48話 組織の理由
〜〜ヘイロンside〜〜
ゆっくりと扉が開けられる。
「……」
どう詫びたら良いのか……
考えてなかった訳じゃない。
……ただ……
…………
「……きたか」
扉が開ききる前に、一人の男性が声を上げる。
その声の後直ぐ、中の景色が現れた。
タドの部屋を見たときも思ったが……ここはそれ以上だな……
「相変わらず汚い所だねぇ」
扉の中に入りながら、タドはそう言った。
お前が言うかッ!
と、突っ込みたいが、今はぐっと我慢をしておこう。
そう思いながら、もう一度辺りを見渡す。
でもそうだな……そう言いたくもなるか。
椅子や机……それ以外にも、色々な物が部屋全体に散っている。 床や壁には、なにかで切り裂かれたような傷も付いている。
まるで、この部屋ごと手の中で振り回されたかのような、そんな景色だ。
そんな荒れた景色の中、4人の男性が椅子に座っている。
その一番右端にいる色の抜けた髪の男が、最初に声をかけてきた。
「君達が、噂の友達? と言う奴なのか?」
友達……?
ああ、そうか。
ヴィシュヌの予言で……
「ああ……」
言った後、俺とシャカラはタドの肩から離れ、近くにあった机の上に降りた。
「そうか……君達がラルナの……」
小さく微笑むと、どこか王竜のじじいに似ているような気がした。
「とりあえず、自己紹介から始めよう」
白髪の男は、左端の方から説明をし始めた。
「左端の体格の良い彼の名前はガダ。 ここの店の店主だ」
「よろしく頼む……」
ガダは低い声で無表情のまま短く言う。
「見ての通り、彼は少しシャイでね。 あれでも君達を歓迎してるんだ」
そうは見えねぇけどな……
「その隣の彼の名前はフォルディナ。 見て分かると思うが、この中では最年少だな」
「……」
……だいたい、ラルナと同じ位の歳か……?
紹介されたその少年フォルディナは、黙ったまま鋭い眼差しをこちらに向けてきている。
「こらフォル。 そんな目を向けるんじゃない」
フォルディナの右隣にいる男が、小さな声で叱りながら、短くツンと立ったフォルディナの髪の上に手を置いた。
「……」
それでもフォルディナは、黙ったまま鋭い視線を送り続けてくる。
「はぁ……すまない。 気を悪くさせてしまって。 私の名前はカミラ。 この子の父親だ」
言いながら、カミラはフォルディナの頭の上に置いた手をくしゃくしゃと動かす。
「やめろよ親父……」
フォルディナは、その手をめんどくさそうに右手で払う。
こいつら親子か。 確かに目元や口元が似てるとは思ったが……
「最後は私だな」
そう言うと、白髪の男は正面に向き直り、再び口を開いた。
「私の名はナーガ・ラル」
「ッ!」
「この国……ジャダイの元王。 そして、ラルナの父親だ……」
ナーガという言葉を聞いた瞬間にわかった。
「あんたがラルナの……」
…………
「そういえば言ってなかったっけ?」
少し遠くで、リュカを優しく撫でながらタドが言った。
「私達、反王宮側を最初に作ったのはこの国の国王。 ラルナ王女の父親だよ」
この国の王が反王宮側を?
いや、ありえない話じゃないか……
「タドの言う通り。 私が反王宮側の力を集めた。 妻とヴィシュヌの野望を止めるために」
「……野望」
「……話すには、まず私達とラルナの出会いを話さなければならない」
「ラルナとの出会い……?」
「そもそも、私と妻のヒマナは、ラルナの本当の親ではないのだ」
「……いわゆる義親ってやつか」
「……」
ラルは黙って頷いて答える。
そして、少し間を置いてからもう一度口を開いた。
「……ラルナは昔、ヴィシュヌから譲り受けた」
「なッ!? どういうことだよ!」
「…………ヴィシュヌから言われたのだ。 この子を守って欲しい。 いずれ、この子の天候の力を悪用する者が現れる時まで……と」
俺達の事か?
いや、それ以前におかしいだろ。
あいつの容姿を見る限り、ラルナとほぼ歳は変わらないはずだ。
「おかしいと思うのも無理はないだろう」
俺の顔を見てから、ラルはそう言った。
「……」
「以前彼とあったとき、容姿が全く昔と変わっていなかった……約15年もの歳月が流れたにも関わらずだ。 ……恐らくだがヴィシュヌは、不老不死なのかもしれない」
……不老不死……
「ま、まてよ……じゃああいつは、ヴィシュヌの子供だっていうのかよ!」
「その可能性もなくはないだろう……」
ヴィシュヌが不老不死で……ラルナがその子供……
意味がわかんねぇよ……!
なんだよそれ……!
「……ヴィシュヌから最初に話を聞いたときは、信じてはいなかった。 だからこそ、その赤ん坊と子供を捨てておくわけにはいかないと思った」
「……」
「私達はラルナとヴィシュヌ、二人の面倒を見ることにした。 だが、ヴィシュヌはその次の日から姿を消してしまったのだ。 この子が災いを呼んだ時に、僕はまた戻ってくると……書き置きを残してな」
災い……
ヴィシュヌが戻ったのは俺がラルナをさらってから直ぐの事……
災いっていうのは、やっぱり俺達の事なんだろう。
「竜がラルナを攫い、ヴィシュヌが戻ってきたときに、ようやく信じることができた。 ヴィシュヌの言っていた事は本当の事なのだと」
「だったら……どうして反王宮側なんてもんを作ったんだよ」
「……ヒマナは、ラルナを取り戻す事に必死になり、ヴィシュヌと協力してガルーダ部隊を作り始めた。 だが、私はそれは反対した」
「……? どうしてだ?」
「竜に、敵意はないと思ったからだ」
「……」
「もしあったのなら、ラルナを攫うなどせずに攻撃してしまえばいいのだからな」
確かにそうだ……
「それに、国に強い力を作る事はとてつもなく危険な事なのだ。 現にヒマナは今、多くの国民をその力で脅している。 今、この国の問題が治ったとしても、その力を置いておけばいずれ国は滅ぶだろう。 私は、それを止めるために反王宮側の組織を作った」
ご閲覧ありがとうございました!
しばらくヘイロンのターンですが、そろそろラルナの方に戻るかな?
次回もよろしくお願い致します!




