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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三十九話:『纒 慎二』と呪われた大陸
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(ANTON’S EYES)

――それは十五年前の話だ。

俺は、カイペル王国からこの地に派遣されていた。

当時は、俺はカイペル王国の騎士団長。騎士の序列としては三番目に高い地位にあった。

トロンダールという町だ、テスコンダルの最南端にある港町。


この調査団は、俺以外にもいろんな国の兵士が集まっていた。

鎧の紋章が、いろいろだ。姿もいろいろ。

何より、兵士以外のいろんな職種の人間が集まっていた。

今、俺たちは港のそばにある広場にいた。


「隊長、民間人もいるというのは本当ですか?」

「ああ、そうだな。サーレス」

俺と同じ鎧を着ていたが、少し若い青年が声をかけてきた。


彼の名は、サーレス。

俺と同じカイペル王国から、やってきた。

俺よりも若いが、剣の腕が確かな騎士。

将来性豊かな彼を、俺は国王に推薦した。


「民間人の警備は、我ら騎士の務めだ。サーレス、緊張しているか?」

「ええ、まあ……モーリタニアの将軍や……ラバンティスの剣士様。

ほかにもアイロニート各大陸から……有名な騎士や兵士の数々が……集まっていますね」

「それが、この調査団の目的だろう」

「未開の地、忘れられた台地……テスコンダル。ここですね」

ここは、テスコンダルの最南端トロンダールだ。

テスコンダルの玄関口、『聖女の柱』によって守られた唯一の安全地帯。


「すいません」

「ん?」そんな中、一人の女……というか少女が姿を見せた。

栗色の長い髪に、身長は百五十ほど。顔もどこか童顔だけど、大人びた雰囲気を出していた。


「お嬢ちゃん、お見送りかい?」

「いいえ、私の旦那……ダムレイを探しているのですが。

人があまりにも多いもので……」

「ダムレイ……ちょっと待ってくださいね」

サーレスが、少女に対してそばにあった名簿を見ていた。

白い服を着ている少女に、俺はしゃがんで対応する。


「医者?」

「はい、正しくは薬剤師です」

「ダムレイさん、ああ、ありましたよ。彼は『世界平和医師団(アスクラピオス)』の団長で……」

「おーい」サーレスが読み上げる中、四十代の白衣を着た中年の男が手を振ってこちらに向かってきた。

見ただけで、その男が医者だとわかるような格好だ。


「ナーリー、どこに行っていたんだ」

「あなた、無事なのね」

ナーリーと言われた少女は、ダムレイの方を振り向いた。

そのまま、そばの方に歩いていく。

少し背が高いダムレイは、ナーリーの保護者のように見えた。


「見つかって、よかったですね。パパが」

「夫婦だ」ダムレイが、憮然とした顔で言い返した。

サーレスは、言い返されて苦笑いをしていた。


「これは失礼」

「いや、済まない。

妻を見つけてくれてありがとう。うちの妻は、兎に角小さいからな」

「若い子がいいんでしょ、あなたは」

「そ、そういうのじゃない。ナーリーだからいいんだ」

「えー、そうなの?」

甘え方が、子供っぽいナーリー。

ダムレイとナーリー、やはり親子にしか見えない。


「世界平和医師団も、この調査団に参加したのですか?」

「そうですね、獣化病の原因がこの大陸にヒントがあるというわけですから」

「医師団からは、私たち二人だけなんですよ。スタッフが四人ほどいますけど。

サスマラ大の教授の方も、共同で参加していますね」

「そうですか」

やはり、ナーリーは子供……というか女の子っぽい。


「今回の調査で、何らかの成果が出るといいですね」

「ええ、そうであることを願います」

ダムレイは、強張った顔で言っていた。


「あなた、固いわよ」

小さな体のナーリーが、両手をダムレイの顔に伸ばす。

「ナーリー、ああ……大丈夫だよ」

ダムレイが、しゃがんでナーリーを抱え込んだ。

いちゃついているのだろうが、やっぱり親子にしか見えない。


「それに、今回は勇者様もいるし。ほかにも……あの人がいる」

それは広場の前にある壇上に、一人の人間が立っていた。


「調査団団長の、ホーフブルグが」

広場の上には、一人の人間……というか紫色の肌をした獣化した人物が立っていた。




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