第38話:整った舞台と、静かな別れ
司とくるみはあるアパートにいた。それはくるみが前に住んでいたボロアパートに比べると少しマシな程度のアパートだった。壁紙はまだ新しく、床もきしみが少なく、キッチンには最低限の調理器具が揃っていた。壊れた家具以外はすべてこの部屋に持ち込んであり、くるみの散らかり癖がそのまま反映された部屋は、どこか懐かしい臭いが残っていた。
司はベッドの横に座り、くるみの寝顔をぼんやりと見つめていた。
「んんんっ……」
くるみが小さく声を上げ、ゆっくりとまぶたを開けた。
司はすぐに彼女の耳元に唇を寄せ、低く落ち着いた声で囁いた。
「お前は何も見ていない。この部屋は先月引っ越した部屋だ」
暗示が染み込むようにゆっくりと言葉を刻む。
くるみの瞳が一瞬ぼんやりと揺れたが、すぐにいつもの舌っ足らずな甘い声が戻ってきた。
「おはよう、司くん……」
彼女は起き上がるなり、司の胸にぴったりと身体を預け、両腕でぎゅっと抱きしめてきた。柔らかな胸の感触が司のシャツ越しに伝わる。
司はあきれたような顔を作りながら、くるみの背中を軽く叩いた。
「なにがおはようだ。3日も寝てたぞ」
くるみは目をぱちくりさせて首を傾げた。
「えっ……学校どうしよう……」
「大丈夫。明日の朝は普通に登校できるようにしておいた」
司は事前に白鳥に手を回していた。くるみは「研修」で、司自身は「学習塾の合同勉強会」という名目で休みを申請済みだった。白鳥はすでに司の雌豚として完璧に操られていたから、書類工作など造作もなかった。
くるみが寝ている間、司は白鳥の家へ行っていた。
白鳥の部屋は几帳面に整理整頓され、本棚の本は背表紙がぴったり揃い、床には埃一つなかった。真面目で几帳面な性格がそのまま表れた空間だった。
司が入ると、白鳥はすぐに「司様……」と甘い声で身体を押しつけてきた。すでに顔は紅葉のように赤く染まり、息が熱く乱れていた。彼女は司の胸に頰を擦りつけ、指先でシャツのボタンを外そうとする。
司は白鳥の薄い真面目そうな唇を自分の口で塞ぎ、舌を深く絡めて彼女の言葉を封じた。
白鳥は「んっ……んむっ……」と喉の奥から甘い声を漏らしながら、司の身体にしがみついた。司はそのまま彼女を抱き上げ、ベッドルームまで運び、乱暴にベッドに押し倒した。
白鳥のブラウスのボタンを強引に引き裂くように外し、薄い胸を露わにする。司は片手でその胸を揉みしだき、敏感な頂を指先で優しく転がしながら、もう片方の手でスカートの裾をまくり上げた。
「あっ……あぁんっ……司様……だめ……」
白鳥は口ではそう言いながら、すでに瞳は完全に蕩け、腰をくねらせて司の手を求めていた。
司はパンティー越しに彼女の敏感な部分を優しく撫で回し、布地を湿らせるほど愛液を溢れさせた。
「だめって……だめだって……」
白鳥の声は甘く震え、脚が自然と開いていく。司はパンティーをゆっくりと引き下ろし、成熟した秘部を露わにすると、舌を這わせてねっとりと舐め上げた。
ぺちょぺちょ……れろれろ……という淫らな水音が部屋に響き、白鳥は背を反らして「あっ、あっ、あぁんっ!」と甘い喘ぎを漏らした。彼女の太ももが司の頭を挟み、蜜が舌に絡みつくように溢れ出す。
司は秘部を丁寧に愛撫し続けながら自分のズボンを下ろし、熱く反り返った自身を白鳥の顔に近づけた。
白鳥は自ら顔を寄せ、唇を大きく開いて深く咥え込んだ。ジュボッ……ジュボジュボ……という激しい音が響き、彼女は喉の奥まで受け入れながら、舌をねっとりと絡めて奉仕した。
「ああっ……司様……」
白鳥は涙目になりながらも、快楽に溺れた顔で司のものを貪った。
司は白鳥の腰を抱え、熱い塊を一気に最奥まで突き入れた。
「あぁぁっ……!」
白鳥の身体が跳ね上がり、甘い悲鳴が部屋に響く。司は容赦なく腰を振り、肉と肉がぶつかり合うパンパンという激しい音を立て続けた。白鳥は何度も達し、身体を激しく痙攣させながら「あっ、あっ、あぁぁんっ……司様……壊れちゃう……」と喘いだ。彼女の秘部はびしょびしょに濡れ、結合部から白い泡が溢れ、太ももを伝うほどだった。
司は白鳥の胸を強く揉みしだき、敏感な頂を指で摘まみながら、さらに激しく突き上げた。
白鳥はもう言葉にならない喘ぎを繰り返し、何度も絶頂を迎えて失神寸前になった。
やがて司は最奥深くに熱い奔流を放ち、白鳥は全身を震わせながら受け止めた。
ハァハァと荒い息をつく白鳥を抱きながら、司は耳元で低く囁いた。
「くるみのことと俺のことを完全催眠で覚えておけ。学校を休んでも違和感がないように」
白鳥は朦朧とした瞳で頷き、司の命令を深く刻み込んだ。
そして司は部屋を出て、ある国家機密の場所へ向かっていった。
くるみが起きたのはその数時間後だった。
彼女はぼんやりと目をこすりながら、舌っ足らずな甘え声で言った。
「ずっと一緒にいてくれたんだねぇ……司くん……」
司は軽く笑って立ち上がった。
「もう気がついたのなら帰るよ」
「司くん、またねぇ……」
くるみは脳天気に手を振りながら見送った。
自宅に帰ると、母がおかえりなさいと笑顔で言ってくれた。
司は母の耳元に唇を寄せ、囁いた。
「ただいま、かあさん」
母の表情が一瞬で変わり、母としての顔から雌の顔へ溶けていく。
司は母を抱き寄せ、ベッドルームへ連れていった。
1時間後、母はベッドの上で疲れきって横になっていた。司はそれを見下ろしながら静かに息を吐いた。
(これでお膳立ては整ってきた。あとはあのターゲットを手に入れるだけだな)
作戦失敗の翌日朝、神崎は村上を呼び出した。
神崎は強い口調で言った。
「工作は上手くいったか?」
村上は冷めた顔で答えた。
「完璧には無理だよ。あの状況でガス爆発なんて、今日のニュースを見て疑問に思わない人間なんていないさ」
神崎は苛立った様子で村上を責めた。
「村上が制することができればこんな問題は起こらなかったんだぞ」
村上はあきれた顔で一言、
「そうだな」
と言いながら、諜報局の身分証を神崎に差し出した。
「村上……村上さん……」
神崎の声がわずかに動揺した。
村上は静かに、しかし激しく怒りを隠した状態で言った。
「俺はもう無理だ。申し訳ないが、もうキミの力になるつもりはない」
村上は三行半を突きつけるように言い、扉へと向かっていった。
「待ってください!」
神崎が呼び止めたが、村上は振り返らずに扉を開けた。
「俺はもうキミのおもりに疲れたよ」
静かな声で言い残し、村上は部屋から出て行った。
神崎は頭を抱えながら、その豪華なシートに腰を下ろした。
部屋に残ったのは、重く静かな沈黙だけだった。




