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銀河魔導機戦記 〜断罪された悪役令嬢とともに、最強魔導機で銀河を統一する物語〜  作者: 蒼井 halu
第一章 金狼と魔導機アリエス

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033.敗北

王国軍が誇る難攻不落のガルガンチュア要塞の陥落。要塞駐留艦隊の司令官であるブラッドリー准将は、要塞が陥落したことの言い訳ばかりを考えていた。ガルガンチュア要塞を守るための要塞駐留艦隊が不在の間に、要塞が陥落したのである。責任問題になるのは当然であった。


「ありえない。私は悪くない。悪いのは、常識外れの共和国軍だ。」


ブラッドリー准将は、誰かのせいにしたかった。しかし、適当な相手がいなかったのである。自他ともに認める大失態であった。


さらには、ガルガンチュア要塞だけでなく、共和国軍の銀獅子アレクシスと、ファルコン傭兵団の団長であるロジャーが、要塞駐留艦隊の旗艦を狙って突撃してきているのである。


降伏を口に出す前に、レイディアントが抗戦の宣言をしており、降伏が受け入れられるような状況には見えなかった。


試造星帆戦艦ルミナス・ヴェールから通信が入る。その画面には、王太子ルシオンの元婚約者であり、ヴァレンタイン公爵の娘であるセレスティア・ヴァレンタインが映し出されていた。


「こちら、試造星帆戦艦ルミナス・ヴェール。共和国軍は、こちらで止めます。准将は、速やかに駐留艦隊を集結させてはいかがですか?要塞を取り戻そうとする動きは、必要でしょう。」

「要塞を取り戻せる?そんなこと出来るわけがない。」

「なら、その素振りも必要では?これでは、失態のみが報告されますよ?私は、そう父に報告します。」


ブラッドリー准将からすれば、セレスティアは小娘同然である。だが、ブラッドリー准将は権威に弱いのだ。公爵に目をつけられるのだけは避けたかった。


「私は、映えある王国軍人である。要塞を陥落されたからといって、すぐに負け犬になるつもりはない。王国軍、すぐに集結せよ!一戦、交える!」


セレスティアは、通信を閉じる。その後ろでは、マイナンが、暖かい目で見ていた。


「これで、よろしかったのですか?」

「よいのじゃ。まだ、挽回のチャンスはある。そのためには、駐留艦隊の再編が必要だからの。」

「ここから、巻き返せるものなのでしょうか?」


マイナンは、宙域図を見ながら、答えた。


「儂には、巻き返せるかは分からん。だが、銀獅子アレクシスとファルコン傭兵団のロジャーが、要塞から離れておる。何かが起こせるかもしれん。」

「私は、レイディアント様が無事であれば、それだけで良いのですが、そうも言ってられないようですね。」

「そうじゃの。試造星帆戦艦ルミナス・ヴェールで駐留艦隊の旗艦を守る。難行だとて。」

「ご指示をお願いします。」

「承った。」


試造星帆戦艦ルミナス・ヴェールの帆に黄金の光が溢れて始める。


既存の宇宙戦艦と全く違うコンセプトの戦艦であるため、その姿は異様である。


この時代の戦闘は、艦隊による魔導砲を打ち合うも魔導障壁が阻む。そのため、魔導障壁を破壊するほどの魔導砲を撃ち続けるか、魔導機で艦隊に強襲をかけ、艦隊に直接攻撃をするかが主流である。


試造星帆戦艦ルミナス・ヴェールの魔導障壁は、通常の宇宙戦艦よりも圧倒的に硬く魔導砲を弾く。


「魔導砲、発射!」


さらには、試造星帆戦艦ルミナス・ヴェールから放たれる魔導砲は、他の宇宙戦艦とも一線を画すほどの一撃となっていた。


その理由こそ、宇宙戦艦にはありえない帆の力である。


変態科学者エリシアの趣味と横領で作った宇宙戦艦は、その性能を発揮する。帆が、宇宙に漂う魔力を吸い上げ、力に変えていくのである。宇宙に魔力が漂う限り、理論上は無限の導力を持つ戦艦であった。


