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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第一部

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3/23

3

「おはようございます。私はレース・アズール、召喚の先生です」

 まるで物語の女神さながらの女性が教室に入ってくる。

 髪の毛は床につきそうなくらい長くて、薄い水色、睫毛が長い青い瞳。

 分厚い本を教卓に置く。ドンと重厚な音がした。


 あの本、もしかしてめちゃくちゃ重いのでは?


「本日は召喚獣を出してみましょう。魔力のある皆さんは、何かしら召喚できるはずです。中庭へ移動します。大きな召喚獣が現れた時に教室だと壊れちゃうので、念の為です」

 全員中庭へ移動する。

 妖精の国だと、召喚されるのは大体妖精だ。大きな召喚獣は見た事がない。

 きっと私も妖精が召喚されるはずである。


 レース先生が何かする仕草をすると、空中に呪文が現れた。

「この呪文を唱えます。魔力を込めて、詠唱してください」

 生徒が魔力を込めて詠唱を始める。


 オーレリアも魔力を込める。

 レースは目を見張った。妖精の国の者は元々魔力量が多いが、オーレリアはさらに、とてつもない魔力量だ。

 呪文を詠唱すると、足元に魔法陣が現れる。

 オーレリアの魔法陣は、クラスの誰よりも大きい。

 ポンっとした音があちこちで聞こえる。

 召喚獣が現れた音だ。


 エイラ王女は、真っ白で綺麗なキツネが。

「まぁ、綺麗な召喚獣」「ずっと見ていたいわ」

 周りが美しさのあまり、ため息をつく。


 レックス王子は、深紅の鱗をした巨大な龍。

 召喚した途端どよめきが広がり、悲鳴を上げている者もいる。龍は大人しく頭を垂れて、レックスに撫でられている。

「すごい!」「あんなに大きな龍見た事ない!」


 オーレリアは……ん? 人?

「我が名は、グレイス。氷の妖精だ」

 周りの生徒も困惑している。

 人と変わらない姿、違うのは羽があることくらいか。若い男性姿で、杖を持って冠を被っている。なんだか全体的に白い。

「妖精にしては大きい気がします」

 オーレリアが疑問に思うのは当然だ。通常、妖精は小さい。大きくても掌くらいの大きさである。

「うむ。妖精王だからな。まあ、お主は妖精の国の姫であろう? 妥当な召喚だ」

 そして偉そうな感じだ。


「氷の妖精の王……」


 オーレリアは呟きながら考える。

 そんなものをただの留学生が召喚してしまっていいのだろうか? この国の大事な妖精なのでは? この妖精王がこの国の気候とか司ってるのでは? 召喚しちゃいけない偉い人なのでは?


「あらら〜! 王様召喚しちゃうなんて、オーレリアさん凄いわねぇ……!」

 レース先生が走ってきた。

 そして氷の妖精王へと跪く。

「氷の妖精王、お姿をこの目で見る事ができる時が来るとは思いませんでした」

「面をあげよ。

 私も何千年も生きているが、召喚される日が来るとは驚きだ。まぁ、楽しそうなので少し付き合おうと思うぞ」

 氷の妖精王はちらりとオーレリアを見ると、楽しそうに笑った。


 鋼の心を持つオーレリアも、流石に少し焦ったが……

 そもそも召喚獣が、「召喚されても良い」と思わないと成立しないはずだ。


 お茶目な方なのかな?


 ということにした。


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