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アミダ財宝伝説

今回アミダくじで決めたキーワードを元に書きました

内容は『アイアンメイデン』『財宝伝説』『怪物』『ヒョウタン』『4.2牛乳』

…何このカオス

もう予想がついたとは思われますが、キーワードに振り回された結果意味不明な急展開が考えられます

なんか作品全体としての方向性が見えない、まあ習作だしいっか

 白海

 この海はその名の通り真っ白な色をしている、しかし白みがかったというわけではなくミルクのように不透明な色を持つ、それ故に海の中に生き物が潜んでいたとしても海上のモノはそれに気づくことはない、それが襲い掛かってくるまでは…

 とは言っても、巨大な生き物は潜むが出現率はそこまで高くなく、この海域を船で通り沈むとしたら3つのサイコロでぞろ目が出るくらいのものであり、沖に出なければ船を出して漁ができるくらいには、他の海に比べればまだ優しい海である

 数年前まで、この白海の中心にある大地にはある王国が栄えていた。

 この世界の大地はすべて巨大な『木』の上に形成される、『木』が海底の大地を持ち上げるのか、それとも『木』の落とす葉などが積もり大地となるのかは未だに分かっていない。しかしそれぞれの『木』の土地ごとに明らかに土壌が違い、地中に存在する鉱物に偏りがあるのは間違いなかった

 そして此処、白海の上に浮かぶ亡国ダスロはダイヤモンドやルビーなどの貴重な宝石や貴金属が高い純度で出土する国であった

 この国が何故滅びたのか、たった一夜のうちに国中が緑で覆われ、一切の通信が途絶えたこと以外は詳しくは分かっていない。

 ただ、滅んだ理由は決して資源を目当てにした他国の侵略ではない、『木』も大きな傷が一つ残っているが、青々とした葉をつけ、今も大地を維持している。

 故にこの国があったこの地には今もたくさんの鉱床が眠っているほか、既に加工済みの宝石、金属器も荒野と化した荒れ地に残されている。







 財宝伝説―白海・亡国ダスロ―







 この土地に眠る財宝のことは近隣諸国にとっては周知の事実であった。

 それ故に最初はこの世界でも大規模な軍事国家ギナスが国が誇る殻骸艦5隻による上空からの財宝の回収を試みたが、すべて失敗に終わった、殻骸艦が国跡地の上空ですべて消滅したらしい

 周囲の国の漁師の話では殻骸艦が緑色の何かに飲み込まれていくのを見たとの証言が残っているが、それも漁師一人の証言なので確かな証拠はない

 しかし、軍艦がすべて帰らなかったのは事実であり、以来、この地に財宝を取りに来ようとする()はない

 それほどギナスの戦力は高く、恐れられていた、そんな国の主戦力が5隻も一夜にして消えたとなればこの地には何かが眠っているのは間違いなく、別に軍をすべて使いつぶしてまで財宝を得なければならないほどに逼迫した国があるわけでもなく、この地には財宝が眠るという事実だけは残り、誰も手を付けるものはいなかった。

 そしてこの国が滅びて20年、残された土地には深い緑が生い茂り、いかにもな無人島と化したこの地には国が攻め入ることはない、しかしこの地の財宝の伝説は今も残っており、財宝目当てに多くの人がこの地に上陸する

 それでも誰一人としてこの地の財宝を持ち帰ったものはいない

 この地から生きて帰った者は森に迷い、財宝が眠るはずの国の中心部にたどり着けなかった者のみであり、奥地に向かった者は帰ってこなかった

 財宝を欲すれば帰っては来られないこの地に向かう船が今日も一つ、勇敢な、見方によれば無謀なトレジャーハンターたちを運ぶ定期船である


「ジャック、聞いて欲しいことがあります」


「…なんだ?」

 船の後方、そこで無表情な女性がぼさぼさの髪に無精髭を蓄えた正しくおっさんと言っていい男―ジャック―に話しかける、ジャックは面倒くさそうにしながらも女性の話を聞く、女性は真っ白な海水の入った小瓶を片手に語る


