みなと君と料理部6
「……おにぎりの海苔は、やっぱりパリパリの方が美味しいわよね」
「そうだねー、私もヘナヘナよりもパリッパリッの海苔が好きだよ」
おおっ、蛍都さんと好みが一緒。気が合いますなぁ。
ぶっちゃけ、おにぎりの海苔は、パリッパリッで芳ばしい香りがするのが好きだ。
でも、マグロ丼やイクラ丼とかの海産物系丼だったら、ヘナヘナな海苔でも全然構わない。ここら辺は、好みに寄るよねー
「もぐもぐもぐ、とても美味しいのだ。手が止まらないのだーっ!!」
「……あーもー、おにぎりを早食いしない。おにぎりは逃げないんだから、ゆっくり噛んで食べないと……喉を詰まらせるよ」
なのだ先輩、食べるのがメチャクチャ早い。
ひょいパクッと、おにぎりをバクバク食べていく。
正に、早食い・大食い大会のチャンピオンのようだ。
「…………もぐもぐもぐ、もがぁぁっっ!?」
……あっ、フラグが建った。
おにぎりを詰まらせたね、なのだ先輩。
「大変! お茶を使っておにぎりを流すのデース」
「もう、仕方がない子ね」
なのだ先輩の食道さんや、ちょいと白米さんを通りゃんせ。
二人の先輩は慌ただしく、詰まらせた先輩のお世話をする。愛されているなぁ、なのだ先輩。
俺は特にすることが見付からないので、現在は傍観に徹している。
だけど、一応最短で保健室に運ぶルートを脳内で模索した方がいいかな。
うーん、判断が難しい。御行儀が悪くなるけど心配だからね。食べ物を詰まらせた時の対処法をスマートフォンで軽く調べてみよう。
とりあえず、非常時になったら、俺を頼ってね。それまでは、ここで静観しているので……
「うふふ、二年生は、いつも楽しそうで良いわね~♡」
「マイ・エンジェルがそう言うのなら、そうなんだろうナ……」
ほのぼの系ムードで締めているけど、一歩間違えれば大惨事であったような……
まっ、先輩は懲りたのか、潤んだ瞳でゆっくりとおにぎりを頬張っているから、一件落着! なのかな……?
「ふう~、満足、満足。お腹いっぱいで動けないのデース」
そう言って、二年の先輩はレジャーシートの上で寝転んでいる。
食べ終わったら何故かレジャーシートを敷き始めて驚いたのだけど、なるほど、床でゴロゴロする為だったのか。
家庭科室の椅子って背凭れが無いし、無理矢理寝ると危ないからね。レジャーシートを敷いて床に寝る方が安全だ。
「食べてすぐに横になるなんて、牛さんになるよ。全く、なんて御行儀が悪い」
「ウモーモー、椅子の寝心地が悪いのがいけないのデース」
なのだ先輩の食欲に隠れてしまっていたけど、あの先輩も結構むしゃむしゃ食べていたもんな。これぞ食欲の春ってかんじで。秋に劣らず、春も食べ物が美味しい季節だから仕方がないかな。
「あれっ、湊は、もう食べないの?」
「あー……うん、あんまり食べ過ぎると、夕御飯が入らなくなるからね」
俺の優先順位は、今んとこ――
みなとちゃんママのご飯>(隙をみて)夕飯のつまみ食い>先輩たちのおにぎり>おやつ・間食の類い>その他
――この状態だからなぁ。夕飯が最上位の椅子に座っている状態なんです。




