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それから三時間後、俺の前に行列がいなくなった。
あのあと影医者は姿を見せなかった、怪しい人間も姿を見せなくなった。
呼び止める声も、怪しい人物もないまま俺の前にいた列がなくなっていた。
あれだけいたケガ人をこの短時間で施術するあたりは、流石サラといったところだ。
そして、サラがドアから出てきた。
「いいのか?」
「ええ、決めたので」
そして、俺とサラは動き始めていた。
無論、ここに来た目的は一つ。そのために、わざわざここに来たといっても過言ではない。
「一度、行動に移したら引き返せない」
「情報は少ないですけど、動かないといけません。
もうすでに、私の薬で犠牲は出ていますから」
「早いな、初日から動くとかなり相手のマークがきつい」
「もとよりそのつもりです、マトイさんもいますし」
サラは俺に対し、ニッコリと微笑んだ。
「まずは『ノクセント』を探します。これ以上悪用させるわけにはいきません」
「そうだな、奴らレジスタンスの戦力を減らすことは理に叶っている」
「はい、獣を大量発生させる原因である『ノクセント』を使用させない形をとります。
場所の目星は、いくつか候補があります」
「施術室ではないのか?」
「そうですね、ちゃんと薬品は管理していますよ。
しかも、アルバーニ医院ではなくこっちのアジトに」
サラは頼もしいほどに、いろいろと突き止めていた。
やはり医者なので、調べやすいというのもあるのだろうか。
「で、どこいく?」
「地下に行きましょう」
「ああ」俺はサラと一緒について行く。
サラは手に、地図を持っていた。ここのアジトの案内だろうか。
地図を見ながら通路を確認しつつ進む。
サラは、意外と方向感覚に優れているようで迷いがない。
「はい、地下の階段です」
「迅速だな」
「問題は、この奥に二つ地下室があるのですが」
サラが地図を、俺に見せてきた。地図には何も書いていない二つの空間。
大きさは違うが、長方形の部屋だ。
「どっちだと思います?」
「でかいほうじゃねえ?」適当に俺は言っていた。
すると、サラはやはりにこやかな顔で俺に向いていた。
「では、でかい方に行きましょう。私もそう思いましたし」
いつもどおり、サラはにこやかな顔で反応していた。
そのまま、サラが迷いなく大きな部屋のドアを開く。
開いた先は、書庫だった。




