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この二人の名前は、ケーンとケーナという。
男の子がケーン、女の子がケーナと名乗っていた。
フードを脱がすと、茶髪のショートカットがケーンで、茶髪のおさげがケーナ。
二人の識別が、フードを外すとわかりやすい。
近くにあった井戸のロープを切って、ケーンとケーナの手を縛っていた。
先ほどまでビービー泣いていた二人は、今は泣いていないようだ。
ここには俺とノニールがいて、シブーストはレティアたちのところに戻らせていた。
俺は、ノニールの持っている髑髏の指輪を見ていた。
まがまがしい髑髏のレリーフが掘り込まれた小さな指輪。
大人がつけるには、小さな指輪だ。
「これに、魔力があると?」
「魔力の具現化をするための道具っすよ。
魔法というのは、子供でも老人でも等しく使えるっすからね」
「確かにそうだな」
魔法使いのイメージは、老人が多いのはそのためだろう。
「で、このお子様たちが、なんで俺たちを襲ったのか?」
「知らない」
「お前、嫌い」
ケーンとケーナは、否定した。
「教えてくれないっすか?」
「教えない」
「しらなーい」
「もうすぐ怖いお姉さんが、来るかもしれないっすよ」
「ママより怖い人はいない」
「そう、ママの方が怖い」
「そのママが、頼んだっすか?」
「違う、ママに頼まれてやってなんかいない」
「そうそう、グリゴンをやれなんて言っていない」
「なるほど、俺は自分がグリゴンなんて一言も言っていないけどな」
俺が突っ込むと、ケーンとケーナはしまったというリアクションを見せた。
わかりやすい、子供の顔だ。
それにしても、セリフの節々に出る『ママ』という言葉。
おそらく俺を狙った、黒幕なのだろう。
「そのママはどこにいるんだ?」
「黙秘をする」
「黙秘します」
「怖いお姉さんが来るよ、いいっすか?」
「怖いお姉さん、本当に怖いの?」
「怖いよ、特に小さい子にはね」
「あら、ノニール。ここなのね」
それは、少し離れたところから四人がやってきた。
サラ、レティア、ユキがシブーストに連れられて俺たちの場所に姿を見せていた。
その姿を見た瞬間、ケーンとケーナは驚いた顔を見せていた。