「この白海の成分を調べてみたのですが、平均的な海水の成分と4.2牛乳を足して2で割った値とほぼ同じでした、つまりこの水をうまく加工すればほぼ無制限に牛乳が生成できます、大規模酪農家になれますね」


「私はお前の頭と私の頭を足して2で割りたい、そうすればお前ももっと平均的な考え方ができるようになるだろうに…」


「つまり私のことをもっと知りたいと?」


「…はぁ…」


「なぜため息を?」


「分からんでいい、人の感情は一つではない、今のは私の様々な感情が混ざり合った結果のため息だ、主に何故うまくいかないのかという感情のな…」


「そうですか、解決できるかはわかりませんが相談にはいつでも乗りますよ」


「お前では無理だ」


「即答ですか、貴方が無理だと言うなら無理なのでしょう」


 無表情で何を考えているかわからない上に言動もどこかズレたところが多い女性にジャックは会話を諦め、聞き手に回ることにした、彼は女性の話に耳を傾けつつ適切なタイミングで相槌を打ちつつ手帳に何か書き込んでいる、彼が女性の話を真面目に聞いていないことは明白だった


「ジャック」


「どうした?」


「話を聞いていませんね、先ほど私は貴方に質問しかしていないのに感嘆や肯定の言葉しか返ってきていません」


 更に面倒くさいことになった。ジャックはそんな顔をしてどうしたものかと思案する。

 僅か0.02秒ほど経過し、彼は幾つかの策を閃くが、彼がそれらを実行することはなかった


「ふむ、そういえばそろそろだったか…」


「すまない…そこをどいてはもらえないだろうか?」


「おっとこれは失礼した。ほらお前もそこにいると邪魔だろう」


「む…」


 ジャックの後ろからぬらりと長身の和装の侍が現れる、ジャックはもちろんだと言わんばかりに道を開け、話を切れたことに僅かに口の端を吊り上げる


「ジャック、貴方は彼がここに来ることに気づいていましたね」


「なに私にかかれば大したことではない、この船の乗員43名のうち、28名は顔を見る機会があった。そして先ほどの侍を見た時に、彼が船に弱く必ず嘔吐することに気が付き、暇だったから彼が吐きに来る可能性が一番高い時間帯と場所を計算していた、そして足音でそれを思い出しただけだ」


 そう語り船室に向かうジャックを、女性は相変わらずの無表情で何も言わずに後を追った


「だいたい様々なモノが漂い沈む海水から作ったモノを飲みたいという人間がいるだろうか」


「そうでしょうか?魚は海から採れるのですよ」


「私はごめんだ」


 ◇


「うっ、おおえ…」


 先ほどまで二人がいた船の後方、そこには魚に餌をやり(吐き)続ける和装の侍の姿があった。

 確かにジャックの言う通り、これでは気分的にも成分的にも美味しい牛乳は期待できない


「おーい、アンタ大丈夫か?これからお宝探しが待ってんだぞ」


 醜態をさらし続ける彼に声を掛けるものが一人、腰に短剣を3本携え、褐色の肌を持つ砂漠装束の男だ

 砂漠装束の男は和装の侍に水入れを渡す、顔を悪くして船の端に向かう姿を見ての親切であった、もちろん打算もあるにはあるのだが


「かたじけない」


「顔色が悪いな、アンタ船には弱い方か?」


「ああ、降りればすぐに治る」


「そうか、もうそろそろ着くとは思うがなんかあったら言ってくれ。これでも医療の心得はある」


「いや、全部出して落ち着いたようだ、有難う」


 和装の侍は船べりに背を預け座り込む、その顔は未だ青いが先ほどと比べると比較的マシにはなっていた。

 侍は砂漠装束の男の目を見つめる、その目は空のような青を持ち、見るものを吸い込んでしまうような輝きがあった、しかし侍はその目に何ら影響を受けることなく砂漠装束の男に話しかける。


