖の様子を見ているようだ。


 そのうち子犬も撫でられたくて、男が来ると走っていくようになった。

 しばらくすると男は、一人の少年を連れてきた。

「ワン!」

 少年も優しかった。子犬が走って行くと撫でてくれたし、一緒に走り回って遊んだ。


 一度、少年が夜に来たことがある。湖のほとりに座って一人で泣いていた。

 子犬はそばに行ってみた。


 少年は悲しそうな顔をして、子犬を撫でた。

「クゥーン」

 なぜか自分も悲しい気持ちになる子犬だった。

「君も一緒に悲しんでくれるの? 優しいね……」


 少年の足下に、白い花が咲いていた。いい香りに子犬が気付くと、少年もその花を見つけた。

「わぁ! これ月下美人だよ! 咲いた所、初めて見た!」

 少年は泣くのをやめて、花を見て楽しそうな声を上げた。子犬は、楽しそうに何か話す少年に嬉しくなった。


 それから、昼間に来る時も少年だけになった。そしてその内、少年は大人になり、腰が曲がっていった。

「ワン!」

 一緒に走り回ってくれた、あの少年はもういない。

 腰が曲がった男は、優しく魔犬達を撫でてくれた。そして、それからは誰も来なくなった。

 魔犬の仲間も次々にいなくなった。そして、住んでいるのは自分だけになった。


 子犬は仲間にも会いたかったが、一番は、一緒に遊んでくれた、あの少年に会いたかった。


 そんな時、人が沢山やってきて、自分は檻に入れられ何処かへ運ばれた。

 ここは暑い。家に帰りたい。一人は寂しい。

 だんだん子犬は、何も考えられなくなった。

 ただ白い花を見た事は、ずっと心の奥底にあった。

 それを見つけたら、あの少年は笑ってくれる……

 暗闇を歩いているような時間は、とてつもなく長く感じた。自分は生きているのか? 死んでいるのか? 全てが曖昧な中、突然輝く光が見えた。


「一緒に探すから、私の召喚獣になってくれる?」


 子犬は返事をしていた。

 力がみなぎる。自分は生きていたのだと分かった。


 ーーーー


「魔犬おいで!」


 主人は自分を撫でてくれる。ここには優しい人間が沢山いる。そして明るいこの時間でも行動できる。


「ワン!」

 魔犬はオーレリアの元へ、元気よく走っていった。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

評価、レビュー、ブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