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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第一部

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16/24

16

 その日は散々だった。


 ベッドから起きると、メイド達が待機していて、朝の準備のアレコレを全部やってくれるのだ。

 昨日は疲れて果てて寝てしまったので、寝起きでシャワーを浴びせられた。メイドが一緒に入って来そうになり、一人でできると何とか断り、シャワーから出たら髪の毛を乾かされる。着替えが無いと思っていたら、

「こちらから好きな服を選んでください」と、キラキラすぎるワンピースを幾つも紹介され、着替えも手伝う始末である。どこに行くわけでもないのに、化粧も少し。


 仕上げは朝食である。

 もちろん用意されており、とても美味しかった! のだが……案内された部屋には王妃と国王がいたのである。オーレリアは卒倒しそうになるのを、何とか思い止まった。

 後からエイラ、太陽の国の王子、レックスが来たので、まだ息をつけた。

 今までの人生で、一番気を使った朝食になったのであった。


 朝食を食べ終え部屋から出ると、レックスが声をかけてきた。

「オーレリア、調子はどうだ?」

「もう大丈夫、あの、昨日はありがとう……」

「いや、うん。じゃあ」

 それだけ言うと去って行った。

 少し挙動不審なレックスだ。どうしたのだろう?


 そして今、人生初のお茶会をしていた。

「オーレリアとお茶したいなって思ってたの!」

 給事やメイドはいるが、朝ごはん程緊張しない。相手はエイラである。

「エイラ、体調は大丈夫? 昨日は眠れた?」

 あの船に乗っていたのだ。怖かったに違いない。

「ありがとうオーレリア。大丈夫! ぐっすり眠れたわ」


 意外と図太い神経なのか。


 お菓子にケーキ、サンドイッチ……

「美味しい〜」

「うふふ。オーレリアは本当に美味しそうに食べるわね! これもどうぞ」

「ありがとう〜」

 遠慮なく食べる。

「あ、それと、太陽の国のお土産があるの!」

 エイラが取り出したのは、リボンのついた箱である。

「そんな可愛らしい物もらえないよ……」

 遠慮するオーレリア。

「……中身が太陽の国の植物でも?」

「ありがとうエイラ!」

 箱を奪い取る勢いのオーレリアである。

「わかりやすい……」


 今までにない休日を堪能し、寮へと戻ったオーレリアであった。


 ーーーー


 レックスは寮のベッドでゴロゴロしていた。ノックはまだ城だ。報告やら、何やら残っているのだろう。


 今朝のオーレリアは、綺麗だった……

 いつもの制服や、簡素なワンピースではなく、姫に相応しい日常用のドレス姿。胸元が大きく空いていた。

 どこを見ていいか分からず、受け答えがおかしくなってしまった。

「はぁ」

 ため息をつくレックス。

 自分の婚約の話はまだ正式ではない。エイラ様は正式に婚約したと聞いた。近々パーティーでも開かれるだろう。


 いつ頃になるのか……


 自分から言った方がいいのだろうか? でも断られたら? そもそも国同士で了承しているのだから、相手に了承を取る必要はないが。

 会ったことのない者ならば、もっと事務的にすんだだろうに。


 レックスは立ち上がる。悶々とするのは性に合わない。

「走るか」

 レックスは伸びをすると寮を出た。

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