表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/45

6

 休憩時間。

 サン王子とエイラは仲良く手を繋いでいる。

 一緒に食堂で昼食をとるようだ。


「エイラ様、嬉しそう」

「そうですね、なんだか微笑ましいです」

 カイルとオーレリアは、二人をこっそり見守る。自分のことは置いといて、人の恋路を見守るのは楽しい。


「何見てるの?」

 ルイが話しかけてきた。

「いや、あの、友人が嬉しそうなのは嬉しいなって」

 オーレリアが伝える。

「はい。仕える方が幸せなのは嬉しいです」

 カイルは大きく頷いている。


 サン王子とエイラを見るルイ。

「サン君が女性といるのが不自然すぎる……婚約者かぁ」

 しみじみ話している。

「ルイ様の婚約者の方はどんな人なんですか?」

 オーレリアが聞いてみる。

「僕の婚約者は、僕のことが好きじゃないんだ」

 ルイが俯く。いつもの彼と違って、少し寂しそうに見えた。

「その姫は太陽の国の方ですか?」

「あぁ。彼女も氷の国に留学してる」

「え! この学園にいるんですか?」

 驚くオーレリア。婚約者がいる前で、女の子に声をかけまくっているルイ……それは嫌われるに決まっている。

「別のクラスだけどね。僕に関心なくて、見えてないんじゃないかってくらい」


 もしかして……


「ルイ様、その婚約者様の気を引こうとして、女生徒にちょっかい出してます?」

「え? なんで分かるの?」

 オーレリアは少しふらついた。

 なんて乙女心がわかっていない王子なのだろう?

「僕も婚約者と仲良くしたいんだけど、無視されるし、軽蔑されてるし……」


 いやいや、自業自得では?


「ルイ様、根本的に考えを改めないと、今のままだと婚約者様に嫌われて終わりですよ?」

「そうなの? 僕こんなにかっこいいのに?」

「すごい自信だ……!」

 カイルが驚いている。

「女の子に声をかけるのを控えてください」

 オーレリアは直球で伝えることにした。

「そんなあ。最初は気を引こうとしてたけど、女の子好きなのは本当だし……」

 ルイはうだうだしている。

「女々しいですね……」

 カイルがボソッと本音を漏らす。

「というか、嫉妬させたいんでしょうけど、逆効果ですよ? 婚約者に好かれたいなら、他の女の子口説くの禁止です!」

 オーレリアがはっきり伝える。

「分かったよ。君の言う通りにするよ。そのかわり今度デートし……」

「しません!」

 オーレリアは言い終わる前に拒否した。この王子、雑な扱いで良さそうだ。

「オーレリア様、はっきりしててかっこいいです!」

 カイルが横で頷いている。

「ルイ様も見習った方がいいですよ?」

 そして失礼なことを言っている。

「ひどいなぁ」

 ルイがしょんぼりしている。


 そんな様子を見守っていたレックス。

 オーレリアの拒否っぷりに、笑いを我慢していた。ルイ君を言い負かすって、本当に自分の婚約者は面白い。


 ルイの婚約者は隣のクラスにいた。


 名はルビー・マルグリット。太陽の国の貴族令嬢である。

 肩までの赤い髪の毛が目を引く。意志の強そうな瞳は黒である。背が小さくて、目が大きくて、とても可愛い姫だ。しかし、

「ルビーは気が強いんだ。僕も睨まれて怖くて、うまく誘えない」

 ルイはさながら、うさぎのように縮こまっている。

「さっきまであんなに自信満々だったのに、しっかりしてください」

 オーレリアに叱責されるルイ。


 三人はあの後、ルイの婚約者を見ようということになり、隠れて婚約者を見ている最中である。


「可愛らしい姫ですね!」

 カイルは素直である。

「僕の婚約者だぞ!」

 ルイがカイルを一瞥する。


 ……自分が言いよるのはいいのに、ルビー様が言い寄られるのは嫌なのか。


「ほら、ルイ様! 早くルビー様を昼食に誘って来てください?」

 オーレリアが急かすが、ルイはもじもじしていて中々行かない。

「私や他の女の子にはグイグイ行けるのに、本当に同一人物ですか?」

 オーレリアは呆れる。

「オーレリア、代わりに行ってきて」

 ルイが手を合わせる。

「私が行ったらややこしい事になるでしょ?」

 駄目な弟の面倒をみる、姉の心持ちである。


 そんな事をしている間に、ルビーは友達と行ってしまった。


「もう、ルイ様行っちゃいましたよ?」

 カイルがやれやれといった表情で首を振る。

「私達も食堂行きますか」

 オーレリアとカイルは先に立って歩き出す。

「待ってよ〜、僕も行くよ〜」

 全然王子っぽくないルイが付いてくる。

 なぜか三人でお昼を食べる事になったのだった。


 ◇


 ルイは、王子としてチヤホヤされて育った。

 小さい時から自分の思うがまま。第二王子の自分は第一王子ほど厳しくされることなく、怒られる事はほとんどなかった。


 城の庭にはバラが咲いている。

 七歳のルイは何気なく、バラの花びらをむしって遊んでいた。

 大人達は優雅にお茶会をしている。ルイの行動を見ている者はいても、咎める者はいない。


「バラが可哀想だよ?」

 振り向くと小さい女の子が自分を指差している。

「せっかく綺麗に咲いたのに、取ったら駄目なんだよ?」

 その大きな瞳はこちらをじっと見ていた。

 自分より小さい女の子からの指摘に恥ずかしくなるルイ。

「う、うるさいな! 別に僕の庭なんだからいいだろ?」

 狼狽えるルイ。

「このお城もお庭も、国のものよ。あなたの物じゃないわ?」

「そ……そんな」

 言い負かされて黙るルイ。その通りである。自分の幼稚な行動は王子としていけない事だ。この小さい女の子は、もうそれを当たり前に思っている。

「バラにごめんなさいは?」

 大人びた口調でルイを叱る女の子。

「……ごめんなさい」

 小さい声で言うルイ。

「よくできました!」

 女の子がニッコリ笑う。

 その笑顔がとても可愛いくて、ルイは目が離せなかった。

 それはルイの一目惚れであり、その小さい女の子が、ルビーだった。


 自分の婚約者があの女の子だと知って、ルイはとても嬉しかった。だが、同時に不安になった。

 あんなに小さかった時の出来事、きっとルビーは覚えてないだろう。覚えていたとしても、駄目な王子という印象を与えてしまっている。婚約なんて嫌だと思われていたらどうしよう。


 婚約者として決まった後、パーティーで顔を合わせた。それが去年である。

「ルビー姫、第二王子のルイ・アンリオです」

 大人になった自分を見てほしくて、王子らしくルビーに自己紹介したルイ。

「ルビー・マルグリットです。宜しくお願いします」

 ルビーは自分を見ることなく、それだけ話すとどこかへ行ってしまった。


 それからも、仲良くなりたくて顔を合わせると話しかけるのだが、いつも逃げられてしまう。


 そして、今に至る。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

評価、レビュー、ブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