「何か用か?」


「ああ、アンタ見たところ一人だろ、どっかのギルドに属してるってこともなさそうだ」


「つまり、同行しないかと?」


「そういうこと。アンタ相当腕が立つだろ、こう見えて鼻は効くんでな、で、返事は?」


「かまわないが、分け前はどうする?」


「おっもう宝を手に入れたつもりかい?頼もしいね」


 和装の男は嫌なことを思い出すかのように話す


「こういうことは初めに決めておかないと後々面倒なことになる、飲み屋の支払いとかな」


 よほど嫌な思い出があるのだろうか、男の顔色が再び悪くなる


「んー、アンタ見たところ財宝とかに執着があるようにも見えないけど、なんでこの島に来たんだ?」


「きっかけは飲み屋でな…」


「おおう、答えてくれるのか意外だな」


「まあ聞いてくれ、誰かに話さないとやってられない」


 座り込んだまま男はもらった水を口に含みつつ語り始める


「小生には兄がいてな、ギャンブラーという正直認めたくない職業で…本当に認めたくもないが小生以上に稼いでる兄だったんだが、少し前に兄と食事をとった時のことだ、小生は酒に弱い兄に良かれと思って御猪口一杯の酒を飲ませたんだ、そしたら…」


「そしたら?」


「兄は酔ったまま賭場に向かい、大負けして今捕まってる、いつか身を亡ぼすだろうと思っていたし、そうなったら縁を切るつもりではいたんだが、きっかけが自分ではな…」


「お、おう…」


「こうして兄の莫大な借金返済のためにいい稼ぎはないかと思って目を付けたのがここダスロの財宝というわけだ、まあ兄の連帯保証人にされかけて逃げて来たというのもあるのだがな…」


「…」


 砂漠装束の男は何とも言えない目で和装の侍を見つめる、その目には失敗したかもしれない、という意がありありと浮かんでいた


「そんな不安そうな顔をするな、確かに小生は考えなしの阿保と言われるし自覚もあるが、腕だけは確かだ、でなければ生きてはいないさ、して分け前はどうする?」


「まあ、等分でいいんじゃないか、こっちには仲間がもう一人いるがアンタが半分、こっちは4分の1ずつでいい、どうだ?」


「うむそれでいい、そういえば名前を聞いていなかったな」


「それもそうだな、俺はロノア、もう一人連れがいるがそいつはアースって名前だ、アンタは?」


「小生はユナ、水心子ユナだ」


 ◇


 地には深い森が形成され、鬱蒼とした雰囲気を漂わせている、宝が眠るはずの中心地の近くには『木』が存在し今も高く高く伸び続けており、それに呼応するように森もより深く複雑になっていて、来たものを迷わせる迷路となる。


「あいつらは先に行ってしまったが、いいのか?」


「えーっと、そこら辺の説明はアース頼む」


「わかった」


 この地に上陸した船の船長を除く42名のうち、ロノア、アース、ユナの3人以外は早速森の中へと入っていった。

 一方彼らはのんびりと森の前で昼食をとっていた。

 訝しむユナに、ロノアと同じ砂漠装束でフードを深くかぶり顔が見えず、声も中性的で性別の区別がつかない人物―アース―が説明する


「まず、もともとこの国があった土地には昼に行動する生き物が多い、だから昼に動くとなると猛獣などに警戒しなければならなくなる」


「いやしかし、猛獣程度であれば小生が斬り払えるが、夜の闇はどうにもならん、小生は獣よりも道に迷って飢えることの方が恐ろしい」


「あー、その辺は大丈夫だ、俺たちはここに何回も来てるから道には迷わない」


「ならばいいが、それでも小生に任せてもらえれば突破できんこともないが」


「無駄な体力を消費しないため、国があった場所に近づいていくと鉄の処女(アイアンメイデン)が横倒しに城壁のように並んでいる場所がある、そこを超えると植物の怪物が襲ってくる。そいつは夜になると動きが鈍る」


