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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
十話:『纒 慎二』と眠れる医者
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城の北には、大きな港がある。

アスカンテは、港町で城もある珍しい景観だ。貿易を中心に潤う国らしい景観でもある。

西側にも港はあるが、こちらにも港があるようで、いくつも港を持っている。


その北の港には、両側に簡易露店が占拠していた。

あちこち珍しいものが、売っているので賑わっていた。

その中を、俺は普段着の鎧に着替え直したレティアと一緒に歩いていた。


「へえ、珍しいものも売っているんだな」

「うん、ここは貿易で成り立っているから。世界の玄関みたいなところもあるわ。

あっ、ちょっと聞いてくるわ」そう言いながら、レティアが露店のお兄さんと会話。

俺は遠巻きに、それをみていた。こうして見ると、レティアは積極的で頼もしい。


しばらくして話をして戻ったレティアは、首を横に振った。

「ダメね、眠りを覚ますようなものはないわ」

「医者とかに行ったらどうだ?薬を探しているなら」

「医者の人脈はサラでしょ」

「そういえばそうだな」今頃城の中で眠る姫は、医者のサラだ。

当然医者の人脈はサラがあって、レティアはそういう人脈がない。

むしろ、この前の反乱軍との戦いで病院に攻め込んでいる勇者側のレティアは都合が悪い。


「マトイ、それでね、あの鏡だけど」

「どうした?」

「なぜ割られたと思う?」レティアがどういう訳か、俺に聞いてきた。

「割られたというより、破壊された」

「形式は同じよ、誰があそこに入ったのかしら?防備は完璧のはずだし、地下にあるし」

「そうか?ついこないだまで、戦争状態だっただろ」

俺の言葉に、レティアは周囲を見回す。

市場は今日も活気があって、人の往来も多い。

このあたりは、元々貴族とも関係ないので被害はない。

一見すると平和に見えるが、数日前まで獣が暴れ、人の群衆が貴族の兵士たちと戦っていた。

兵士の警備が手薄になる条件は、しっかり揃っていた。


「それじゃあ、混乱に乗じて?」

「その可能性が高い。貴族や王族、勇者までも市民に狙われていた。

一般市民の中にも、盗みを働く奴は多いだろうし。火事場泥棒っていうの?そういうのじゃないか?」

「なるほどね、確かにそうね」

「だが、それでも犯人はわからないが……」

俺の言葉に、それでもレティアは目を輝かせて聞いていた。

勇者として貴族側のような育ちのレティアにとって、今回の経験は貴重だったのだろう。

それにしても、俺の体は大きいのでフードを着ていてもしっかり目立つ。通行人がジロジロ見ていた。


「ずっと疑問だったのだが、俺はここに来る必要あったのか?」

「あ、あったわよ!」レティアがなぜか人ごみの中で叫ぶ。

大きく叫んだので、数人にちらりと見られた。

恥ずかしくなったレティアは、顔を赤くして俺の脇に隠れようとした。


「い、いいじゃない」

「何がだ?」

「マトイは、ずっとサラと一緒にいたでしょ」

「ああ、作戦だったしな。本来なら、ボディガードである俺は今もサラのそばにいないといけない」

サラは狙われているんだ、当然だろう。


「あれは……」レティアが何かを発見した。それは黒い何か。

顔は見えないが、その動きは人ごみを縫うように俺たちから離れていく。


「追うわよ!」

「ああ」そう言いながら、鈍足の俺を置いてレティアは黒い何かを追いかけていた。

その影は、市場の曲がり角に入っていく。レティアも、そのまま後を追いかけた。

あっという間に、姿が見えなくなる。でも俺は遅い足で走る。


やがて、鈍足の俺が先頭を行くレティアに追いついたとき、その黒いものがはっきりと見えた。

白い肌で、黒いローブのその男はラオルだった。



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