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トロンダールにいたアントンという、老騎士がいた。
彼は、この街を守っている兵士らしい。
俺たちのテーブルには、七人集まっていた。
「アントンさん……」サラが落ち込んだ様子で、彼を見ていた。
「勇者一行は、これからどこを目指すつもりかな?」
「サラの両親がいそうな場所……何かご存じは……」
「ナーリーか」アントンが首をかしげていた。
「はい、ママがいそうな場所は……どこでしょうか?」
「第三次調査団は……北のフロウフラに向かった。
そこが、第二拠点になっていたはずだ」
「フロウフラ?」
「かつて、このテスコンダル大陸には人が住んでいた歴史がある。
無論、この大陸には国が存在していた。
勇者の国……勇者はわかるだろう」
「エドンタール」
聞きなれない名前が、レティアの口から出てきた。
「流石は勇者、勉強しているようだな。
そう、エドンタールは……この大陸を支配した唯一の国だ。
世界を救った勇者エドが、この国を建てた初代の王。
フロウフラは、エドンタールの西にある学園都市と言われていた。
世界の二大学園都市、北の『フロウフラ』、南の『サスマラ』そう呼ばれるほどにな!」
「そうだったんですか」
「最も、今のフロウフラには人は住んでいない」
「魔族ですか?」
「一般的な歴史だとそうだ。
確かにこの大陸には、数多くの魔族がいる。
だけど本物の勇者には、違う風に伝わっているはずだ」
「どこまであなたは、知っているのよ」
レティアが、アントンを睨んでいるようだ。
それでも、アントンは淡々と食事を続けていた。
「どういう意味だ?」
「跡目争い、エドンタールは三人の勇者が国を分けた。
勇者エドの子供、その孫は三人生まれた。
三人の孫が、勇者王になるべく国を分けて戦争をした」
「そう、跡目争いはどこでもあるのね」
おそらく、シアラとマリアのことを思い出したのだろう。
勇者を継承するというのは、どこでも大変なようだ。
「そんな勇者しか知らない話を、あなたはなぜ知っているの?」
「俺も調査団だからな。そこで……勇者の知り合いに聞いた」
「それって……」
「少し長い話をしていいか?
おそらくダムレイが、俺に頼んだのだろう」
それはアントンがテーブルの上で、両手を組んで俺たちを見ていた。




