第40話:最後の学園祭と、蠢く影
数日後、司の学園祭が開催されていた。
校門をくぐった瞬間、色とりどりの装飾と生徒たちの歓声が一気に司を包み込んだ。
「わー! 今年の学園祭、最高じゃん!」
「C組の焼きそば、行列すごいらしいよ! 早く行こー!」
「A組のホラーハウス、去年より怖くなったって噂!」
校庭には屋台がずらりと並び、揚げ物の香ばしい匂いと甘い綿菓子の匂いが混じり合っていた。
生徒たちは制服にエプロンやハチマキを巻き、笑い声を上げながら走り回っている。
どこからともなく音楽が流れ、クラスの出し物ブースでは「いらっしゃいませー!」という元気な声が飛び交っていた。
司は優子と手をつなぎ、クラスの喫茶店シフトを終えたばかりだった。
優子は頰を少し赤らめながら、司の腕に軽く寄りかかるように歩いていた。
「司くん、今日も一緒に回ろうね! 絶対楽しいよ!」
優子はいつもの学生らしい明るい声で言った。
司は優等生の完璧な笑顔を浮かべ、優しく相づちを打った。
「そうだね。優子ちゃんと一緒ならどこでも楽しいよ」
内心では(本当に退屈だ……このテンプレな会話、笑顔、すべてが同じ。青春ごっこなんて、ただの時間つぶしに過ぎない)と冷めきっていた。
二人が校内を歩いていると、周囲の生徒たちがすぐに気づいた。
「わー、司くんと優子ちゃんの美男美女カップルだ!」
「手つないでる! 羨ましー!」
すれ違う生徒たちから、冷やかしと歓声が飛び交う。
別のグループでは、男子が女子に花束を渡して告白する場面も見られた。
「ずっと好きだった……学園祭を一緒に過ごしたい」
女子は頰を赤らめながら「私も……」と頷き、二人は照れ笑いを浮かべながら手を繋いだ。
さらに先のベンチでは、もう一組のカップルが肩を寄せ合ってソフトクリームを分け合っていた。
「学園祭、一緒に回れて嬉しい……」
「うん、私も!」
そんな青春の甘い空気が校舎全体に満ちていた。
二人が校庭を歩いていると、偶然くるみ先生と出会った。
くるみはいつもの舌っ足らずな可愛い声で話しかけてきた。
「司くん! 優子ちゃん、こんにちは~」
優子も笑顔で返した。
「先生、こんにちは!」
くるみの目は少し潤んでいた。
それは優子に司を取られたことへの嫉妬というより、深い悲しみだった。
司はそれに気づき、くるみの耳元にそっと唇を寄せて囁いた。
「お前のところには、いつでも遊びに行ってやるよ」
その言葉でくるみの表情がパッと明るくなった。
「楽しんでねぇ、司くん、優子ちゃん!」
くるみは元気よく手を振りながら去っていった。
優子はくるみの後ろ姿を見送りながら、少し羨ましそうに言った。
「やっぱりくるみ先生、顔も可愛いしスタイルいいよねぇ……」
優子は自分の身体を少し見下ろした。
司は優子の耳元で優しく囁いた。
「優子ちゃんだって可愛いよ」
優子は顔を真っ赤にして、
「バカ……恥ずかしいよ」
と照れながら司の腕を軽く叩いた。
そんなひとときを終えて、中学最後の学園祭もフィナーレを迎えた。
クラスでの後片付けも終わり、司は優子を家まで送り届けた。
玄関先で優子は少し寂しそうに、しかし嬉しそうに言った。
「楽しかったなぁ……中学最後の学園祭」
司は優等生の笑顔で答えた。
「そうだね。優子ちゃんと一緒にいられたことが一番の幸せだったよ」
優子は顔を真っ赤にさせて、
「司くん、また明日ね」
と言って家に入っていった。
司は一人になると、内心でため息をついた。
(青春ごっこ、本当に飽きてきたなぁ……)
その頃、神崎は高田博士の研究所を訪れていた。
研究所は不気味な雰囲気に満ちていた。
地下深くに広がる廊下は冷たい金属の壁で覆われ、青白い照明が微かに明滅している。
空気は消毒薬と機械油の匂いが混じり、遠くから低く唸るような機械音が響いていた。
壁沿いに並ぶパイプからは時折蒸気が漏れ、床には複雑な配線が這っていた。
高田博士は神崎の姿を見ると、慌てて頭を下げた。
「ありがとうございます。予算を大幅に増やしていただいて……」
神崎は冷たい声で言った。
「これでこの二体を何とかしろ」
高田は震える声で答えた。
「1号は葦原がAIに指示して現在調整しておりますので、もうしばらくかかります」
神崎は苛立った様子で「急げ」とだけ告げた。
高田はさらに奥の部屋に神崎を案内した。
そこには巨大なガラスカプセルが二つ並んでいた。
一つ目のカプセルの中では、1号の身体が無数のチューブと電極に繋がれ、青白い培養液の中でゆっくりと浮かんでいた。
筋肉が微かに収縮し、血管が浮き上がり、機械的なアームが皮膚に微細な注射を繰り返していた。
もう一つのカプセルでは、再調整中の個体が同様に浮かんでいた。