「ひゃはー。やっぱり、私の理論は正しい。映える、映えるー!」


その変態科学者エリシアは、艦長席に座るセレスティアの真面目な顔に興奮している。エリシアは、美女が大好きであり、セレスティアを見て、興奮していたのである。もはや、科学よりも美女という本当に忠実な科学者は、いつものように騒がしくしていた。


何にせよ、試造星帆戦艦ルミナス・ヴェールが共和国軍の艦隊を足止めし、ブラッドリー准将が搭乗する旗艦を後ろに下がらせ、王国軍再集結の時間を作ったのである。


そして、局地的な戦闘として、王国軍の新型魔導機アリエスとタウロスは、共和国軍の新型魔導機レオとキャンサーとジェミニの戦いが起こっていた。


レイディアントとアレクシスの会話が始まる。


「まさか、新型魔導機レオに銀獅子アレクシス殿が乗ることになるとは思いませんでしたよ。」

「私も驚いている。だが、この魔導機は、まるで私に乗るために誕生したかのように、私を受け入れてくれたのだ。」

「それは、思い込みでは?」

「思い込みかどうかは、すぐに分かるさ。」


一方、リーチェとロジャーの会話も始まっていた。


「レオとキャンサーは、まだ分かりますが、ジェミニだけ毛色が違くありませんか?野蛮な色合いにしか見えません。」

「お嬢ちゃん、野性味と言って欲しいもんだな。」

「野性味?なんか、俺様風を出そうとして、ただただ下品な感じがします。」

「てめぇ、ぶっつぶす!」

「あら、野蛮ですね。」


副官であるリュカ・フェリオは、新型魔導機キャンサーに乗りながら、周囲を警戒していた。そこに飛び出してきたのは、不死身のイェーガーである。


「隙ありなんだよ!」

「隙なんて、ありませんよ。」


新型魔導機キャンサーから魔導砲が放たれる。

イェーガーが乗る魔導機は直撃を受け、推進炉に大きなダメージを受け、宙域から離れていく。


「そんなばかなー!俺は、不死身のイェーガーなんだぞー。」


イェーガーに命の別状はない。まさに、不死身であることをイェーガーは証明したのかもしれないが、新型魔導機同士の戦いに参加できるほどの力はないことが証明された。


それほどまでに、魔導機と新型魔導機の差が激しかったのである。レイディアントも、リーチェも、不死身笑のイェーガーの援護をしようとしたが、動くことはできなかった。


銀河の五指に入る魔導操縦士であるアレクシスとロジャーの前では、レイディアントとリーチェは隙を見せることができなかったのである。


「さぁ、新型魔導機同士の戦いを始めようとするか。」


アレクシスの搭乗する新型魔導機レオが動き出したのだった。


レイディアントは、レオから発せられる圧倒的な威圧感に目を細めつつ、レイディアントも威圧をし返す。二人の威圧感は、まさに互角である。さらには、ロジャーもレイディアントに威圧を放ってきている。魔導操縦士は、魔力を使える。魔力を使った威圧であり、文字通り圧迫させることができる。


アレクシスとロジャーの威圧を受けたレイディアントは、通常であれば動きが止まらざるをえない。実際にはレイディアントは動けるのだが、まだ経験が浅いリュカは、好機と思い、新型魔導機キャンサーから魔導砲を放つ。リーチェは、レイディアントを守るために、アリエスとキャンサーの間に入り、魔導障壁でキャンサーの魔導砲を止める。


「させませんよ。」

「こいつっ!なんて、硬さだ!」


レイディアントは、タウロスとキャンサーの動きに、一瞬だけ注意を向けた。その一瞬は、威圧が弱くなる瞬間であり、アレクシスもロジャーもレイディアントの注意が削がれたことに気付く。アレクシスとロジャーは、瞬時に魔導剣を構えながらレイディアントに迫っていた。



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