510
『アニーの工房』というゲームがある。
錬金術師を志す女の子が、世界を救うそんな話だ。
マルチエンディングの一つには、世界を潤す水瓶の水を戻すという世界平和のエンディングがある。
他にも、他の登場人物と結婚のエンディング……シブーストと結婚なんかもある。
「アニーに、サラが似ているだろう」
「ああ、確かに。だけどあいつは、転生者じゃない」
栗色の長い髪、確かにアニーに見えないこともない美少女だ。
おっとりとしたその顔は、アニーの雰囲気に似ている気がした。
でもサラが転生者ではないことは、俺は知っている。
俺が転生者であることを聞いて、驚いていた。
何より小さなサラには、戦う強さはなかった。
「そうだ、サラちゃんは転生者じゃない。
だけど、彼女は他の転生者から生まれた場合はどうだ?」
「サラの両親が……まさか」
「そうだ、ナーリーがアニーかもしれない」
シブーストは、険しい顔で言ってきた。
ロケットで、前に見せてくれたサラの両親の絵。
なんだか、母親というより幼い少女に見えたな。
「どういうことだ?」
「アンジュが言っていたのだが、フロウフラにはナーリーの痕跡がある」
「ナーリーの、痕跡?というか、お前はどこまで知っている?」
「アンジュが、独自で情報を集めていた。
俺が帝国を離れても、アンジュは俺を呼び続けた。
彼女は、アニーに会いたかったのだろう。そして、ナーリー・バリジャットにいきついた。
ナーリーのレシピは独特だが……その一部のレプリカのレシピを手に入れた。
だけど、本書は決して見つからなかった。
そこで僕は出会ってしまった。ナーリーレシピを持つ少女に」
「それが、サラというわけか」
俺の言葉に頷くシブースト。
「つまりは、お前はナーリーの結末を知っている……」
「それを見れば、彼女は傷つくだろう。だから彼女を」
「お前は、何もわかっていない」
俺は口を真一文字にして、シブーストを見ていた。
「なぜだ?」
「サラの決心は固い。どんなことも、彼女は受け入れる覚悟がある。
あんな小さくても、彼女はとても強いんだ。
俺は、そんな彼女の意志を尊重したい」
「そんな生易しいものじゃない、ナーリーは危険だ」
「危険?」俺は首をひねった。
だけどその言葉に反応してか、石畳の地面が盛り上がった。
それは、町の中に現れたスケルトンだった。




