表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/44

7

 食堂で、三人はルイの行動について話し合っていた。

「話しかけても逃げるなんて、よっぽど嫌なんですかね?」

 カイルが酷いことをさくっと言う。

「そんな……」

 ルイは顔を両手で隠して狼狽えている。

「照れてるって可能性もありませんか? まぁ、限りなく少ない可能性ですが……」

 オーレリアは助け舟を出しているつもりだ。

「可能性少ないの?」


「三人で恋愛相談か?」

 レックスがノックと一緒に現れた。

「レックス君、この二人酷いんだよ! 助けてよ」

 レックスは吹き出した。

「助けてって言われる姫って……」

「レックスも笑ってないで、何かアドバイスして?」

 オーレリアがお願いする。

「うん? 本人同士しかわからないことってあるだろうし、俺らが色々言ってもな」

「そんな事言わないでよ〜。女の子に慰めてほしいのに、口説くの禁止って言われてるし、僕もうどうしたら?」

「禁止されたんだ」

 ノックも笑っている。


「ルイ君がルビー姫に、ちゃんと気持ちを伝えたらいいんじゃない? ルイ君次第だよ」

 レックスがさらっと真っ当な事を言う。

「そんなかっこいい事言うけど、じゃあ、レックス君は婚約者様に気持ち伝えたの?」

 少し不貞腐れたルイが、レックスをジトっと見る。

「伝えたよ?」

 あっけらかんと言うレックス。

「好きなんだから、毎日伝えてもいいよ。なんなら今もぎゅっとしたいくらい……」

 レックスがオーレリアの頭を撫でる。

 オーレリアはレックスの突然の行動に心臓がはねる。

 周りが赤面する。

「レックス、恥ずかしいからやめて」

 オーレリアが俯きながら、両手でバツを作る。


 そんな姿をじっと見るルイ。

「僕頑張ってみる! こんなラブラブ見せられて、僕だってルビーの頭撫でたい!」

 と、レックスのおかげで決心したルイであった。


 ◇


 あの後、ルイはルビーを誘おうと幾度か頑張ったが、ルビーに避けられてしまうようであった。今までのルイの行動を考えれば、可哀想だが自業自得である。


「僕も頑張って、女の子を口説かないようにしてるんだ……」


 ここ数週間、ルイは以前とは別人のように女の子を口説いていない。ルビーが不安に思うような事は、極力しない事をモットーとしている。カイルやレックス、ノックといった男友達と一緒にいるようだ。時々オーレリアや、エイラが混ざるのは致し方ない。


 そうこうしているうちに、夏休みが近づいてきた。太陽の国へ帰る者は少なく、涼しい氷の国に残る者が多い。しかし、今年は寮が使用できない。王族は氷の城で一時的に滞在することになった。

 因みに、サン王子、ルイ、ルビー、従者達が城へ滞在予定である。


 レース先生の言葉で、夏休み前最後の授業が終わる。

「それでは明日から夏休みです。また休み明け、皆さんが元気に学園に来てくれる事を願っています」


 翌日、皆帰省を始めた。

 ルイは早速ルビーへと話しかける。

「ルビー、荷物持つよ?」

「結構です。自分で持てますので!」

「そっそう?」

 ルビーはさっさと馬車へ乗り込んでしまった。


 隣の馬車では、サン王子がエイラの手を取って一緒に乗っている。

 もう一つ隣は……カイルとノックが楽しそうに話している。荷物を馬車へ入れているようだ。


 婚約者であるルイも、後からルビーの馬車へ乗る。

「はぁ」

 無意識にため息をつくルイ。


 皆楽しそうでいいなぁ。


「ルイ様、そのため息は?」

 ルビーがこっちを怖い顔で見ている。

「え? 僕ため息ついてた?」

「はい。私との馬車が嫌なのですか?」

「いやいや、そういうわけじゃないよ。むしろ……やっぱり何でもない」

 ルイは外を見る。


 むしろ一緒にいられて嬉しいなんて、恥ずかしくて言えない。


「あ、レックスとオーレリアだ」

 外に二人が見える。オーレリアの荷物をレックスが持とうとして断られている。


 僕と同じだ。


 でもその後、レックスがオーレリアの手を取ると、荷物をさりげなくレックスが持った。手を繋いだまま、何か話しているようだ。オーレリアが何か言って、レックスは笑っている。


「いいなぁ」

 ルイは、また無意識に言葉が出ていた。


「ルイ様はオーレリア様が好きなのですか?」

「え?」

 ルビーがこちらを睨んでいる。

「レックス様が羨ましいようだったので」

「いや、羨ましいのは当たってるけど、そうじゃなくて」

 ルビーかこっちを見ているだけで、動揺してしまう。

「やっぱり。最近、女性を口説くのをやめたのも、本命が出来たからって噂、本当だったんだ……」


「出発いたします」

 ルビーの声と従者の声が被る。


 ルビーが下を向く。

 ルイはその姿に首を傾げる。

「ルビー?」

 返事がない。

 ルイは立ち上がり、ルビーの隣へ座る。

「ルビーどうしたの?」

 いつもの強気な彼女じゃない。まさか僕に嫉妬してくれてる? まさか……ね。


 触れてもいいものか……


 一瞬思案するルイ。ルビー相手だと、一つ一つの行動をいちいち考えてしまう。

 オーレリアに話しかけた時は、手を取るのに何の躊躇もなかったのに。


 そっとルビーの肩に触れる。

 ルビーは驚いたようで、こちらを振り向く。

「ごめん!」

 咄嗟に肩に触った手を退けて、謝るルイ。

 その態度に、ルビーは傷付いた顔をした。

「ルイ様は、私の事が怖いのですね……こんな私が婚約者なんて、本当に申し訳ありません」

 ルビーは頭を下げる。


 ルビーの意外な行動に、ルイは驚いた。

「違う、ルビーが怖いわけじゃないよ! 僕の行動で嫌われる事が怖いんだよ」

「え? 私に嫌われる事が?」

 ルビーがルイを、信じられないモノを見る目で見ている。

「うん、まぁ、既に嫌われてる気がするけど。皆んなにも言われたし……」

 ルイは頭を掻く。

「そんなことは!」

 ルビーが何か言いかけた所で、馬車が止まった。


「到着致しました。開けてもよろしいでしょうか?」

「はい」

 ルイが返事をする。

 二人の会話はそこで終わってしまった。


「ルビー、手を」

 ルイが馬車を降りて手を出す。

 ルビーは戸惑いながらも、そっと手を差し出した。

「……ありがとう」

 ルビーが上目遣いでお礼を言う。

 ルイは一瞬、時が止まったと思った。


 ルビーが僕の手を取ってくれた! しかもお礼を! ありがとうって言った!


 ルイはルビーの手を取ったままである。

「ルイ様?」

 ルビーが話しかける。

「もう少しこのままいたいな」

 つい本音が出てしまった。

 ルビーの顔がみるみる赤くなる。

「顔赤いよ? 暑いから、早くお城へ入ろう! 従者さん、荷物お願いしても?」

「あの!」

 ルビーが焦っている。

「お荷物の事はお任せください」

 従者は心得ているとばかりに、胸に手を当てお辞儀する。

「ほら、ルビー行こう」

 ルイとルビーは手を繋いだまま、お城へと入っていったのだった。


 その姿を、馬車からオーレリアとレックスが見守っていた。

「手を繋いでたね」

「手を繋いでたぞ」

 同時に同じ事を言う二人。

「一歩前進だな!」

 レックスが頷く。

「そうだね!」

 二人は微笑ましい気持ちになるのであった。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

評価、レビュー、ブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