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銀河魔導機戦記 〜断罪された悪役令嬢とともに、最強魔導機で銀河を統一する物語〜  作者: 蒼井 halu
第一章 金狼と魔導機アリエス

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038.

王国軍が放った魔導砲の残滓をコットン・アーマーで吸収し、魔導砲ラムレイに魔力を込めた。


「アリエスに魔導砲を放させるなっ!」

「魔導機は、まだか!」

「まだです!追いつきません!」


ギルベルトは、もう手遅れだと悟った。要塞の懐に入られたのである。


レイディアントは、魔導砲ラムレイの照準を合わせる。照準は、ガルガンチュア要塞の要塞砲バニッシャーである。王国軍の主砲を集め、自身の銀河一の魔力を込めた渾身の一撃。


「マズい!撃たせるなっ!」


アレクシスは、手遅れだとは分かっていても、言わずにはいられない。アレクシスは、ようやぬ動き出したが、もともといた位置が悪く、アリエスまでたどり着かない。共和国軍も、動きが遅かったため、アリエスにたどり着かない。要塞防衛施設は、王国軍の怠惰な整備により機能しない。


「墜ちろっ!」


レイディアントだからこそ、可能だった。レイディアントにしかできなかった。


ガルガンチュア要塞に一筋の光が走る。

その光は、王国軍が誇るガルガンチュア要塞を難攻不落にした要塞最強の兵器である要塞砲バニッシャー。


多くの共和国軍を葬りし要塞砲であり、これから未来は王国軍を葬る予定であった最悪の兵器。その兵器に、アリエスから放たれた光が直撃する。


誰もが、その光景をスローモーションで見えてしまう。それほど、ありえない光景が目の前で起きたのである。


光は、要塞砲バニッシャーに直撃し、光を更に集め、大爆発を起こす。要塞砲バニッシャーだけでなく、多くの要塞防衛施設も誘爆していく。


ガルガンチュア要塞は、多くの防衛施設が機能不全となり、難攻不落の要塞ではなくなった。


共和国軍将兵は、もう言葉を失うしかない。

共和国軍が占領した王国軍が誇る難攻不落のガルガンチュア要塞は、占領してから僅かな時間の間に、要塞砲バニッシャーを破壊されたのである。王国軍を間抜けと笑った自分たちが、間抜けと笑われる状況になってしまったのだ。


そして、ガルガンチュア要塞内部でギルベルトが率いる共和国軍司令部では、主砲消失、要塞防衛施設の連鎖爆発、要塞内部での大火災などの被害報告が次々に届き、ギルベルトの参謀たちの顔は青ざめていた。


アレクシスは、新型魔導機レオに搭乗しており、思わず、自身の膝を叩いてしまった。唇を噛み、アレクシスは心の底から悔しい気持ちで溢れていたのである。


ただし、共和国軍の中で、ファルコン傭兵団の団長であるロジャーだけは、大笑いしていた。金も宝も大好きだが、破壊も大好きなロジャーは、もともとガルガンチュア要塞が破壊されるのを見てみたかったのである。だからこそ、要塞砲バニッシャーが破壊されたことが楽しくて仕方なかったのである。


「ははははははははは!面白ぇ!レイディアント、最高だぜ!もともと王国軍のものなのに、王国軍自らが壊しやがった!馬鹿すぎるぜっ!」


ロジャーの周りにファルコン傭兵団が集まってくる。


「団長、そんなに楽しいのかい?」

「当たり前だろ!自分たちの怠慢で要塞を奪われて、自分たちの怠慢で作った穴から、主砲を吹き飛ばしやがったんだぜ!笑わずにいられるかよ。」

「団長ー、たしかに。王国軍も共和国軍も、馬鹿だ。」

「ほんと、馬鹿すぎるぜ。あー、笑った。やっぱ好きだぜ、レイディアント!!」

「えっ?薄い本系?」


ロジャーが楽しめる相手は限られている。

銀河中を駆け回り、帝国のジークフリートのように戦闘の天才と戦ったこともあり、共和国のアレクシスとも戦ったことがあるが、どちらもロジャーとは気が合わないタイプで戦闘を楽しめなかったのである。


ロジャーは、レイディアントがロジャー寄りの感性を大事にするタイプと気付いており、同じ土俵で戦える相手だと認識していた。その相手が、ロジャーが考えていたように、ガルガンチュア要塞の主砲を破壊したのである。


