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学園を案内されつつ、寮へと辿り着いた。
少ない荷物を置く。
制服と最低限の服しか持ってこなかった。そもそも姫としての公務もしていないオーレリアは、ドレスも持っていない。必要であればこちらで仕立ててもらおう。
寮は一人部屋だ。
通常は二人部屋だが、他国の姫という事で特別待遇との説明を受けた。おそらく、従者と一緒の部屋にできるよう、広いこの部屋になったのだろう。しかし、オーレリアは一人である。これは己を悲しむ所なのだろうが、彼女はニヤニヤが止まらない。
まさに、好きにやり放題である。
荷物から植物の種を取り出す。
両手に包み魔力を込めると、魔法陣が足下に現れ、優しい金色の光が手の中に溢れた。
両手を開くと、青い小さな花が幾つも現れた。
土も、水も、太陽さえなくても植物が芽吹き、魔力の強さによって枯れる速度も変わる。妖精の国独自の魔法である。
オーレリアは、テーブルの上に花を置いて眺める。
「ふふふ、かわいい」
そう言うと部屋を見回す。
この棚にはツルを這わせて、窓辺は花で埋めよう! バスルームには花瓶を置いて…
部屋をうろうろすると、鞄から新たな種を沢山取り出す。それぞれの種を、決めた場所に置くと手を組んで合わせる。先程よりも多く魔力を込める。大きい魔法陣が現れ、体から光が溢れ出て部屋中を包み……部屋は植物で溢れていた。
オーレリアは満足気である。
今日からここが私の城だ!
ーー
翌日から授業が始まった。
事前のテストでクラス分けがされていた。オーレリアはAクラス、つまりは一番頭の良いクラスである。
妖精の国の姫という肩書きは、周りの生徒の噂に十分だ。そして、このクラスには噂になる生徒が集まっていた。
クラスへ入り席に着く。何人かの女生徒が入ってきた。
あれは氷の国の姫、エイラ様、第一王女である。
銀色の髪はきれいにまとめられている。瞳は紫で、肌が雪のように白い。後ろにいるのはお友達か、従者か、取り巻きか……
オーレリアはエイラへ挨拶をする。
「エイラ様、お初にお目にかかります。
妖精の国より参りました、オーレリア・セイブルと申します。この度は、我が国へ留学の打診をいただいた事、光栄に思っております。
どうぞ宜しくお願いいたします」
礼をするオーレリア。
仮にも王女の彼女、基本的な教養はある。
「ご丁寧に、こちらこそありがとうございます。私はこの氷の国の第一王女、エイラ・ラグーナです。我が国で、有意義な時間を過ごせる事を祈っております」
エイラも丁寧にお辞儀する。
後ろの方達は、何故か勝ち誇った顔をしている。一体何様? である。
席に戻ると、隣の席に人が座っていた。
彼は王子だ! オーレリアが気付いて挨拶する。
王子もこちらへ挨拶を返す。
「オーレリア姫、ご挨拶が遅くなりすみません。私はこの国の第二王子、レックス・アンリオです。宜しくお願いします」
彼は長い赤髪で瞳は金色だ。髪の毛は無造作に結えられている。無造作なのに様になるのは、彼の顔面が整っているからである。
レックスの後ろに控えている生徒も頭を下げた。従者なのであろう。
確か、彼の兄が第一王子だったっけ……
このクラスには王族が三人いることになる。
他のクラス、もとい同じクラスの生徒も噂の的だ。
オーレリアが席に着くと同時に、予鈴が鳴った。




