みなと君と先輩
みなとちゃんからのメールがピコンピコンとリズミカルに受信される。チラッと中身を見ると、リスナー:みなとちゃんからのお悩みメールだった。
ヒューッ♪ 悩める子羊みなとちゃんにガッツリと俺が答えていくぜ。ぷぷぷ、俺の気分はゴッド。いや、みなとちゃんだからゴッデス気分か。
「湊、携帯をポチポチとやってないで、そろそろ移動しましょう」
「ごめん、すぐ支度するね」
とりあえずメールを保存だ。後でちゃんと返事をするね、みなとちゃん。
パタンと携帯を閉じると、俺はいそいそと移動教室の準備をするのであった。優等生みなとちゃんは、特別な理由がなければ授業に遅刻はしないからな。俺もきちんとそれを担うのだ。
二階から一階へ階段を下りる途中、踊り場を占拠している連中に搗合った。ネクタイとリボンの色から二年の先輩方だと思うが、くそ邪魔だ。しかも、何を争っているのか知らないけど、滅茶苦茶うるさいし。
まったく階段で喧嘩なんてしないでもらいたい。ここにいるカワイイ下級生が困ってしまうではないか、ぷんぷん。
「――どうして私じゃ駄目なんですか。私は、あの女よりも優秀で有能で優れています!!」
「……いい加減、俺に付きまとうのはやめてくれないか。はっきり言って迷惑だ」
「トク、時間が掛かるようなら、私は先に教室へ戻りますね」
「おい、面倒くさいからって俺を置いてくなよ。相変わらず、ユウは冷たい奴だな……」
階段の踊り場で騒いでいる奴等の顔をよくよく見てみたら、私服先輩と眼鏡先輩が混じってた。
畜生、こんな狭い場所でモテ男あるある劇場を開催してんじゃねーよ。チケットを持っていない俺たちは通さないって戦法か、今・畜・生。
……冗談はさておき、このままでは授業に遅刻してしまうなぁ、どうしよう。
「蛍都、どうする?」
「そうね、面倒だけど遠回りするしかないと思うわ。巻き込まれたくないし、さっさと移動しましょう」
蛍都ちゃんと小声で、ひそひそ相談。
残念だけど決定!! 関わりたくないので、別の階段を下りることになりました。
後輩に足止めをするなんて、超☆迷惑だと思いま〜す。そんでもって、超★最低だと思いまーす。
階段を上がるときにチラッと先輩方を見たら、うっかり私服先輩と目があってしまった。私服先輩は目をパチクリしてたけど、もうちっと迷惑かけたなーってかんじで、申し訳なさそうな顔をして欲しい。
関係ない俺たちを通行止めにしたんだぜ。反省シテクダサイ、反省。
「湊、早く行きましょう!」
「うん」
遅刻したら先輩方のせいにしよう。
「……本当にくだらないことで時間を無駄にしました。ハァー、もう少し女性関係を何とかしてくれませんか。大変煩わしいのですけど。トク、ちゃんと聞いていますか?」
「悪い、悪い、ちょっと考え事をしてた。さっきまで階段にいた焦げ茶の毛色の子が、どうも気になってなぁ。あー……どこで見かけたんだろ?」




