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このレジスタンスのアジトは、やはり地下にある。
かなり複雑な通路を抜けて、上に上がる階段を見つけたらそこは普通の店だった。
まあ、反乱軍のアジトとして看板を出すわけもないし、来るときに目隠しもされないだろう。
外の空気を久々に吸った俺とサラは、路上をしばらく歩いていた。
現在は深夜らしく、人通りも少ない。
昨日の反乱があったのか、今日は街に大きな変化がない。
その証拠に、国の兵士らしき人間が街の中を歩いていた。
そして、俺はある袋小路にやってきた。
真っ暗で、薄暗いここならいいだろうと思ったから。
それから、サラに背を向けて俺は口からあのレシピを取り出した。
「これ、だよな」
「うう、さっき口の中に入っていたんですか?」
「俺の体は、結構大きなものも飲み込むことができる。
しかも、俺の口はかなり大きくなるんだぜ」
「うう、でもマトイさんの」サラが、嫌そうな顔を見せていた。
「それは、悪かったよ。でもあれをするしかなかった。
ソーリックは動きも早いし、普通にやったらどっちも手に入らなかった」
「それは……私のせいでもありますし」
「なんだ、歯切れが悪いな」
「その……マトイさんの匂い」
「だから、悪かったよ」俺は、サラにもう一回謝っていた。
サラは白い布で拭きながら、俺は袋小路の近くを調べていた。
「しばらく来ないな」
「うん、でも……手に入らなかったね」
「『ノクセント』、サラが渡した薬」
サラは、落ち込んだ顔を見せていた。
彼女が、持ち込んだ薬は見つからなかったのだ。
「まあ、どうしようもないしな。使ってしまったようなら。それがなくなれば獣は増えないのだろう」
「増えないのは当たり前で、増やさない薬を作らないといけないです」
「そうか、そうだよな」
元々の薬が分からなければ、治す薬が作れない。
あの獣たちとは、戦わないといけない。
「獣を救うのはそもそも無理だ、数が多すぎる」
「マトイさん、倒したんですよね」
「あの数に手は抜けないぞ。抜いたらお前が殺される」
「わかっています、ですが……」
「何を諦めておるのだ?」
そんなとき、上から声が聞こえた。
屋根の上を見てみると、一人の人間が昔のヒーローのように斜めに手を上げて立っていた。
「悩んでいるな、クマ男と少女よ!我こそは、そんな迷える人を助ける正義の味方……」
そう言いながら、華麗にジャンプして降りてくると思った。
だが、カッコ悪く屋根にかかっていたはしごからコソコソ降りてきた。
その男は、黒い仮面と黒いマントの影医者だと直ぐにわかった。




