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その日は散々だった。
ベッドから起きると、メイド達が待機していて、朝の準備のアレコレを全部やってくれるのだ。
昨日は疲れて果てて寝てしまったので、寝起きでシャワーを浴びせられた。メイドが一緒に入って来そうになり、一人でできると何とか断り、シャワーから出たら髪の毛を乾かされる。着替えが無いと思っていたら、
「こちらから好きな服を選んでください」と、キラキラすぎるワンピースを幾つも紹介され、着替えも手伝う始末である。どこに行くわけでもないのに、化粧も少し。
仕上げは朝食である。
もちろん用意されており、とても美味しかった! のだが……案内された部屋には王妃と国王がいたのである。オーレリアは卒倒しそうになるのを、何とか思い止まった。
後からエイラ、太陽の国の王子、レックスが来たので、まだ息をつけた。
今までの人生で、一番気を使った朝食になったのであった。
朝食を食べ終え部屋から出ると、レックスが声をかけてきた。
「オーレリア、調子はどうだ?」
「もう大丈夫、あの、昨日はありがとう……」
「いや、うん。じゃあ」
それだけ言うと去って行った。
少し挙動不審なレックスだ。どうしたのだろう?
そして今、人生初のお茶会をしていた。
「オーレリアとお茶したいなって思ってたの!」
給事やメイドはいるが、朝ごはん程緊張しない。相手はエイラである。
「エイラ、体調は大丈夫? 昨日は眠れた?」
あの船に乗っていたのだ。怖かったに違いない。
「ありがとうオーレリア。大丈夫! ぐっすり眠れたわ」
意外と図太い神経なのか。
お菓子にケーキ、サンドイッチ……
「美味しい〜」
「うふふ。オーレリアは本当に美味しそうに食べるわね! これもどうぞ」
「ありがとう〜」
遠慮なく食べる。
「あ、それと、太陽の国のお土産があるの!」
エイラが取り出したのは、リボンのついた箱である。
「そんな可愛らしい物もらえないよ……」
遠慮するオーレリア。
「……中身が太陽の国の植物でも?」
「ありがとうエイラ!」
箱を奪い取る勢いのオーレリアである。
「わかりやすい……」
今までにない休日を堪能し、寮へと戻ったオーレリアであった。
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レックスは寮のベッドでゴロゴロしていた。ノックはまだ城だ。報告やら、何やら残っているのだろう。
今朝のオーレリアは、綺麗だった……
いつもの制服や、簡素なワンピースではなく、姫に相応しい日常用のドレス姿。胸元が大きく空いていた。
どこを見ていいか分からず、受け答えがおかしくなってしまった。
「はぁ」
ため息をつくレックス。
自分の婚約の話はまだ正式ではない。エイラ様は正式に婚約したと聞いた。近々パーティーでも開かれるだろう。
いつ頃になるのか……
自分から言った方がいいのだろうか? でも断られたら? そもそも国同士で了承しているのだから、相手に了承を取る必要はないが。
会ったことのない者ならば、もっと事務的にすんだだろうに。
レックスは立ち上がる。悶々とするのは性に合わない。
「走るか」
レックスは伸びをすると寮を出た。




