濡れ衣
先生に校長室に来るよう呼ばれた武
呼ばれるような事をした心当たりの無い武に
いったい---何があったのか
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「失礼します」
小声で一礼して、恐る恐る校長室へ足を踏み入れる
部屋は全体的に木造の造りになっていて妙に落ち着く空間になっている
先生達は少し豪華な茶色のソファーに腰をかけ座っていて
そこに一つだけ鉄パイプで組み立てられたような椅子があるが、おそらく僕の座る席があれなのだろう。
「そこに座ってくれ」
「はい」
担任の先生に言われた通りに席に着く
これから何が始まるのだろうか。次に口を開けたのは校長先生だった
「立花 武、ここに何故呼ばれたかわかるか?」
全く分からない、悪いことをした心当たりなんて一切ない
「分かりません...。」
「そうか。ならこれを見てくれ」
鞄をガサガサしながら何かを取り出す
鞄の中にある物がいったい何なのか、正直怖い。
校長先生はボールペンのような物を取り出し机に置く
「これに見覚えあるよね?」そこにあるのはただのボールペン
このボールペンに見覚えなど一切無い。
「いえ、僕は知らないですね」
本当の事を述べる
「そうかい、これを見てもまだシラを切るのかね」
校長先生が何を言っているのかさっぱり分からない。
教頭先生が席から立ち上がりノートパソコンをテレビに繋げている
テレビに電源が入り、クリック音と同時に画面に映し出された動画が再生される。
----衝撃が走った
そこに映し出されたのは、プールの着替えなどに使用される女子更衣室。
次の瞬間、僕と同じクラスの女子達がどんどん更衣室に入ってく。”盗撮”の2文字が脳裏をよぎる。汗が止まらない。
動画は止められる事無く再生される、先生達の前で女子中学生が裸を晒している
肌を隠して着替える者もいるが、半数以上が胸や下半身を隠さず着替えている
これを撮影したのは僕じゃない、それは自分自身が一番知っている
落ち着け。 立花 武 。
「ちょっと飛ばします」
教頭先生のクリック音が異常なまでに大きく聞こえる
校長と担任は鋭い目つきで睨んでくる。僕はテレビ以外の所を見ることができず頭の中でどう話をすればいいか考えていた
テレビに映っているのは間違いなくボールペンに付いている小型カメラの映像
それを更衣室のどこかに仕掛け、誰かが盗撮をしていた所まで分かった、僕はその盗撮をした張本人と思われているに違いない事も分かった。
まてよ、犯人が盗撮したカメラを設置したなら取りに戻ってくるはずだ
再び動画に意識を戻す
---すると
死角から犯人と思われる影がチラッと動画に映り込んだ。カメラ付きのボールペンを握って小走りで走り出したのが映像から分かる。向かう先は教室だろうか、犯人は部屋の扉を開けて席に座って、机の中にボールペンを入れた様子が映像に映る
画面に映るのは数学の教科書、名前らしき書体が教科書に書かれているがピンボケしていてよく見えない。
「まさかな、、」
不安交じりに小声を漏らす
今にも心臓が押しつぶされてしまいそうで...
------次の瞬間
ピントがどんどん合っていき
”立花 武”の名前が書かれた教科書が画面に大きく映し出された
次に続く




