10
入学してから初めての週末。
オーレリアは部屋で、植物を愛でながら水をあげていた。
「かわいい〜! 今日も元気だね〜」
彼女の魔力で咲いた花達は、通常の植物の寿命よりも倍近く持つ。
姫なのに従者もいない彼女は、一人で休日を満喫中である。
コンコン!
ドアをノックする音。
「はい!」
「オーレリアいる? エイラよ」
ドアを開けると、エイラが大きな鞄を持って立っていた。
「おはよう。どうしたの?」
ジョウロを持ったままのオーレリアに驚くエイラ。
「おはようオーレリア。私、今から太陽の国へ視察に行くことになって、挨拶に寄ったの」
「太陽の国へ? 今から?」
「ええ。お父様ももっと前もって伝えてほしいわ! 月曜日には帰ってくるから」
「はい。気をつけて!」
手を振りドアを閉めようとして、
「荷物持つの手伝う」
一緒に出口まで行くことにした。
「ありがとう!」
女子寮の外にカイルが待っていた。
「おはようございます。エイラ様、オーレリア様」
「おはようカイル」「おはようございます」
「なんでまた太陽の国へ?」
オーレリアが訊ねる。
「多分、婚約の件だと思うわ。近々紹介するとか言ってたから」
エイラがため息混じりに口にした。
「あまり乗り気じゃないんだ?」
「それはそうね。だって、知らない人だし、恋だってした事ないのに、いきなり将来の結婚相手だなんて言われても実感ないわ」
王女って大変なんだなぁ。
そんなこんなで、出口に着いていた。
「馬車が待ってますね!」
カイルが足早に向かう。
「それじゃあ、行ってくる」
「はい。気をつけて!」
オーレリアは手を振って見送る。
馬車は雪を散らしながら走り去っていく。
馬車が見えなくなると、寮に戻ろうと歩き出した。
ちょっと温室の方行ってみようかな。
鍵が開いてたり、先生でも居れば入れるかもしれない!
が、残念。閉まっている。
トボトボ寮へと戻る。
「オーレリア、何してるんだ?」
声のする方を見ると、レックスと従者らしき人とが歩いていた。
「今エイラを見送ってきた所で。温室を一目見ようと思って。……そちらの方が風邪ひいてた従者さん?」
オーレリアが首を傾げる。
「エイラ様は視察だったか。うん。彼が俺の従者」
「初めまして、オーレリア姫。レックス様の従者のノック・ブラウンです」
そう言うと敬礼する。サラサラな茶色の髪の毛が風になびいている。目は黒くて丸い。
「はじめまして。オーレリア・セイブルです。風邪は大丈夫ですか?」
可愛らしい見た目に心配になる。
「はい、もう平気です! ご心配ありがとうございます。お恥ずかしい……」
頭を掻いている。
女の子みたいだな。
「俺も父上に呼び出されている。慌ただしい週末だ……ノック行くぞ。オーレリアまたな」
レックスが手を振り、ノックは一礼し、出口の方へ向かっていった。
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