表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
九話:『纒 慎二』と天才的頭脳
116/639

116

処刑の時間が迫る。俺とサラは近くの民家の屋根の上にいた。

元々海に近い港街であるアルカンテは、屋根の上に登れる梯子(はしご)があちこちにある。

勇者の救助ということで、一般人の家の上に潜伏して、俺たちは時間を待っていた。

曇っている空の下、弱い南風が吹いている中、広場の北にある一軒家の屋根に一人だ。


手には大きな袋がある。そこには、サラがあの調薬所で作った『ペトノン-型』だ。

霧状にしたものを、この中に入れてある。

実験の成否は、分からない。そもそも獣化した人間にしか使えないのだから。


俺が見ているその広場では、多くの人間が群れをなしていた。

その群れの中央には、処刑台。上の刃がキラリと輝いている。まだ勇者ルデースの姿はない。

だが、そこに兵士たちが現れる。

すぐそばに、ステージ4の患者たちが檻に閉じ込められていた。


「諸君、我らレジスタンスは貴族と戦う正義の味方だ」ソーリックが演説をする。

一般市民が歓声を上げるが、狼頭たちがうろついている。

これもソーリックの思い通りに動いているのだろうか。その一方で、俺の下で動きが進んでいく。

レティアが救助に向かう。レティアの反対側にマリアも動く。

そして、ソーリックの後ろの方に、隠れている何人かが見えた。その中にルデースが入る。


(まずはルデースの姿を確認できないと動けないからな)

俺は様子を見るしかない。レティアとマリアは、武器を隠して紛れるしかない。

出てきたところで動くしかない。


「さて、我らは貴族と手を組む勇者の捕縛に成功した。

諸悪の根源たる勇者ルデース、彼女をこれより処刑する。これより前へ」

ソーリックの動きとともに二人の狼頭が動く。

その二人の狼頭のそばに居るのが、ルデースだ。

鎧ではなく、囚人服を着させられていた。表情は驚くほど落ち着いていた。


「ではこれより、勇者の処刑を始める」

壇上に連れてこられたルデースは、処刑台に連れて行かれる。

そのまま、処刑台のそばにセットされる。


(いよいよか、頼んだぜ)俺はちらりと大きな袋を見た。

迷いなく俺は屋根の上をドスドス走り出して、思い切り飛び降りた。大きな白い袋を持って。


「な、なんだ?」

俺の足元には、群衆だ。俺の影を見るなり雲の子を散らすかのごとく、群衆が散らばる。

次の瞬間、広場のほぼ真上で俺は大きな袋を切り裂いた。

袋は切れ目からプシューと音がしてそこから霧が吹き出た。

ドスン、霧の中に俺が地面に着地していた。


「ヤツの魔法か?」叫んだのはソーリックだ。

霧が周囲を包み込む。青っぽい煙のような霧だ。

「いいや、違うな」俺はそのまま突っ込んっでいく。


「そいつを近づけさせるな!」

だが、ソーリックの言葉に反応する動きはない。

そして、俺は霧の中で手足を縛られたルデースのそばに駆け寄った。


「返してもらいに来たぜ」

「こいつは……」霧の中から見える虎頭は、俺を睨んでいた。

「どうやら効いたようだ」壇上に上がった俺は、倒れた狼頭をじっと見ていた。

この霧は、少し俺も気持ち悪くなる霧だ。あまり吸い込まないようにするか。


「まさか……おのれ……」

「観念しなさい」そんなソーリックの背後には、レティアが剣を抜いてソーリックに向けていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