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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
十話:『纒 慎二』と眠れる医者
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俺にしか見えない黒いオーラが、サラの周りにまとわれていた。

そこには純粋で、可憐で、人を救うことに情熱を持った医者のサラはいない。

サラの体をのっとり、俺を探していたゴンラーの姿がはっきり見えた。

だけど、それはノケモンである俺にしか見えない。ほかの人はサラしかみえないのだ。


ベッドの上に立って、サラは俺たちを見下していた。


「サラの体から出て行け、ゴンラー!」

「それはできない。彼女の中にいる以上、ボクは攻撃されないから」

「ちっ」俺は右手を握っていた。

だが、言葉通りにその腕を振るって攻撃はできない。


「お前の目的はなんだ?」

「君には消えてもらう」サラと同化したゴンラーは、右手を突き出した。

それを俺に向ける。


「避けないでよ」そう言いながら、右手に黒いエネルギーが、溢れて、ビームのように出てきた。

「《サイコこうせん》かよ!」

無論、黒い光線を俺は避けた。

前転して避けたその黒いエネルギーは、そのまま城の白く分厚い壁まで飛んで行き、壁に大きな穴を開けた。


「な、なんて破壊力なの?」レティアとルデースは驚いていた。

軽く城の壁を開けていく、黒い光線。

「避けないでよ」

「当たりたくないな」

「知っているだろ、これは《はかいこうせん》」

すると、サラの口から血を吐き出した。


「サラっ!」俺の前で血を流しながらも、黒いオーラが立たせていた。

「使う人間の体力を削り、威力を発揮する。まさに自分も相手も破壊する光線だよ」

「お前……許さないぞ」

「さあて、次の一発を打とうか」再び手を俺の方に向けた。

動くたびに、黒いオーラが反応する。手に集まっていくのだ。


「くそっ、どうする?」

ここには俺の他にもレティアと、ルデースもいる。

おまけにゴンラーの力は、やはり半端なく高い。

「サラ、もうやめてよ!」

「こっちを殺すか?」叫んだレティアに、手を向ける。

「おい、やめろ」俺は全力で止めに行く。巨体を揺さぶって、ジャンプしてサラにタックルをした。

ベッドがミシミシと言いながら、サラはそのまま倒れる。

だけどサラの表情は変わらず、すました顔だ。

俺がサラに覆いかぶさったが、技の構えは全く解けない。


「やっぱりきた、グリゴンよ」

「お前の好きにはさせない」

「攻撃できるのか?」

ゴンラーがしゃべっているが、俺の下にはサラの小さな体がある。

華奢で、可愛らしい顔がそこにあった。どう見てもその姿はサラ。


「できないだろ、じゃあ死んでくれ」

そう言いながら、二発目の《はかいこうせん》を放った。

近距離で、覆いかぶさった俺は避けることができなかった。


「いっ、いでえっ!」そう、その黒い光の帯は、俺の体を貫いていた。



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