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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第一部

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12/28

12

 オーレリアは窓から星を見ていた。

 それというのも、夕方、氷の妖精王が召喚していないのに、突然現れたのである。


「よぉ、主人」

 手を挙げるグレイスは、相変わらず偉そうだ。白い髪の毛、白い羽根、そして美しい。

 周りの生徒が注目する。

 図書室で勉強中に現れた氷の妖精王、場違いである。

「わぁ! あれが氷の妖精王!」「美しい!」「すごいかっこいいわっ」


「グレイス様、突然どうされたのですか?」

 こんな人の多い所に出てきて、迷惑である。

「主人にいい事教えようと思ったのだ」

 腕を組んで空中に浮かんでいる。

 ざわざわし始めた。場所を変えた方が良さそうだ。

 広げていた宿題を急いでしまうオーレリア。

「グレイス様、出ましょう!」


 図書室から出て、人のいない方へと早足で進む。廊下の端で立ち止まる。

「この辺なら人もいないですね! それで、どうしたんです?」

「わざわざこんな所まで来なくとも。我は気にしないぞ?」

「私が気にします」

 手を挙げるオーレリア。

「そうか、肝に銘じておく。で、今日な、オーロラが見られるぞ」

「オーロラ! すごい! 本当ですか?」

 まだ見た事がない自然現象である。妖精の国だと見られなかった。

「何時に? どの角度で?」

 圧に少し距離を取るグレイス。

「夜中だ。十一時くらいか? 角度は月の側から出てくるようだ」

「へぇ〜! グレイス様はそんな事もわかるんですね!」

 目を輝かせるオーレリア。

「まあな。この国の自然現象については大体分かるぞ!」

 胸を張る。意外と褒めて欲しいタイプなのかもしれない。

「教えてくれて、ありがとうございます!」

「妖精の間では、オーロラを恋人と見ると、幸せになれるという言い伝えがある。主人も誘うといい」

 そう言うと光を輝かせて消えた。

 マイペースな妖精王である。


「オーレリア! 大丈夫か?」

 レックスがどこからか走ってきた。肩で息をしている。

「大丈夫とは?」

 ポカンとするオーレリアである。どちらかといえば、レックスの方が大丈夫じゃなさそうだ。

「あれ? さっき氷の妖精王が俺の部屋に現れて、オーレリアの所へ急げって……」

 寮から走ってきたのか! けっこうな距離だ。

「私は何も危険な事はないから……遊ばれた?」

 最後は小さな声になる。

 グレイスならやりそうだ。

「そっか! ふーーっ」

 大きく息を吐くレックス。

 さすがに怒りそうだ。

「レックス、ごめ……」

「よかったーー!」

 大きな声で遮られる。

「え?」

「いや、なんかあったのかと思ったから! 何もないならよかったよ」

 レックスは笑っている。

「……怒らないの?」

 何故笑っていられるのだろう?

「怒る? あぁ、そうだな。遊ばれたのは怒る所か。でも安心が勝っちゃって、怒る気失せた」

 そう言うとレックスは腰をおろす。

 そんな彼をまじまじと見てしまう。

「……レックスって変だね」

「え? ひどっ! 心配して走ってきた人に言う言葉じゃない」


 心配? 私を?


 オーレリアはそれに気付いて驚いた。私の心配をして走ってきたのか……

 これはお礼をするところなのか?


「あ、ありがとう?」

「どう致しまして?」

 二人は顔を見合わせる。

「ぷっ! 変なの」

「ふふ、そうだな」

 笑い合う二人を夕陽が照らす。

「レックス帰ってたんだね、家に泊まらなかったの?」

「あぁ。城から学園近いし、寮のが気楽でいいからな、それに……」

 オーレリアをチラっと見る。目が合うがすぐ逸らすレックス。

「ん?」

「いや……氷の妖精王は、なんで俺にオーレリアの所へ急げなんて言ったんだろ?」

「……オーロラ?」


 まさか、オーロラをレックスと見ろという事だろうか?


「何か言った?」

「うん、グレイスが教えてくれたんだけど、今日オーロラが出るんだって」

「おぉ! 珍しいな! 何時に? どの位置だ?」

 さっきの自分と同じ質問をするレックス。

「夜十一時頃に、月の側だって! 私初めてみるの! 楽しみ〜」

 話しているうちに、またテンションが上がる。瞳を煌めかせながら話す。

「ふふ、オーレリアは楽しそうでいいな」

「そう? 絶対見なきゃね! 寝ないようにしないと!」

「……一緒に見るか?」

 前を向いたまま話すレックス。

「ん? 二人で?」

「俺が寝ないように見張っといてやれるぞ」


 なるほど!


「いいよ。どこで見る?」

 その答えに拍子抜けしたのか、レックスがオーレリアをみる。

「え?」

「建物の中がいいけど、そんな時間に校舎開いてないよね?」

「まぁ……」

 考え込む二人。で、結局ーー



「ノック起きろ! そろそろ見える時間だ!」

 レックスが同室のノックを起こしている。

「僕オーロラ別にいいですよ。夜勤の時に見た事あるし……」

 そう言うと従者はまた眠りにつく。

 ため息をつき、一人窓から月を見る。


 外での観察は、真面目に凍ってしまうと却下。校舎は鍵がかかっていて入れない。

 見る場所が思いつかず、それぞれ部屋から見ることで落ち着いた。


 オーレリア起きてるかな……?


 妖精の国の姫の事を考える。

 金の髪に金の瞳。初めて見た時、妖精そのものだと思った。気になって隣の席に座ったのだ。

 自由に好きな事をしている。周りの目は二の次、肩書きに動じない、今まで会ったどの姫とも違う。彼女は面白い。


 オーロラが急に現れた。


「出た!」

 オーレリアは大興奮である。楽しみで眠くもならなかった。

 次々に色が変わっていく。ゆらめくカーテンのようだ。大きく広がっていく。

「わぁ……」

 目が離せない。


 レックスも見てるかな?


 オーロラが消えるまで、二人はそれぞれ窓の外を見つめていた。

読んでいただき、ありがとうございます。

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