ロジャーが操縦するジェミニに、アレクシスの通信が入る。


「何故、動かなかった?」

「そりゃ、こっちのセリフだ。考えすぎて動けなかったなんてこたぁ、ねぇよな?」

「認めるさ。あまりの予想外の連続に、私は足を止めてしまった。」

「なら、俺も同じさ。てめぇの質問は、愚問ってやつだ。」

「いいや、私は確信している。貴様は、あえて動かなかったのだろう。」

「やれやれ、疑り深い坊っちゃんだな。俺だって予想外の出来事に止まることもある。まぁ、安心しな。アリエスは俺様がぶっ壊してやるからよ。」


ロジャーにとっては、心の底から自分を楽しませてくれる相手なのである。ずっと追いかけ回すつもりなのである。ロジャーは、心の底から探していた相手こそ、レイディアントなのだと確信していた。金よりも、宝よりも、レイディアントに夢中になっていたのである。


「貴様がアリエスを破壊するだと?不可能だな。」

「はぁ?」

「私が先に討つからだ。」

「俺様が先に決まっている。」

「いいや、私だ。」


アレクシスも、またレイディアントに執着していた。アレクシス自身も、何故、ここまでレイディアントに執着するかが分かっていない。レイディアントに執着するアレクシスとロジャーがいる戦場に、レイディアントはいるのである。レイディアントへ包囲網が敷かれ始めた。


「全魔導機に告ぐ。アリエスを囲め。攻撃も近づかなくてもよい。私が討つ!」

「ファルコン傭兵団!てめぇらは、穴を塞ぎやがれ!甘ちゃんな共和国軍の尻拭いだっ!そして、俺様がアリエスをぶっ壊してやる!」


アレクシスとロジャー。この時代に傑物の二人が、レイディアントに襲いかかるため、魔導機を動かす。


新型魔導機ジェミニは、ロジャーの専用機であり、敵の思考を読む魔導機である。だが、レイディアントは何故か思考が読みづらく、読んだとしても、反射的に行動を変更する。つまりは、ロジャーとレイディアントの戦いにおいては、互いの魔導操縦士としての技量が競うことになる。


新型魔導機レオは、アレクシスの専用機であり、圧倒的近接高火力の魔導機である。アリエスが速度で上回るため、アリエスに攻撃を当てることがアレクシスの魔導操縦士としての技量を問われることになる。


この時点で、ロジャーもアレクシスもそう信じていた。二人は、まだ新型魔導機の性能を低く見てしまっているのだが、この時点では誰も気付けない。


アレクシスの副官であるリュカは、アレクシスとロジャーの会話を聞き、馬の合う二人だと思いながらも、アレクシスのために必要な情報を整理していく。確定情報と、不確定情報と、しっかりと分けながらアレクシスにデータ提供するのだ。リュカがアレクシスに渡した情報では、アリエスは完全に単機であり、新型魔導機タウロスすらも連れていないため、アリエスを破壊する絶好の機会である。


「アレクシス・アークライト。魔導機レオ、出る!」

「リュカ・フェリオ。魔導機キャンサー、出ます!」

「ロジャー・ファルコン。魔導機ジェミニ、出るぜっ!」


新型魔導機に搭乗するアレクシス、リュカ、ロジャーが、レイディアントのみに向けて動き出す。


その様子をレイディアントは、しっかりと見ていた。要塞砲バニッシャーを破壊した瞬間に、すぐに魔力を使った索敵をし、アレクシス、リュカ、ロジャーの動向を確認していたのだ。レイディアントは、すぐに奪脱出したかったのだか、魔力量が低下しており脱出が困難であったため、自らが放った魔導砲の魔力を吸収する動きに出ていた。レイディアントは、止まってしまっていたからこそ、共和国軍の包囲を許してしまったのである。


共和国軍とファルコン傭兵団に囲まれ、新型魔導機三機がレイディアントを襲うという絶体絶命の状況となっていた。


「脱出は、不可能だな。なら、やることは決まっている。」


レイディアントは、自身の魔力を高めていく。そして、アリエスを最高の状態で動かせるように、心も魔力も整えた。


「迎え撃つ!」


レイディアントは、ここにきて武人のように、堂々とした。ここで討たれるつもりなど微塵もなく、共和国軍を打ち倒すつみりなのである。まさに威風堂々とした姿で、アレクシス、リュカ、ロジャーを迎え撃とうとしていた。


ガルガンチュア要塞再奪取作戦は、レイディアントによる突撃により、要塞砲バニッシャーと大部分の要塞防衛施設を破壊した。そして、ここからは、艦隊VS艦隊、魔導機VS魔導機の戦いである。


いよいよ、始まる。

銀河史に刻まれる金狼の産声は咆哮となり、銀河中に轟かせることになるのであった。

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