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リーピは、サラが一度国立病院の調薬所を行ったときにあったことがあった。
もっとも、病院にいる人間は例外なく白い服なのでプライベートの姿ではよくわからないが。
そんなリーピは、閉まっている国立病院のドアを開けてくれた。
調薬所のそばに、俺とレティアを連れてきた。
「本当に信用していいの?」
「一応、ここのお偉いさんらしい」
俺もそれぐらいしか知らない。久し振りに見る調薬所にたどり着くと、人はいない。
前に見たときは、人も多く場所もほぼいっぱいいた。
「内乱が終わったので、一日だけ休暇にしたのじゃ」
「そうか」
「そのへんにかけてくれ。用意するものがあるでな」
俺たちを近くにあったテーブルの椅子に座らせた。
リーピは、いそいそと周囲の棚を探っていた。
「それにしてもサラが、意識不明か。幽霊とな?」
「ああ、そうだ」
「はっきり言って、これは医学ではどうにもならぬな」
「じゃあ、サラはこのままなの?」レティアが、不安そうな顔で言ってきた。
「そうとは限らん、だが幽霊なら妖魔とかの討伐の専門が詳しいじゃろ。
勇者や魔術師などが、詳しいのかないのか?」
「今、私の知り合いが魔術師の方にあたっているわ」
と勇者レティアは、はっきりと答えていた。ノニールのことだ。
「ダメじゃな。ここにはない。隣の部屋に行ってくる」リーピが退室した。
ここに、二人で待たされる。とりあえず俺は疑問を口にした。
「幽霊と妖魔は、成り立ちが違うのか?」
「ほぼ一緒よ、魔王の穴から出てくる。ただ、倒し方が違うのよ」
「確かに俺の攻撃が、全然効かなかった」
幽霊は攻撃が当たらない、実体がないのだろう。
ノケモンのゴンラーも、実体がなかったしな。
ノケモンなら、ほかのタイプのノケモンを代わりに召喚して戦えばいい。
だが、この世界はノケモンの世界ではない。
都合よく近くに、他のノケモンがいるとは限らない。
「レティアは、魔法を使えるよな」
「うん、使えるけど……その幽霊がサラの中にいれば、直接使うわけにはいかないでしょ。
それに、どんなやつが見たこともないし」
「実際に戦ったことは?」
「ないわね」レティアが首を横に振った。
「おお、これじゃ」隣の部屋で、声が上がる。そしてまもなくリーピが戻ってきた。
俺とレティアも立ち上がって、老人をじっくり見ていた。
「何を探していたんですか?」
「これじゃよ、『精神安定剤』」俺に渡したのが、ペットボトル大のガラス瓶に入った液体の薬。
「この薬は?」
「ずっと眠っているのじゃろ、まずは起こさねばならぬ。
サラが幽霊にとり憑かれたとしても、起こしたほうがいいと思ったのじゃ。
精神的な休息状態を、解除させねばならぬ」
「だけど無理に起こしたら……」
「じゃから、いっただろう?これは、わしらの医術ではどうにもならぬ。
おそらく正しい解き方は医術以外の別にある、とりあえず持っていけ」
どうやら国から、手伝うように指示も出ているようで素直に手伝ってくれた。
それでも、老人のリーピは疲れた顔を見せていた。