身体の各部に赤い光のラインが走り、細胞レベルでの再構築が進行中だった。
高田は震える声で説明した。
「もう一つはようやく身体の復元が終わりました。ここから再調整をしていきますので、1号よりは早く完成いたします」
神崎は冷たく聞いた。
「一度負けたスクラップで勝てるのか?」
高田は必死に答えた。
「今回の再調整で彼は2年の寿命となる代わりに、以前以上の性能を手に入れることができます。お任せください」
神崎は「期待している」とだけ言い、研究所を去っていった。
アルカディアではクロノスが同じく研究所にいた。
奥で作業をしている男がいた。クロノスが近づくと、そこにいたのはなんとか葦原であった。
葦原はクロノスによって地下牢獄を脱出、アルカディアのメンバーとなっていた。
クロノスは葦原に催眠や服従の能力を使わなかった。
この能力は基本的にその人間の考える力を失わせるからである。
葦原は最初こそ抵抗したが、最強で完璧なパーフェクトヒューマンを作りたいというクロノスの野望に興味を持ったのである。
クロノスは葦原に質問した。
「これはどうだ?」
葦原は目を輝かせて答えた。
「はい、クロノス様の未知の技術投入と私の経験により、本当のパーフェクトヒューマンが完成します。ただし、寿命が起動してから5年ほどになりますが大丈夫でしょうか?」
クロノスは静かに答えた。
「五年あれば十分だ」
葦原はさらに10機の調整カプセルに入った個体を見せた。
各カプセルは青白い培養液で満たされ、無数のチューブと電極が繋がっていた。
機械的なアームがゆっくりと動き、細胞レベルでの強化を進めていた。
葦原は興奮した声で言った。
「これも寿命は5年ですが、これまで以上の能力のある戦士となります」
クロノスは満足げに頷いた。
「楽しみにしている」
クロノスは去り、ディープ・エデンのある倉庫に入っていった。
そこには目を輝かせている男達がいた。
クロノスは静かに言った。
「諸君、ようやく差別の時代は終わりを迎える。諸君らの意志でこの聖戦に参加してくれることを私は大変嬉しく思っている。今日が戦いの始まりだ」
男たちは絶叫し、拳を振り上げた。
そして、ディープ・エデンから街に進み出したのである。
レイはクロノスに心配げに聞いた。
「あの者達で大丈夫でしょうか?」
クロノスは他人事のように答えた。
「勝手にやるんだ。俺は知らんよ。あいつらには軽く睡眠をかけただけだ。あとは日頃の鬱憤をはらすためにある武器を渡してな。この行進は明日の朝には目的地に到着して皆の信念で行動を起こすだろうさ」
そしてレイをいつもの部屋に連れて行き、ベッドの上でキスを繰り返した。
二人の舌がねっとりと絡みつき、甘く淫らな吐息が部屋に満ちた。
クロノスは仮面を外し、レイの首筋を優しく愛撫した。
レイは「あっ……」と甘い吐息を漏らした。
クロノスは彼女の下半身を捲り上げ、敏感な部分をストッキング越しに優しく撫で回した。
「ひっ……やっ……あぁんっ……」
レイは身体を震わせながら甘い声を上げた。
すでにストッキングは湿り気を帯び、熱い蜜が染み出していた。
クロノスはストッキングとパンティーをゆっくりと脱がせ、彼女の秘部に指を滑り込ませた。
「あっ……あっ……あぁんっ……ダメ……クロノス様……」
レイは言葉にならない喘ぎを漏らしながら、腰をくねらせた。
クロノスは自らズボンを下ろし、レイの唇の近くに熱く脈打つ自身を近づけた。
レイは自ら顔を寄せ、唇を大きく開いて深く咥え込んだ。
ジュボ……ジュボジュボ……という激しい音が響き、レイは喉の奥まで受け入れながら、舌をねっとりと絡めて奉仕した。
「あっ……あぁんっ……」
レイは涙目になりながらも、快楽に溺れた顔でクロノスを貪った。
クロノスはレイの腰を抱え、熱い塊を一気に最奥まで突き入れた。
「あぁぁっ……!」
レイの身体が跳ね上がり、甘い悲鳴が部屋に響く。
クロノスは容赦なく腰を振り、肉と肉がぶつかり合う激しい音を立て続けた。
レイは何度も達し、身体を激しく痙攣させながら「あっ……あっ……あぁぁんっ……クロノス様……壊れちゃう……♡」と喘いだ。
彼女の秘部はびしょびしょに濡れ、結合部から白い泡が溢れ、太ももを伝うほどだった。
クロノスはレイの胸を強く揉みしだき、敏感な頂を指で摘まみながら、さらに激しく突き上げた。
レイはもう言葉にならない喘ぎを繰り返し、何度も絶頂を迎えて失神寸前になった。
「あっ……あぁっ……イクゥゥ……♡ もう……おかしくなる……♡」
やがてクロノスは最奥深くに熱い奔流を放ち、レイは全身を激しく痙攣させながら受け止めた。
クロノスはレイの乱れた髪を優しく撫でながら、静かに息を吐いた。




