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夜になり、俺たちは城に戻っていた。
あのあと、何箇所か行ったけどめぼしい方法はわからなかった。
城の客間には、既に国から指示が出てリーピもここに来ていた。
眠るサラを、聴診器のようなものでじっくり調べているリーピ。
さっきあった時と違って、白衣をシッカリと着込んでいた。
こうして見ると、本物のベテラン医師に見えてくる。
「やはり、精神は不安定なようじゃ」
「治らないの?」心配そうに見つめるレティア。
「うむ、薬は完全に無理じゃな。魔法の専門家はいるのか?」
「ノニールはまだ戻っていないわね」
ここにいるのは俺とレティア、あとはルデースぐらいだ。
二人の勇者は、魔法こそ使えるが専門家ではない。
「あの薬は、あるか?」
「あるけど……」
「一度起こしてみるか、精神的に……」
「いや、何か見える」
それは眠っているサラを囲む黒いオーラだ。だけどリーピには、ほとんど見えないようだ。
「ん、なんじゃ?何あったのか?」
「マトイ、どうしたの?」
「レティアは見えないのか?」
「え、うん」隣にいるレティアにも、ルデースも気づかない。俺にしか見えないのか。
だけどそのオーラが、どんどん濃くなっていく。
「ちょっと待て」
「マトイ?様子が変だ。じいさんは下がって」
「これ、わしを」
「下がりましょ!」ルデースは何かを感じ取ったらしく、リーピをサラから離した。
やがて、俺の目の前でサラが目を開ける。
その目の開けた瞬間に、はっきりと強い怨念のようなものを感じた。
俺の周りの毛が逆立っている上に、怪しい空気を出していた。
迷うことなく、俺はサラの前に出た。
「サラ、大丈夫か?」
「ボクはゴンラー、君を探していた。待っていたよ、グリゴン」
「どういうこと?」眉をひそめるが、俺だけはわかっていた。
ゴンラーは、まさに俺を探していたのだから。