「詳しいな…むっ!ならば先ほどの彼らを引き留めた方がよかったのではないか?このままだと…」


「知ってる、ここから城壁の位置までは早い、だけどそこからは植物のツタが襲ってくる、ツタは獲物を求めてるから」


「「ぐあああああああああ!!!」」

 突如森の奥から悲鳴が響く、悲鳴は何かが落ちるような鈍い音とともに断末魔を上げ、消えた。


「こうやって叩き潰して自身の栄養に変える、獣と同じで腹が膨れていた方が動きがさらに鈍くなる」


「むう…効率的なのは分かるが…」


「ユナは優しいね」


「俺らは目的が達成できればそれでいいからなぁ」


「いやいやそんなことはない、小生とて兄と縁を切ろうとした薄情者よ、ちなみに弟も置いて逃げた、ところで目的とな?」


「財宝の貯められてる宝物庫地下に行ければ達成できるから気にしなくていいよ」


「そうか、まあ詮索はせん、が何か言えることで言ってないことがあれば言ってくれよ、特に敵の情報は命に繋がる」


「OK,じゃあ植物の怪物の話でもしようか」


 ロノアは残りひと欠けのパンを口に放り込み語り始める、天には黒い雲がかかり始めていた。


 ◇


「ジャック、作業終了まであとどのくらいでしょうか?」


「あと1分だ」


「了解です」

 森の奥、数多もの鉄の処女(アイアンメイデン)が島の外側を向いて倒れ、国を囲むように配置されている。

 そんな不自然な場所に立つ人影が二つ、ジャックと女性であった、ジャックはアイアンメイデンに耳を当て何かを調べていた

 彼らの周囲には黒焦げになった植物のツルが散乱していた、空は黒い雲で埋め尽くされているが雨も降っていない、しかし辺りはまるで雷でも落ちたかのように荒れている


「ラファ、8時の方向から追加で7本、それを片付けたら国の中心に向かおう」


「了解、殲滅します、一応巻き込まれないように注意して下さい」


 女性―ラファ―は目を閉じ悠然と構えも取らずに立ち、森のより奥深くからやってくるツルに備える、そしてちょうどツルが現れたタイミングでカッと目を開けた


「発動」


 たった一言の詠唱で彼女は自身の周囲に雷霆を呼び起こし、7本のツルをまとめて消し炭に変えた


「ふむ、まだロスがあるな」


「いえ、この植物の様子から明らかに魔法的要素が作用していると判断したので確実に焼き切れるよう、少し超過した出力で放電しました、ジャックは相変わらず魔法が一切使えないのでしょう?」


「む、確かに私は魔力の観測は一切できないがそれでも最近は…」


「ところで何かわかりましたか?」


「露骨に話を変えて来たな、これも成長か…っと反響定位、電位差などでこの国の地下を見てみたが面白いことが分かった、この国の『木』はもう成長することはない、根の成長点がすべて鉄の処女(アイアンメイデン)で覆われて針でメッタ刺しにされている、透視すればちょうど船体のようになっているだろうよ」


「しかしこの通り『木』は襲ってきていますが?」


「ああ、成長しないと言ってもそういうことではない、ほれ」

 ジャックはそういって、今や炭となったツルの欠片を鉄の処女(アイアンメイデン)の向こう側、島の外側に放った

 するとツルを囲うようにアイアンメイデンが現れ、消し炭を針でさらに分解し粉に変えた、そしてアイアンメイデンは何もなかったかのように掻き消える


「これは…」


「この通り、もうこの『木』はこのアイアンメイデンで仕切られた範囲から外へは成長することはないだろう、研究材料(サンプル)は逃げられはしない、この『木』はこんな化け物となっていてもあくまで『木』だ、日の沈む夜には活発には動かないだろう」


