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書庫を調べるサラ。俺ができることは、見張り程度だ。
そこに置いてある医療書を見て、数秒で俺の頭が混乱した。
そんな中でもサラは、一つ一つ理解して選んでいた。
手短に理解していくつかの書を、大きなリュックの中に乱暴に入れていく。
「それはなんだ?」
「レポートです、『ノクセント』は試作品なのでちゃんとしたレシピがないんですよ」
「そうか」それでも、俺は全然わからないけどな。
三冊の書類を入れた後に、サラは顔を上げた。
「行きましょう」
サラの軽快な言葉で、すぐに書庫を出た。
「にしても、人に会わないな」
「そういえば、そうですね。一応気配を感じながら進んでいるのですが」
それでも、サラは医者だ。隠密行動が決して得意ではない。
人の気配がないのは、かえって不気味でもある。
それとも、戦争に出払ってしまっているのだろうか。
通路には窓もない、地下なので当然だ。地上がどうなっているのか、気になるところだ。
「サラ、ひとついいか?」
「なんですか?」
「あの影医者も『ノクセント』を狙っているな」
「影医者ですか……」
サラも難しい顔を見せていた。
先に見えるは階段、そこで人の気配がないようだ。
「薬があるとすれば、あとは奥の部屋ですね。急ぎましょう」
サラが、俺に促してさらに奥の部屋へ向かう。
降りた階段の先には、大きな鉄の扉がある。
「鍵が掛かっていますね」動かしても、開かない
「まあ、ここは俺が開けるか。サラ、少し下がっていろ」
俺はそう言いながら、コマンド《たたく》を選択。
そのまま右腕で、一発思いっきり叩いた。
ゴンッと鈍い音がしたが、ドスンと後ろに重そうな鉄の扉が倒れていく。
「開いたぞ」
「だ、大丈夫ですか?」
「ああ、平気だ」本当は右手を少し痛めた。流石は鉄の扉だろうか。
軽い腫れみたいなのがあるが、サラに心配かけさせまいと我慢をした。
「にしても、ハズレかもな」
「あっ、多分あたりですよ」そこは病室だった。
大きな病室に、ベッドが規則的に並んでいた。ベッドの上には、眠っている人間が見えた。
だが、その中央には一人の男がいた。
虎頭のソーリックが病室の一人の患者の口元に、何やら液体を入れているようだ。
「やはり、あなたたちはここに来たのですが」そして、ソーリックは俺たちの方をじっくり見ていた。。




