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特殊スキル持ちサラリーマンの日常 6

案件出張も晴れて終了。

次回は日常風景です(笑)


はぁ……どうしてこうなった?

俺、田無さん、蒼月さんの即席悪霊・祟り神案件対応トリオは、これまで二ヶ月間、某孤島にて悪霊・祟り神退治(というか殲滅)を行っている。

俺は一刻も早く会社へ戻って営業の仕事を再開したいのだけど、状況と相手、そして俺以外の二人がそれを許さない。


俺は、毎日のように専務と部長へ現状報告と、進捗を送っている。

田無さんと蒼月さんも会社へ報告を送っているようだが、何故か、それぞれ違った報告が二通ある。

なぜなのか理由を聞いてみると、


「正規業務の報告と、裏の報告ですよ。一応、案件としては、データベースセンター設立依頼で来てるんで、今の夜間作業は完全に余分なんです。そういうことで、報告先が違ってくるんですよ。表は俺や蒼月さんが所属してる技術サービス部門の課長宛、裏は総務部部長宛です。まあ、表と裏は整合性取ってるんで、何とかなります」


はあ、そんなもんですか。

大会社だと、いろいろ裏事情(文字通り)もあるんだなと納得……しかけるが。


「あなた達の仕事としては、表も裏もあるんで一年間くらい仕事期間が伸びても大丈夫でしょうが、こっちは問題大アリですよ。いくらなんでも、営業部の社員が営業じゃない別仕事で長期出張なんて、経費が通りませんって!ちなみに、現状の二ヶ月間でも経理に出すと渋い顔されますよ」


メンテサービスや技術部門と違い、俺達のような営業(ちなみに技術営業じゃないのだ、うちの会社の営業は)職に、めったに長期出張案件など来ない。

向こうの会社が遠いと言ったって、海外担当の営業部がある会社じゃないので、往復・向こうでの会議・宿泊も含めて通常は一週間以内が普通。


「まあまあ、落ち着いてください。通常は外部の人に頼ることはない裏案件、幽霊や怨霊退治なんですが、さすがに祟り神クラスになると相手が悪い。そこへ降って湧いたような希望が、山本さんなんです。言い換えると、今までは近接武器だけで戦っていたような部隊が、一気に高性能な遠距離ミサイル与えられたようなもんですね。相手の力が及ばない距離から、防御など無駄な大火力を撃ち込める。こんなの、通常ゲームだったらバグに近い超チートでしょうが」


さらに、蒼月さんの言うことにゃ、


「ちなみに、そちらの会社へは山本さんの待遇も報酬も、かなりのものを用意しております。なにしろ、バックにお国が付いてますので、その辺りはご心配なく」


あ、そのへんの手配は済んでるのね。

こういう裏仕事を通常案件と重ねて受注してるようなところは、さすがに違うと感心する。


結局、この厄介な出張案件、解決までに半年掛かった。

まあ、田無さんや蒼月さんからは、


「すごい!もう、歌そのものが超兵器!本当に、ここに巣食ってた、ラストの大ボス、実体化する寸前だった祟り神まで消滅させる歌なんて、本当にこの世に存在するものだと、今でも信じられない!」


「田無さんの言うとおりです。山本さんの歌がなかったら、私達だけじゃ10年掛かっても、あの祟り神は倒せなかったわ。それを、倒すどころか文字通り消滅!こんな歌声、人間が持つレベルのものじゃありません!霊や妖怪にとって、山本さんは核兵器以上の威力を持つ天敵ですよ」


ん?蒼月さんの場合、持ち上げてるのか貶されてるのか理解に苦しむが……まあいい。

俺達は、最後の祟り神が消滅したのを最終確認して(もちろん、田無さんに、だ)この孤島を引き上げることにする。

あ、通常案件としては、もうとっくに終了してたんだそうだ。

建物は建ってたし、サーバーやソフトのインストール・設定、運用テストも終わってたらしい。

残りは、これこそ案件対象の祟り神と、その取り巻きである軍団レベルの怨霊集団(元兵士だけに、かなり強かったとは蒼月さんの話。動物守護霊たちも、ようやく勝てるくらいの奴がいたらしい)だったが、俺が途中参戦したせいで、この悪霊集団と複数の祟り神も見事に消滅。


晴れて業務終了となり、俺たちは本土へ戻る。

サーバー施設の管理者である某少将など、体中が笑顔になるくらい喜んでくれてた(それまでは、夜にサーバー施設で仕事なんか無理だというくらいの霊現象だらけだったんだと)

本気で、


「君ら三名、軍衛隊に入らんか?技術大佐として迎える準備もあるんだが?」


と、本気の目で誘われた。

しかし、俺達は軍に入る気はないとお断りして、軍衛隊グッズや地元土産のフルーツを、これでもかと言うくらい贈られて帰郷。


「お疲れ様ーっす!お久しぶり、山本でーす。お土産、いーっぱい貰ってきたよー」


と、明るく挨拶したら、その足で専務のオフィスへ行けと、課長が。

おずおずと、専務室をノックすると……


クラッカーを数十発鳴らして、


「さあ!我社始まって以来の大型案件を受注し、それを見事に終了までさせて、我社に多大なる貢献をした営業の山本くんを、讃えよう!」


???をいくつも発してる俺に、専務秘書が耳打ち。


「孤島の祟り神案件の事です。あれ、別件でお国の大型案件って話になり、我が社には契約金として10億!入ってくることになったんですよ」


理解した。

ちなみに、その案件を担当し、成功させたということで、俺個人にもインセンティブとして2千万ほど給与とは別に出るとのこと。

俺は、歌ってただけなんだけどなぁ……


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