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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第二部

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13

 魔犬は、思っていることを分かってもらった事が、よっぽど嬉しかったようだ。


「この魔犬の言ってる、白い花って何だろう?」

 グレイスに聞いてみるが、

「それは分からんなぁ?」

 グレイスにも分からない事があるのか。

「この辺に花は無いし、とりあえず帰ろうか?」

 レックスが帰還を指揮する。


 ◇


 氷の城の庭で、魔犬は、エイラの召喚獣の白狐と共に走り回っている。


 城に戻って三日目、もう自分の家のように振る舞う魔犬。順応性が高いらしい。


 ここしばらく、砂漠や乾燥地帯に咲く白い花を幾つか咲かせてみたり、本を見せたりしたが興味を示さなかった。


「やはり城の菓子は一味違うな。このクッキーは最高だ」

 グレイスが端からお菓子を頬張っている。

「グレイス様は本当に、甘い物が好きですねぇ」

 エイラがクスクス笑っている。

「魔犬は大分慣れたようだな」

「そうだね。砂漠とは環境が全然違うのに、楽しそうで良かった」

 オーレリアが微笑む。

「いや、魔犬はもともと森に住んでいたからな」

「え?」

「何年も昔は、砂漠も森だったんだろうな」

 何気なく言うグレイス。

「じゃあ白い花って、森に咲いてる花かもしれない!」

「白い花?」

「うん。魔犬を発見した時に『白い花』って言葉が不思議と聞こえてきて、何故か私しか分からなかったんだけど……」

「それは、お主が妖精の国の出身だから聞こえたのだ。不思議でも何ともないぞ?」

「え?」

 グレイスは紅茶を優雅に飲んでいる。

「妖精の国の者は、妖精と話せるだろう? 魔犬も似たようなものだ」

「なんか説明、雑じゃない……?」

 グレイスはそんな事気にせず、次はマフィンを手にしている。

「グレイス! それ最後の一個でしょ? 私まだ食べてない」

 オーレリアが立ち上がる。

「年功序列だ」

 一口で食べてしまうグレイス。

「ああ! ひどい!」

 二人がお菓子を巡って争うのを、エイラが優しく見守るのだった。


 ◇


 オーレリアはお城の談話室で、何かを書いている。

「オーレリアここにいた! あれ? 宿題終わったんじゃなかったの?」

 エイラが話しかけてきた。

「グレイスが教えてくれた、魔犬の特徴を書いてるの。白い花を見つけるのに、役立つかと思って……」


 ・妖精の国出身

 ・森に生息

 ・夜行性

 ・鼻がいい

 ・人と意思疎通ができる

 ・群れで行動する


「特徴か、なんだか本当に犬なのね。あ、でも夜行性っていうのは犬と違うけど」

「そういえばそうだね……」

 夜に花を見つけるとしたら、よく見えないだろう。けど、鼻が効くなら花の香りを追えばいい。

「夜に咲く花、探してみる!」


 ◇


 栽培室が完成した。

 夏休みももうすぐ終わりだ。先生達は学園で準備を進めている。

 ファートム先生は、完成した栽培室を見学に来た。

「これが研究施設……!」

 感動しているファートム先生。


「先生、おはようございます」

 オーレリアも栽培室へとやってきた。

「おはようございます。オーレリアさんも見学ですか?」

「はい。あと、ファートム先生に聞きたい事がありまして」

「聞きたい事ですか? 何でしょう?」

 興味深そうにこちらを見る。

「夜に咲く花を探してるんです。ご存じないですか?」

 興味深い質問に、先生の瞳が光る。

「幾つかありますよ。月下美人、ヨルガオ、マツリカなど……どれも夜に開花します」

「へぇ、沢山あるんですね! その花の種が手に入ればいいんですが」

「行きつけの農園の方に聞いてみましょう。手に入ったらお知らせします」

「いいんですか?」

「私も咲いた所を見てみたいですし。オーレリアさんは、なぜ夜に咲く花を探しているのですか?」

「私の新しい召喚獣が、白い花を探してまして……どの花か調べてる最中なんです」

「新しい召喚獣ですか! やる事が突拍子もないですねえ!」

「あはは……成り行きで」

「丁度いいので、栽培室で最初に研究する植物にしましょう!」

 力強い味方が現れたのであった。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

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