「それまではお昼寝ですか?」


「バカ言え、昼だろうがいくらでも接近する方法はある、第一お前が冒険してみたいと言ったんだろうが、それに暇つぶし以外の有効活用法を思いついた、行くぞ」


 ◇


 すっかり日は沈み、辺りに夜のとばりが下りる


「よし、んじゃ行くぞ、目指すは国の中心地だ」


「確か途中に町があるのであったな」


「そう、そこまでたどり着けばあとは国の首都があった場所までは真っすぐ行ける、だけど」


「わかっている、そこから先は夜でもツルが襲い掛かってくるのであったな、小生に任せておけ、すべて切り払って見せよう」


「頼もしいねえ、まあアンタ一人に任せっきりってわけじゃないさ、全員で協力しないと生き残れない」


 彼らは鉄の乙女たちを越えて、本来大地を形作るはずの『木』が牙をむいたこの国へと踏み入った



 ダスロの玄関口ともいえる最初の街トラクモ、此処には風以外の一切の音がせず、動くものは何もない、まるで時が止まったかのような街であった


「思っていたよりも荒れていないな、というかあの鉄の人形が落ちていたところから此処までにかけて動的な命の気配を全く感じないというべきか…」


「その通り、ツルが全部捉えて自分の栄養にしたから植物以外はこの国にはもう存在しない」


「それはそれは恐ろしいことだな」


「なんでもなさそうに言ってるがこっから先そんなことも言えなくなるぜ、っとほらお出ましだ!」


 ロノアが背に担いだ長剣を構える、彼の視線の先にはゆっくりうねうねと暗闇でうごめく植物のツルがあった


「言った通り、火は使うなよ、やつらは燃えるどころか光で活性化して手が付けられなくなる、基本的に邪魔になりそうな奴だけ斬って突破していくぞ」


「ここから宝物庫のある城までは4㎞くらい、日が昇らないうちにたどり着かないと生きて帰るのは絶望的になる」


「相分かった、それでは小生の腕前をご覧あれ、はぁっ!」

 ユナは腰に差した太刀を抜き、目の前のツルを断ち切った


 ◇


 宵町を駆けること数時間、襲い掛かるツルに時間を取られつつも大した怪我も負うことなく、ついにダスロの城下町、セオデンにたどり着いた

 しかし状況は厳しい、彼らを襲うツルは目的地に近づくほどに数を増し、戦いながらの移動は着実に彼らの体力を奪っていた


「ふう、やっとたどり着いたな、っと邪魔だ!せいっ!」


 ユナは数が増えたツルに手間取る様子を見せず、しかし鬱陶しそうに斬り払い続ける


「油断するなよ、ここからが本番だ!アース!」


「わかってる『冷たくも慈悲深き黒金の王よ、わが呼び声を聞き届け給え…』」


 アースが魔法の詠唱を開始するとそれに呼応するかのように彼らを襲うツルの勢いが強くなる、それでも彼らは詠唱を続けるアースを中心に置き守りつつも前へ前へと進んでいく


「なあ!アース殿の詠唱がツルを引き付けているように見えるのは気のせいか!?」


「いんや気のせいじゃない、奴らは魔力を感知して俺たちを襲ってる、でもここから先は本当に詠唱の時間なんてない、だからここから唱え始めてなるべく奥地で魔法を展開するんだ」


 先頭をユナが走り、ツタやツルで覆われる道を切り開いて行く、そのすぐあとをアースが詠唱を続けつつツルが再び戻らないうちについて行き、最後にロノアが後を追ってくるツルを薙ぎ払いつつ2人の後に続く


「見えた!城門だ!飛び込め!」


「そんなことを言っても硬く閉じておるぞ!?」


「安心しな!コイツはこの時のための武器さ!」


 ロノアは腰に差した短剣をすべて引き抜き、ダスロ城門に向けて投げつける、しかし重厚な門に短剣が浅く突き刺さっただけで、当たり前ではあるが門は開く素振りなど見せない


「全く歯が立って無いではないか!」


「わあってる!衝撃が来るぞ気をつけな!『解放』!」


 ギイイイイン!


