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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第二部

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32/45

8

 城での滞在は、前回に比べれば緊張しなかった。

 国王と王妃は、別荘に滞在中で不在であったし、レックスの計らいか、メイドは部屋にいなかった。


 城の談話室で、レックスとサン王子、エイラとオーレリアが宿題をしている。

 ひと段落し、少し休暇中である。


「太陽の国からの留学が終わる日の夜に、毎年パーティーが開かれるから、それは我慢して出てね?」

 レックスに教えられ、渋々頷くオーレリア。

「王族のパーティーとは違って、学園主催のパーティーだから、ドレスはカジュアルな物を選ぶのよ!」

 エイラがオーレリアに指示する。

「エイラと同じのでいいよ」


 もうドレスを選ぶのはこりごりだ……


「お揃いってことね! それは楽しそう!」

 オーレリアの言葉に、エイラはなんだかノリノリである。

「この休み中にお買い物行きましょう。ドレスも選びたいし、小物も必要よね!」

「ドレスは特注じゃないの?」

「カジュアルなパーティーだから、特注のドレスは浮いちゃうわ。既製品を選んだ方が無難なの!」

「へぇ」


 以前のオーレリアは、パーティーは全て欠席していた。出席しなくても咎められなかったし、出たいと思ったこともなかった。

 今も面倒なことに変わりはないが、友達が一緒に準備をしてくれるのは、何だか楽しい。


「話してたら楽しみになってきちゃったわ! 明日にでも買い物行きましょう? ちょっと手配頼んでくるから!」

 エイラは従者を探しに部屋から出ていく。

「ちょっとエイラ、一緒に行くよ」

 サン王子が急いで追いかける。

「エイラ楽しそう」

 オーレリアが微笑む。

「オーレリアのドレス姿、俺も楽しみだな」

 レックスが何か言っている。


「私達の旅行はいつ行ける?」

 オーレリアがレックスに問いかける。

 驚いた顔をしたレックスが、こっちを見た。

「……楽しみにしててくれたの?」

 少し照れながらも頷くオーレリア。

「そっか」

 優しく微笑むレックス。

「旅行って初めてだから、楽しみなの」

「なんだ、ついに俺を好きになってくれたのかと思ったのに」

 笑いながら冗談を言うレックス。

 言葉に詰まるオーレリア。


 レックスの事、嫌いじゃないし、隣にいるのが当たり前って今じゃ思ってるけど……

「あの、レッ」


「オーレリア! 明日買い物行けるって!」

 エイラとサン王子が部屋に戻ってきた。

「そ、そう! よかった」

 言いかけた言葉を飲み込む。

「じゃあ、宿題ちゃっちゃと進めちゃおう!」

 ウキウキのエイラである。


 びっくりした……


 レックスはこちらを一瞬見たが、それぞれ宿題を再開するのであった。


 ◇


 オーレリアとエイラは変装していた。

 街へ買い物へ行く為である。

 しかし姿勢がいいのと、エイラは特に品がいいので、結果、いい所のお嬢様スタイルで出かける事にした。

 途中まで馬車で行き、あとは歩きである。


 変装したとはいえ、女二人での買い物はリスクを伴う。護衛のカイルとノックがやはり、私服姿で一緒に行く事になった。

 サン王子もレックスも行きたがったが、それだともっと目立ってしまうので諦めてもらった。

 本当は護衛をもっと増員したかったようだが、

「いざとなったらグレイス召喚する!」

 というオーレリアの言葉に、この人数で決定になった。


 街歩きは楽しい。

 お店が沢山あるのを見ているだけで、心躍る。やはり大都市は違う。


「ここね」

 目当てのお店に着き、ドレスを選ぶエイラ。

「これとこれ、どっちがいいかな?」

「んー…、こっち!」

「アクセサリーは向こうのお店見てみよう」

 楽しく買い物も終わり、店を出る。


 人が多く集まっているお店がある。

「あいす? 何かしら?」

 エイラが首を傾げる。

「何でも、夏にぴったりな冷たいデザートらしいですよ?」

 カイルが後ろから情報を教えてくれた。

「冷たいデザート……食べたい!」

 オーレリアが目をキラキラさせる。

「いいわね! あのお店で一休みしましょ!」


 四人はカフェのテラスで、アイスを食べる。

「おいしい……」

「溶ける〜!」

「すみません、自分お手洗いに行ってきてもいいでしょうか?」

 ノックが申し訳なさそうに伝える。

「大丈夫よ」

 エイラが頷く。

「ありがとうございます!」

 走っていくノック。


「こんな昼間から、悪い事考える奴なんていないだろうし」

 カイルが言ったその時、

「いるんだなぁ。それが」

 後ろから声がした。


 フラグかい!


 悪い顔のごろつきが三人現れる。

「その娘二人置いてけ。いい額で売れそうだ」

 カイルが立ち上がる。

「そんな細いやつ一人で何ができる?」

 三人ともナイフを取り出す。


 周りで悲鳴が聞こえる。


 一人がカイルに襲い掛かろうとする。

 オーレリアが静かに呼ぶ。

「グレイス!」

 一瞬で三人は動かなくなった。氷漬けになっている。

「は、早い……」

 カイルが驚いている。

「主人はまた危ない目にあってるのか? 怒りを感じるが……」

 ふわふわ浮きながら、グレイスが振り返る。

「楽しい時間を邪魔されて、怒ってるだけ」

 そういうと、オーレリアは椅子に座ってアイスを食べ始める。

「せっかくのアイスが溶けちゃう!」

 カイルとエイラも、急いでアイスを食べはじめる。


 街の人達は呆然とその光景をみていたが、やがて歓声が聞こえた。

「凄い魔法だ!」「一瞬で氷になった」「かっこいい、あのお姉ちゃん」


「どうしたの? わっ! 凍ってる!」

 何も知らないノックが戻ってきた。

「後で牢にでも入れといてください」

 オーレリアが指示する。


 後々、アイス好きの凄腕魔女と街で噂になり、レックスが笑いを堪える事になるのを、この時はまだ知らない。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

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