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幕間 「友情の強度は、走行距離(マイレージ)で決まるという話」

1メロスどのくらいなんだろう

放課後。寮の談話室。

拓海は、まだ手紙を眺めていた。


「……菜摘」


少しだけ、口元が緩む。


「……タクミ」


来た。

振り返らなくても分かる。


「……お前、いつからいた」


「今だ」


嘘だろ。

エドワードの視線は、写真に固定されている。


「その個体との時間が」


やめろ。


「そんなに特別か」


「……特別だろ」


軽く答える。


「ガキの頃からだし」


沈黙。


「……解せんな」


机に、本が置かれる。

重い音。


『走れメロス』


「……またそれか」


「分析した」


いや、やめろ。


「この男は、友のために走っている」


「まあ、そういう話だな」


「つまり」


一拍。


「友情とは、走行距離で証明可能だ」


「は?(なぜそうなる)」


ペンが走る。


『友情=マイレージ』

『目標:100』


「いや、やめろやめてください」


「タクミ」


嫌な予感。


「お前は人質になれ」


「なんでだよ!」


「私は走る」


「だからやめろって!」


エドは立ち上がる。


「これより」


一拍。


「100メロスを実行する」


「おい動詞にすな!」


そのまま飛び出す。


「待て! ……いや待てって言われても待たねぇけど!」


静寂。

拓海は天井を見る。


「……バカだろアレ」


一拍。


「……いいわ、もう寝よ」


ーーーーーーーーーーーー


深夜。


ドンドン、と扉が叩かれる。


「……タクミ……!」


嫌な予感しかしない。

ドアを開ける。


いた。


泥。汗。ボロボロ。


「……帰ってきたぞ」


「何してんだお前」


「100メロス」


「だからやめろって」


「完走だ」


立ってるのが不思議な状態。

それでも、笑う。


「これで」


一拍。


「友情の強度は、最大値だ」


「……バカじゃねぇの」


拓海はため息をつく。


「入れ」


無理やり中に引きずり込む。


「風邪ひくぞ」


薬を探す。


「……お前さ、なんでそこまでやるんだよ」


エドは、少しだけ目を細める。


「……合理的だからだ」


「なにがだよ…」


「お前が」


一拍。


「そこにいるからだ」


沈黙。


「…は?」


言ってる意味がよくわからない。

が、とりあえず答える。


「てかそういうの重いってばよ」


「そうか」


「そうだよ」


暖炉の火が、小さく鳴る。


「……ヤバイな」


「風邪の方がな」


夜は、静かにふけていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


悠馬君の父、佐伯拓海と、ノアの父、エドワード・ハミルトンのお話です。


いいねや感想など、いつも励みになっています。

この話もゆるく続いていく予定なので、

また気が向いたときに覗いていただけたら嬉しいです。

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