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132 「僕らはいつのまにか、本の中の住人になってしまった」

僕が、女の子から受け取ったスマートフォンに書かれていた物語は、ここで終わっている。

そのスマホにあったテキストファイルのタイムスタンプは、2008年となっていた。

その当時に、書かれた物語なのだろう。

スマホの機種も、その当時のものだ。

MMOに関連した記述も、今とは少しそぐわないけれど、その当時の出来事ならまだ理解できる。


この物語に登場する人物のなかには、実在の人物と一致する名前のものもいる。

けれど、あまり実在の人物と、一致する感じはしない。

ナチの高官が、あんなふうにふるまうとは、とても思えないものがある。

彼らは軍人よりは、政治家であった。

もっと政治的に、振る舞ったはずだ。


畝傍という船は、旧帝国海軍がフランスに発注した巡洋艦と同じ名前だ。

実在した畝傍はフランスからインド洋を越え東シナ海へ入る途中で、消息を絶っている。

嵐に巻き込まれて沈没したとされているが、それにしては破片が見つかっていないという話もある。


ヴォイニッチ写本については、同名の本が存在し、かつては謎の本とされていた。

しかし、最近ではビブリオマニア向けに作られた本という見解が、一般的ではある。

魔法使いである、ジョン・ディーはこの本に関わっていたようだ。

その点は、彼女の書いたとおりとも言える。


ひとつ、思い出すことがある。

このスマホを持っていた少女は、そら色のワンピースを着ていたのだけれど。

ブーツを履いていたような気もするのだ。

気のせいかも、しれないけれど。

一体僕のであった少女は、誰だったのだろうかと思う。

時折、そら色のワンピースが夜空を横切る様を、想像してみたりもする。

そんな想像を、しているうちに。

全てがまぼろしのような気も、してしまう。

僕らはいつのまにか、本の中の住人になってしまった。

そんなことを、夢想したりもする。


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