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51話 王の称号

〜〜ラルナside〜〜


「無駄だよ。 嬢王陛下様」


ヴィシュヌ……!


答えかねている私をおいて、両開きの扉を開く音共にヴィシュヌの声が入ってきた。


「ヴィシュヌ……!」


怒りを含んだ声にひるむ事なく、ヴィシュヌは私の横を通り過ぎ、お母さんの隣に立つ。


「言っただろう。 彼女は竜族に洗脳されている可能性があるって」


は!? なにをいって……


一瞬、ヴィシュヌがなにをいってるのかわからず、私は少し考えた。


そして、理解できたと同時に、反対の声上げる。


「私は洗脳なんかされてない!! そんな奴の言葉を信じないでお母さん!」


「じゃあ、教えてくれる。 貴方は、何故ここにいるの?」


「ぅ……それは……」


再び言葉に詰まる私を見て、ヴィシュヌがフッと笑う。


「言えないだろうね。 この国を滅ぼす為に帰ってきたなんて」


「ふざけないで!! 私はそんな事しようとなんて思ってない!!」


「上手な嘘だね。 確かに君は思ってないかもしれない。 滅ぼすのは竜族だからね」


「ちが……」


「もういいわ」


反論をしかけた私の声に被せ、お母さんは冷たい声で言った。


もういいって……


「最初の問いに答えて貰うわ」


「……」


「貴方は今。 どちらの味方なの。

……竜族なのか、私なのか……」


「私は……!」


問いを無視して、反論を続けようとした瞬間、喉元に後ろから刃を当てられる。


「申し訳ございません」


喉元に刃を当てているのは、ダイルさんだった。


……ダイルさんまで……!


「良く考えて答えなさい。 ラルナ」


聞こえてきた声は、もう私の知っているお母さんの声ではないような気がした。


良く考えろって、こんなのただの脅しじゃない……!


なにを考えろって言うのよ……!


(不安になるかもしれませんが……今は、ただ自分を信じてください)


……!


不意に、ダイルさんの言葉が頭の中に流れてきた。


自分を信じる……


もしかして、ダイルさんは……


複雑に絡み合っていた謎という名の糸が、今、一本の糸に戻った気がした。


「……」


こんな状況にも関わらず、自然と笑みが浮かんでくる。


私はそれをグッと堪えて、口を開く。


「……なにを言われたって私の考えは変わらない。 私は、竜族の味方よ」



〜〜ヘイロンside〜〜


あれからフォルディナは、俺達から少し離れ、一人武器の手入れをしていた。


「フォルが悪いことをした。 すまない……」


そんなフォルディナを見ていると、カミラが申し訳なさそうに謝ってきた。


「いや、謝るべきなのは俺だ……本当にすまない……」


「……」


俺がもう一度謝ると、間を空けてからシャカラが口を開いた。


「そいつを許してやってくれないか?」


……シャカラ……


「そいつは、どうしようもないほど馬鹿で、救いようがないほど間抜けで、無駄にプライドの高い阿呆だ」


庇ってくれるのかと思った矢先、とてつもないスピードで罵倒を浴びせられ、俺は声を上げそうになる。


……こいつ……!!


「だが」


「……」


「仲間思いで、良いやつだ」


「……!」


その言葉で、芽生えかけた怒りが、一気に萎んだ。


「そいつは竜族を救うため、ラルナを攫ったのだ」


…………


「……竜族の中でも嫌われ者のこいつは、恨んでいるはずの私達竜族の為に、汚れ仕事を請け負った。

……先にも言ったが、こいつは馬鹿で間抜けで無駄にプライドの高い阿呆だ。 そんなこいつが、責任を感じ頭を下げるなど、私は初めて見る」


「……」


ラルナと出会ったからこそだろう……

自覚はないが、俺はきっとあいつに全てを変えられたんだ。


「その姿に免じて、許してやってほしい……それでも恨みが晴れないのであれば、こいつだけではなく、私達竜族全体を恨んで欲しい」


シャカラの言葉は、やや上から目線の言葉だったが、俺にはそれが、精一杯の詫びの言葉なのだろうという事が理解できた。


……お前も、俺と同じだよ……


知り合ったばかりのあいつに、いつ、どこで、何を言われたのかは知らないが、お前も変えられてる……


「私達は、竜族を咎めるつもりはないさ」


シャカラの話を聞いて、ラルが柔らかい声でそう言った。


「私達に色々な事情があるように、竜族にも色々な事情があるのは理解している。 何も恨む事はないだろう……」


「……」


「恨むのであれば、この現状を産んだ元凶を恨もう」


やっぱり似てるな……じじいに……


俺はラルの言葉を聞きながら、そう思った。


姿や顔、性格が似てるんじゃない。

風格とも違う……

なにか言葉で言い表せない物。


…………


同じ王の称号を持つ者。

種族は違っても、背負ってるものが同じなんだろう……

だから、そう思うのかもな。


「王様。 そろそろ作戦を話した方が良いのでは……」


今までずっと黙っていたガダが、ラルにボソボソッと呟く。


……本当に控えめな性格なんだな……


「む。 そうだな」


言うと、ラルは少し咳払いをする。


「みんな。 集まってくれ。 作戦の再確認をする」


……作戦か。

あらかじめ考えてたんだろう。

だが、ヴィシュヌに……ガルーダ部隊にそれが通用するのか……?


ご閲覧ありがとうございました!


次回もよろしくお願い致します!

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