44話 隠される真実
〜〜ヘイロンside〜〜
そんな事をしたら、俺達は思うようにヴィシュヌ達と戦えなくなる……!
いや、そもそもヴィシュヌがジャダイと組む事自体ダメだ!
そうなると、俺達はヴィシュヌを攻撃すると同時に、ラルナを……ジャダイを攻撃する事になっちまうッ!
「だめだッ! それだけはなんとか止めねぇといけねぇッ!」
俺は、声を荒げてタドに言う。
「まぁ、落ち着きな。 あんたと同じように思ってる人間も、国にはまだいる」
タドの発言に、シャカラが口を開く。
「それが、ヴィシュヌ反対派の人間達か。 確かに、もし最初の予言が仕組まれたものだったとしたら、今のジャダイの状況は危うい」
落ち着いた声でシャカラがそう言うと、タドが続けて口を開く。
「そう考えた者達が王宮側に講義をしたが、それらは全て弾圧されたんだ。 最初は、あんた達竜族に対抗するために作ったであろう、ガルーダ部隊を使ってね」
……ヴィシュヌ……!!
タドの話しを聞けば聞くほど、自分の中に怒りが溜まっていくのを感じる。
「さらに王宮側は、可笑しな発言をし始めたんだ。 ……恐らく、この発言でジャダイは完璧に二つに割れた」
「…………」
「…………」
「王宮側は王女ナーガ・ラルナを、場合によって処分する事を決定した」
両手一杯に注がれた水が溢れるように、俺の怒りは既に溢れ出していた。
「ふざけんなッ!! なんでラルナが殺されそうになってんだッ!」
荒げた俺の言葉に、タドは冷静に返してくる。
「わからない。 王宮側は、何故かその理由を話さないんだ。 ……まぁ、話したところであたしの意思は変わらないんだけどね」
「……あんたもあんただ……」
「……?」
「なんでそれを知っていてラルナを止めなかったんだッ!」
俺の言葉を聞いて、タドは冷たい表情になる。
「……なにを言ってるんだい。 王女を突き放したのはあんただろう?」
「……ッ!」
冷静に放たれたタドの言葉に、俺は言葉を詰まらせる。
……クソッ! なんで俺は他人当たってんだ……!
俺は、我慢しきれない怒りに歯をくいしばる。
「……なんて言うのは冗談だよ」
それを見てからか、タドは表情を戻してそう言った。
「……冗談……?」
「これ以降は、あたし達に協力しなきゃ話せないわ。 あたし達、反王宮側の人間達に協力してもらはないとね」
〜〜ラルナside〜〜
久々に浴びた湯は、まるで暖かい雲に持ち上げられるような、衝撃的な気持ちよさだった。
私は、用意されていた新しい服に着替え、自分の個室へと戻る。
…………
まさか……お母さんが、あんな風に私を心配して泣いてくれるなんて……思ってもなかった。
……複雑な気持ちだよ……本当に……
自室の扉の前に、ダイルさんと執事の人がいる。
私は軽く会釈をしてから自室の扉を開き、中に入って寝台へと腰を掛ける。
「ふぅ……」
私は小さくため息を吐きながら、ダイルさんに湯浴みをする前に言われた言葉を思い出す。
(ラルナ王女。 覚悟ができたら、私に声をお掛けください……女王陛下がこの国の現状をお話したいと、おっしゃっております)
「…………」
そういえば、まだなにも聞いてない……
この国の現状と、ヴィシュヌの関係について……
……覚悟って、いったいどう言う事なんだろう?
やっぱり、ヴィシュヌの所為でなにか大変な事になってるのかな。
…………
ダメだ……とにかく今は話しを聞かないと、動くことも、考える事も出来ない。
私が扉から出ようと、寝台から立ち上がると、扉からコンコンと、ノックが聞こえて来た。
「なに?」
私はそれに、少し大きめな声で答える。
「お食事が届きました。 中に入ってもよろしいでしょうか?」
声の太さから、ダイルさんが喋っているのだろうとわかる。
ちょうど良かった。
「入って来ていいよ」
私が言うと、ダイルさんは扉を開け……
「失礼します」
と言って、お辞儀をする。
「そんな堅苦しくしなくていいのに」
「いえ、そういう訳にはいきません」
そう言って、ダイルさんはお辞儀から直ると、台に乗せられた食べ物を、ゆっくりと運んできた。
「……それに、わざわざ運んで来てくれなくても、私食堂に行くのに……」
「まだ帰って来たばかりでお疲れでしょう。 雑用は私達にお任せください」
言いながら、ダイルさんは寝台のすぐ横にある机に、物を移す。
そんな、疲れを癒してる程ゆっくりもできないよ……
早く、ヴィシュヌの企みを暴かなきゃ……
台から全て移し終えると、ダイルさんはまたお辞儀をして部屋から出ようとする。
「あ、ちょっと待って!」
私はそれを、手を伸ばして止める。
「……なんでしょうか?」
そう言って、ダイルさんはこちらに振り向く。
「話したい事があるから、まだちょっと部屋の中に居てくれる?」
「……わかりました」
ダイルさんは私の要望に、そう答えると、そのままその場に立ち続ける。
「さ、流石に椅子ぐらいには座りなよ……」
「大丈夫です。 お構いなく」
「逆に私が話しづらいよ……」
「ではこれで……」
ダイルさんはそう言うと、片膝をついて床に座る。
「いや、それもほとんど変わらない……と言うかさっきより悪化してるような……」
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