「ぬっ、ぐぅ!」


 ロノアの詠唱とともに、短剣が爆ぜる、短剣は光も熱もなく、音のみで城門を破壊した


「超貴重な高威力の音魔法の魔道具だ!高えもん使ったんだ!絶対に成し遂げて見せる!」


 3人はダスロ城内に飛び込んだ


 ◇


 ダスロ城内は外と変わらずツルが生い茂り、3人の行く手を阻んでいた、そんな中でもユナは真っすぐに斬り進む


「ロノア殿!本当にこの方向であっているのか!?」


「大丈夫だ!もうちょっとだけ頑張ってくれ!何も城の中心に行く必要はねえ!できるだけ近い方がいいが、この距離ならアースが魔法を唱えればそれで終わりだ!」


「斬り進む意味など無くないか!?」


「後ろの方がツルが多いんだよ察しろ!まだかアース?」


『…樹々を縛れ鉄針ノ女王』ん、今終わった」


「「えっ?」」


 アースが詠唱を終えるとともに地に両手を着いた、同時、大地からは無数の鋼の針が生え、無差別にツルを駆逐していく

 そう、無差別にである


「「うわわわわわわ!!」」


 当然二人の足元からも少ないとはいえ針が迫った、幸いその身が貫かれることは無かったが、彼らの服はボロボロになった


「何をする!」

「もう少し気ィ使えよ!」


「ごめん…でも…これで全部終わった…」


 針はツルを貫いた端からまた地面へと潜り込みツルを縫いとめ地の奥深くへと押し込めて行く、やがて辺りに動く植物は皆無となった

 植物がすべて無くなって崩壊した城の姿が露になる、彼らがいた場所は謁見の間であり、玉座の後ろにはおそらくツルの根本があったと思われる針の壁が在った

 ロノアとアースは呆然と玉座を見つめ、涙を流していた

 ユナは二人に静かに話しかける


「ロノア殿、アース殿…」


「ああ、そういや言ってなかったな、俺たちはもともとこの国の王ぞ」

「いやそんなお涙頂戴な過去なぞどうでもいい、宝物庫はどこだ?」


「「…」」


 ぶち壊しであった


「っだあああああああ!なんでアンタは雰囲気ぶっ壊すかなぁ!ねぇ!」


「…」


「む、気をつけろ!来るぞ!」


「そんな手に引っかかるかって、な!?」


 突如、玉座の後ろの針の壁が砕け散る、中では赤黒い色をした瓢箪が脈動し、その周囲にはツルが蠢いていた


「瓢箪の化け物か…風情が無いなぁ…」


「そんなこと言ってる場合か!アース!もう一発行けるか?」


「無理…使い切った…もう寝そう…」


「寝るな!頼むから!」


 ロノアの呼びかけも空しく、アースは魔力の使い過ぎで地に倒れ、眠りについた


「くそったれ!」


 ロノアは背中の長剣を構えなおし、ユナも刀の柄に手を掛ける

 瓢箪と二人の間の空気が張りつめる


「「うおおおおおおおお!!」」


 二人の体力はもう既に限界、それでも彼らは本体の瓢箪を目指し、斬りこんだ


 ◇


「何なのだろうなぁ…この虚無感は…」


「はっはっは!まあいいじゃねえか!命あってのものだろ!」


 白海の白い波の上を行く定期船、その後方の欄干にロノアとユナは凭れ掛り、ユナは項垂れ、ロノアはその背をカラカラと笑いながら叩いていた


「確かに彼らが居なければ命は無かっただろう、しかしなぁ…」


「まあ、あれだけ苦労したのにああもあっさり持って行かれちゃあれだけどよ」


「何も宝物庫ごと持って行かんでもいいではないか」


「そうだよな、うん、俺知ってた、アンタがそういう奴だってこと」


