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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第二部

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26/45

2

 次にオーレリアが目を覚ますと、横にレックスが座っていた。

「レックス?」

「オーレリア大丈夫かい?」


 自分の手を見る。いつもの私の掌の大きさだ。さっきは子どもになっていた。今これは現実か?


 次はベンチに座っているようだ。目の前には満開の桜の木がある……


「オーレリア、君の魔力を見せてくれないか?」

「いいよ。どんな魔法で見せる?」

「この鏡に魔力を込めてくれ」

 オーレリアは集中して自分の魔力を感じる。


「レックスは私の事どう思う?」

 突然オーレリアは質問する。

「え? 素敵な婚約者だと思ってるよ」

 オーレリアはニヤッと笑う。

 早口で呪文を唱え、レックスに向けて爆風を飛ばす。

 もろに当たったレックスは、持っていた鏡を落とし、飛ばされていく。

 オーレリアは咄嗟に鏡を拾い、ポケットに隠した。

 空中で体勢を立て直し、レックスが止まる。


 空飛べるなんて! 羨ましい!


「なぜ分かった?」

 見た目はレックスだが、声が変わった。あのしゃがれ声だ。

「これは現実じゃない。今桜は散っているはず。それに……質問の答えはハズレ、あなたは誰?」


「操れないとは……つまらないな!」


 周りの空間が変わる。木々が立ち並んでいる。

 学園の林の中のようだ。

 声の主の見た目が変わる。黒いローブを着た男だは不敵に笑っている。


「俺は魔術士だ。お前は落ちぶれた王女だろう? それなのに、それなのに、うまくやりやがって!」

 急に声を荒げる男。

「妖精の国で一番下のプリンセス。俺は自分より下のヤツを見ているのが好きなんだ。お前は姫とは程遠い扱いだっただろ? 見ているのに、ちょうど良い暇潰しだった。

 それなのに、他国へ追い出されたと思ったら、王子と婚約だと? ふざけるな! 俺より下のお前が、俺より幸せになっていいはずがない」


 オーレリアはダラダラと話す男を、冷めた目で見つめていた。


 逆恨みというか何というか……それより、グレイス様は……


「私は昔から幸せだった。もちろん今も。王子と婚約したから幸せになるわけじゃないの。勘違いしないでほしい」

 オーレリアは召喚の呪文を唱える。

「オーレリア! 良かった! やっと戻れた!」

 グレイスが光ながら現れ、現れついでに男に攻撃した。

「くっ!」

 間一髪避けたらしい。腕の一部が凍っている。


 騒ぎを聞きつけて、騎士団がこちらに向かってくる。

 それを察知した男、

「今日はこの辺で勘弁してやる!」

 男が悪役そのもののセリフを言ったその時、上から炎が降ってきた。紅龍だ!


「焼け焦げろ」


 レックスが激しい怒りを、静かに男へ向けている。

 オーレリアは息を呑んだ。

 このままだと焼けてしまう!

「グレイス!」

 グレイスは氷で男を包んだ。焼き焦げる前に、彼は氷漬けになった。

「あ、危なかった……」

 オーレリアがホッとする。


 龍からレックスが飛び降り、早足でオーレリアへ向かってくる。


 怒ってる?


「レックスごめん! でも焼けちゃったら、どうやってこの国に忍び込んだとか、何の目的でとか全部分かんなくなっちゃうから……」

 レックスはオーレリアを強く抱きしめた。

「……よかった。無事で……」

 その声は小さく、泣き出しそうだった。

「……レックス」

 オーレリアもレックスを抱きしめた。

「!」

「お返し」

 オーレリアが照れながらも笑う。

 それを見て、レックスも優しい顔で笑った。


「オーレリア、魔道具の気配がするが……」

 グレイスが指摘する。

「あ!」

 オーレリアはポケットから鏡を取り出した。

「それは?」

 グレイスとレックスが注目する。

「あの男が、私にこの鏡に魔力を込めろって言ってたの。これ、何だろう?」


 追いついてきた騎士団が男を拘束している。

「調べてもらおう。ノックいるか?」

「はいっ! オーレリア様、ご無事でよかったです……」

 ノックは敬礼しながら涙ぐんでいる。

「心配してくれてありがとう」

 オーレリアは微笑む。

「これを調べてほしい。男が持っていた物だ」

「はっ!」

 ノックは鏡を受け取り、騎士団の元へと戻っていった。


「オーレリアも一旦城へ行こう。ゆっくり休むんだぞ?」

「うん、わかった。あのレックス? そろそろこの手……」

 レックスはオーレリアの手をずっと握っている。

「駄目だ。また俺の前からいなくなったら耐えられない。安心できる所へ行くまでは離さないからな!」

 すごい剣幕だ。

「ひぇ……」

「オーレリア、レックスはとても心配してたんだ。それくらい許してやれ」

 グレイスが浮かびながら苦笑している。

「グレイス様!」

「さっき呼び捨てにしただろう? 様はいらん」

「気付いてたんですね……」

 バレていないと思っていたのに。

「我は帰る。疲れた。用があれば呼べ」

 辺りが光り、グレイスは消えた。


 移動魔法でレックスと共に城へ着く。

 まだ手を離さない。

「もう大丈夫じゃない?」

「オーレリアの部屋へ行くまで駄目」

「私の部屋?」

「婚約者の部屋があるのは当たり前だ。将来ここに住むんだからな。因みに、俺の部屋と繋がってる」

「え?」

「まぁ、鍵は出来るから大丈夫だろ」

 オーレリアは言葉が出ない。


 手を繋ぐだけでこんなに挙動不審になるのに、部屋が隣で、繋がってるってどういう事!


「まぁ、俺はまだ仕事が残ってるから部屋にはいないよ。安心して休んで。彼女をお願いする」

「お任せください!」

 メイド達にオーレリアを任せ、やっと手を離したレックスは部屋を後にした。


 幻術を受けていた彼女は、医者の診察を受けた。

「これ弾いてるね、幻術かからなかったでしょ?」

 おじいさんのお医者さんは感心している。

「幻術弾くって、今まで初めて見たよ。君、魔力多いんだね。今後の対策になるかもしれないから、弾く方法教えてくれない?」

意見を求められるオーレリア。

「方法ですか、えっと、おかしいなって所を指摘してですね。自分を強く持つというか。あ、でも眠らされちゃうのはどうしようもなくて……」

 なぜか、お医者さんと幻術について語り合う事になったのだった。

読んでいただき、ありがとうございます。

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