闇の手
武の住む、新横町と伊多良木町の間には小さな山がある
トンネルは開通していないため、少し遠回りに行くことになる
「今日も暑いなぁ~」
--伊多良木町に行くためバス停に向かっていた
僕の自転車は電動自転車といって、少しの力だけで前にグイッと進むことができる
普通の自転車なんて乗ってられない、あれこそ動く化石だろ。
庶民を小馬鹿にしてるうちにバス停に着く
---8時23分
携帯を翳して運賃を支払う
ピロリン 音を確認しバスの一番奥の一番端の席に座る
この時間になっても人がいない事は珍しいな
運転手以外誰もいない。何故だ
僕以外の誰もバスに搭乗する事無くバスが動き出した、走り始めた途端空気が変わる
まるで、閉じ込められ逃げ出す手段が無い絶望感を与えられたみたいだ
-なんだこの重い空気...。
水に濡れた服を着ているかのように、全身が重くなる
気分が悪い、、、車酔いの要領で外に目を配る。そこで初めて気づく
バスの走行速度がおかしい、、、軽く80kmは超えているであろう
体がとっさに動き
「おい、運転手!速度下げろ危ねぇだろが」
怒鳴るような声を掛けるが反応はない
あの糞運転手殴りに行ってやる
本当は軽く呼びかけるだけだが頭の中ではすごい光景になっている
2、3歩歩き出した所で
何かにぶつかる衝撃音が聞こえると同時に
ふわっ--重力がこの空間から消えた
僕は何が起きてるかすぐに分かった、窓から見える白いガードレールは突き破れている--トラックが道路から飛び出した事をすぐに理解する。
トラックの飛び出した道路は下まで30mはある
まず--助かることは無いだろう
---すると
黒い服を着た女子高生ぐらいの女の子が前方の席から姿を現す
香ッ!?とっさに声が出る
「かおりっ!!」
「ごめんね、、、武君」
彼女が僕の手を取った瞬間衝撃が走る
ガッシャァァァン!!ドン!
----*ようこそ*こちらの世界へ