 項垂れるユナを放って、ロノアはダスロの在った方角を見つめる、そこには今や何もなく、ただただ真っ白な海が広がるのみであった







「ジャック、貴方は天才ですがときどきバカですよね」


 表情を変えず、ラファはダスロ城の玉座に寝っ転がってそう言った


「バカとはなんだバカとは?」


 ジャックは反論しつつも眼前に浮かぶ半透明のキーボードを打つのをやめない

 白海の遥か上空、そこには中心に大きな傷を持った『木』の生えた、島と言っても過言ではない船が浮かんでいた

 船の外側は黒い金属で覆われ、甲板には捨て去られた街や城が存在する

 そう、ダスロのアイアンメイデンで囲まれていた部分そのものが船の形に整えられ、『木』をマストとして空を進んでいた


「『木』に寄生させ他国を侵略するための魔法生物兵器と思われるヒョウタンの処理、ヒョウタンが今まで溜め込んだエネルギーを利用する飛行機構、もともと地中に広がっていたアイアンメイデンの魔法解除とそれを加工した鉄の船体、どれもお見事です。

 しかしこれだけの面積、整えるのにはどれだけの労力がいるでしょうね」


「なんだそんなことか、案外お前も抜けているな」


 そう言って、ジャックはキーボードのエンターキーを押した


「む、少し体温が上昇したようですが、何をしたんです?」


「私の得意分野を忘れたか?エネルギーと物質の双方向転換とそのコントロールだ。

 この島のいらん部分をエネルギーに変えて船の形成に回し、残った分は私の中に取り込んだ、ここはまだ編集していないが、外から見ればせいぜい軍艦程度の大きさになっているはずだ。

 ほら、その玉座が気に入ったのなら残しといてやるから一旦ここから出るぞ、ここが編集できん」


 ラファは名残惜しそうに玉座から離れ、ジャックとともに城から出た


「意外ですね、ジャックはもうその技術を使わないと思っていました」


「国を滅ぼしたから、か?」


「はい」


「技術や道具に罪は無い、今回のヒョウタンもあそこにいた2人には恨まれていたようだが、恨むべきは作り手や使い手だ」


 それだけ言って、ジャックはまたキーボードをたたき始めた


魔法使いの食道楽~その11~

 『牛乳』


アリス「今回も食事描写少なかったな…パンくらいだ、なのになぜかこのチョイス」


アリス「ま、まあキーワードだし仕方ない、そう仕方ないんだ」


アリス「牛乳はタンパク質やカルシウムなどの栄養価が高い優れた食品だ、起原は紀元前9000年ごろ、家畜を買い始めたのがきっかけだ、発祥は中東辺りだと言われている」


アリス「牛乳は料理に多く利用されるほか、牛乳そのものを加工した乳製品なんかも多い、特にヨーグルトは牛乳があれば家庭でも量産できるし、健康にもいいからおすすめだ、ただし毎日摂らないと効果は薄いぞ」


アリス「そして売られている牛乳に書いてある3.6とか3.5などの数字、これは脂肪分がどの程度含まれるかを表している、3.5なら3.5%だ、ちなみに3.2%以下のものは法律上牛乳としては扱われないんだ」


アリス「今回キーワードだった4.2牛乳は4.2%も脂肪が含まれていることになる、気にしないと分かりにくいが濃いぞ」


アリス「しかし季節によって脂肪率は変化するため、冬には表示より少し高いし、夏は逆に少し低い、まあ平均値だな」


アリス「そのまま飲んでもいいが、ホットミルクにした方が消化にはいいぞ、レンジで温めるなら噴きこぼれないように注意だ」


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