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今の状況は望ましくない。
スケルトンは、六体現れた。
冷静に考えれば、これは好ましくない。
(レティアがいない)
スケルトンを倒すには、勇者が必要だ。
俺たちはそのスケルトンの動きは止めることができるけど、倒すことはできない。
周りのスケルトンは、いつも通り退路を断つように囲んでいた。
「さて、どう突破する?」
「マトイの強行突破で、いいんじゃないか?」
「まあ、できなくはない。どうした、ノニール」
「いえ、実はっすね」
ノニールは、懐から何かを取り出した。
それは小瓶の入った、水だ。
「なんだ?その水……」
「ちょっと、試しに作ってみたっすよ。
サラさんにも、手伝ってもらったっすが」
「それは、なんだ?」
「こうするものっす」
持っていた小瓶を、スケルトンに投げつけた。
小瓶がスケルトンの頭蓋骨に命中すると、そのままスケルトンは崩れていた。
「これって……」
「聖水っすよ。
サラさんの持っていたそのレシピに、載っていたので作ってもらったっす」
「食事も材料もないのに、どうやって」
「主な原材料は黒い土っす」
「マジか」
「儀式を行うこの土は、魔力が込められていて……魔力を摘出することで水に魔力をつけたっすよ」
そんな使い方があるのか、あの土。
聖水の入った小瓶は、たくさんノニールが持っていた。
「じゃあ、これをみんなでぶつけるっす」
「ああ」
「わかったよ、僕の回復魔法じゃ……」
「何かいる」
俺は、ふと建物の後ろにいる何かの気配を感じた。
それはスケルトンなんかじゃない、生物のような気がした。
「誰かいるのか?」
俺は大きな体で、建物の影を見ていた。
その声を聞いて建物の後ろに隠れた影を、俺はじっと見ていた。
「マトイ君?」
「少しやっていてくれ、俺は……」
俺も同時に、動き出していた。
建物の方に、一直線に向かっていった。
俺の前にスケルトンが阻んでくるが、シブーストが俺の動きを察知してそのスケルトンに聖水を投げかけた。
簡単に無力化するスケルトンの横をすり抜けて、俺は建物の角にたどり着いた。
そこには、二つの小さなフードをかぶった人間が姿を見せていた。




