14
日曜日、空に何やら黒い影が見える。
「あれが空飛ぶ船か〜」
「すごいな! 今はあんな物があるとは!」
隣で感心しているのは、氷の妖精王グレイスである。珍しい物はぜひ見てみたいと出てきたのだ。
レックスの情報によると、エイラがあの船に乗っているらしい。
影が大きくなるにつれて、他の生徒も気付き始めた。外に出ている生徒もいる。
オーレリアとグレイスは、寮の部屋から空を見上げている。
「お城に向かってるんだよね?」
それにしては低くないだろうか?
「そのはずだ……プロペラが回っているが、一部が動いてないぞ?」
ーーーー
サンとエイラは窓から外を見ていた。
「あれが氷の国のお城か!」
「はい。そのそばにある広い敷地が魔法学園です」
ドアが激しく叩かれる。
「サン様!」「エイラ様!」
外が騒がしい。何事だろうか?
「入れ」
サンが応じる。
「恐れ入ります! この船のエネルギーが足りなくなっています、このままだと……」
「このままだと?」
エイラは悪い予感がした。
「落ちます」
一気に血の気が引く。
「この寒さのせいか……」
サンは冷静だ。
「ええ。思ったよりも太陽エネルギーを消費していたようです」
「エネルギーの補給は難しいだろう。不時着するように調整するしかない」
「学園の方に応援を要請できないでしょうか?」
サンと従者が話している。
「エイラ、大丈夫だ!」
サンがエイラを励ます。
「はい!」
エイラも腹を括った。
ーーーー
『全生徒は魔法学園敷地内へ入ってください! 繰り返します……』
学園内に大きな音で声が聞こえる。
魔法で学園中に響いているようだ。外にいる生徒が、慌てて屋内へ走っていく。
「やはりあの船、落ちているな」
グレイスが呟く。
「何とかしないと! グレイス様!」
二人は外へ出る。
同じくレックスとノックも外に出てきた。
船はどんどん高度を落としている。
「おそらく、城ではなく学園の園庭に不時着させる気でしょう!」
ノックが分析する。
「俺が見てくる!」
レックスが紅鱗の龍を召喚する。
龍に軽々と飛び乗ると、空高く舞い上がった。
「やるのう」
グレイスが感心している。
「グレイス様! 感心してる場合ではないです。あの船、落とすわけにはいきません」
オーレリアがグレイスを諭す。
「さて、ならどうする?」
グレイスの瞳が光る。
試しているのか?
「船の中は大丈夫そうだ! ノックの言う通り、園庭に不時着だ! 周辺に人がいないか、空から確認する! ノックは先生に報告!」
そう伝えると、また龍と共に舞い上がる。
龍の背に乗ったレックスは、さながら騎士のようだ。
ノックは屋内へ走り去る。
「主人の婚約者はできる奴だな」
グレイスが何か言っている。
オーレリアはとりあえず無視する事にした。
「グレイス様手伝って!」
オーレリアは林の方へと走る。林の中は雪が多い。なかなか進まない、靴が沈む。吸い込む空気が冷たい。
その間にも船は地上へ近付いてくる。
もし、うまく不時着したとしても、船への衝撃は計り知れない。学園だって無事ですむかどうか……
オーレリアは目を瞑り、魔力を込める。エイラの顔が浮かぶ。
足下の魔法陣は、林の中全体がすっぽり入る程の大きさだ。林全体が光に溢れた。
その瞬間木々が伸びる。小さな新芽が瞬く間に木へと変わり、細い小枝が大木になる。それらは空へと伸びていく。
「掴め」
オーレリアが命ずると、木は魂があるかのように船へ向かう。
船はもうすぐそこだ。
木々が絡め取ろうと枝を伸ばす。枝が弾かれる。
船上では船が落ちる恐怖と戦っていた。
「船内へ避難を! 何かに捕まって、頭を低くして! 衝撃に耐える準備を!」
サンが指揮を取り、乗組員に指示している。
「エイラ様、きっと大丈夫です! いざとなったら私がかかえて飛び降ります!」
カイルが励ましてくれている。
「飛び降りる……」
エイラは目が回りそうである。
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