46話 地下通路にて
〜〜ヘイロンside〜〜
「ついてきて。 あたし達の集会場所まで案内する」
タドはそう言うと、階段の下に降りて行った。
「……」
俺は、シャカラと顔を見合わせて頷くと、小さな翼で飛びながら、タドについて行く。
階段を降りた先でも、上とはほとんど風景は変わっていなかった。
本や瓶が散乱しており、違うところを挙げるとすれば、大きな台の上でリュカが寝ている事だけだろう。
「安心して、死んでないから」
言いながら、タドはリュカを背負い始める。
「わかってる。 ……もう、大丈夫なんだろ」
「ええ。 まぁ、いつ起きるかはわからないけどね」
リュカを背負ったタドは、足で本を蹴り始める。
……? いったい何を……?
そんな俺の疑問を、シャカラは代弁をしてくれた。
「いったい、何をやっているのだ」
その問いに、タドは本を蹴り続けながら答える。
「この下に、隠し通路があるんだ。 反王宮側の酒場に繋がる通路がね」
「酒場……?」
「そう。 あたし達の集会所さ」
そこまで話しを終えると、タドは本を蹴っていた足を止める。
積み上がっていた本に隠された床が露わになると、そこには取っ手のついた小さな扉があった。
タドはそれを足で開けると、その中に入っていく。
それを見てから俺達も、タドに続き中に入る。
……これは……洞窟?
中は、人が4人程横に並んで歩ける広さの通路になっていた。
「ここは、天然の洞窟を利用して作った地下通路」
横の壁にかかっているランプに火をつけながら、タドは話し始める。
「入ってすぐのこの場所はただ掘っただけだけど、もう少し進むと天然の洞窟に繋がる。 そこはかなり複雑に道が入り組んでて迷いやすい」
ランプに火をつけ終わり、タドはそれを手に持つと俺達に見せる。
「明かりはこれ以外ないから、離れないようにして」
あたりはほぼ暗闇。
影のような冷たさが体を包んで来る。
……なるほど。
確かにはぐれたら大変そうだな。
「ああ、わかった」
俺はそう言うと、タドの肩に乗った。
シャカラも、俺と同じようにタドの肩にのる。
「……!」
それに驚いたのか、タドは奥へ進もうとした足を止めて、俺を見た。
「悪いが肩を借りるぜ」
「あ、あんたら、以外に馴れ馴れしいんだね……まぁ良いけど」
そう言うと、タドはまた足を進めだす。
……実際は、このくらいの暗闇なら全然見えるんだけどな。
ただ、この姿だといかんせん体力が持たない。
……恥ずかしい話、ずっと飛んでいられないんだ。
恐らく、シャカラもそうだろう。
…………
だが、以外だな……
他族に協力をねだるなんて、蛟族が一番嫌う事。
そんな一族の王であるシャカラが、普通に人に頼っている。
……さっきだってそうだった。
俺達の目的は、実際達成している。 シャカラなら、人間と協力などやめて、すぐにじじいの所に帰ると思っていたが……
…………
(私はラルナではないが、同じ女ではある。 感でしかないが、あいつはきっとそう思っていたはずだ……)
俺は、さっきのシャカラの言葉を思い出す。
……こいつの過去に……なにか関係があるのか?
…………
俺がそんな事を考えながらシャカラを見ると、ちょうどシャカラが話し始めた。
「タド。 聞きたい事があるのだが、良いか?」
「ええ。 いいわよ」
「お前達は、私達が今日ここに来る事を知っていたのか?」
……?
「どう言う事だよ」
俺は頭に疑問が浮かび、シャカラに問う。
「お前もさっき文句を言っていたであろう」
文句……?
ああ、なんでラルナを止めなかったか……
「あ……」
俺はそれを思い出した途端に、シャカラの言いたい事が理解できた。
「気づいたみたいだな」
「ああ……」
「タド。 お前は最初からラルナの事を分かっていたのだろう? そして、私達……いや、ヘイロンがラルナを追い払う時の会話も聞いていた……しかし、お前はそれを止めようとはしなかった。 それは恐らく、それが作戦のために都合の良いものだったからだ。 違うか?」
「……ええ。 そうよ」
タドは、歩き続けながら答えた。
「だが、そこで一つ問題が生じる。 それは、私達にジャダイの情勢を教えた事だ」
「……」
「あのタイミングでジャダイの情勢を教えたのは、恐らく私達を味方につけるためであろう。 そうなると、私達がお前に見つけられたのはただの偶然ではなくなる……
そもそも、あの姿を見て竜だと即座に判断するのは、やはり難しい筈だ。 あの時は、上手いように言いくるめられたが、やはりそれだけでは無理がある。 ……私達が竜だと信じられたのは、また別の理由があるはずだ」
……それが、元々俺達がここに来るのを知っていた理由……
だが……本当にそれだけのためなのか?
俺とシャカラを味方に入れるためだけにラルナを国へ戻らせた……それはおかしい。
だったら、3人全員に話して味方になってくれと頼む方が良いだろう。
断られる可能性も考えたのだろうが、ヴィシュヌや竜族対抗のガルーダ部隊の事を話せば、それだけで十分だと考えられる。
それでもラルナを止めなかったのは、国に一度戻さなきゃならない理由があるからだ。
タドは、シャカラの問いを一通り聞くと、小さく溜息をついた。
「あんたら凄いよ。 あんな少ない情報から、感を含めてるとはいえ、ほぼあたし達の考えを看破してる」
「……」
「そう……あたし達はあんたらが国に帰って来ることを知ってた」
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