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42話 ……ただいま

最近、連投のお陰かポイントが少し伸び始めました!


読んでくださっている皆様、ありがとうございます!




〜〜ラルナside〜〜


ヴィシュヌに言われたままに歩き続けて、30分程たっただろうか。


辺りは、静寂と暗闇に包まれている。


たまに聞こえる風の音は、静かな水面に波紋を作るかのように、私の焦りと不安を煽ってくる。


いったい、ヴィシュヌは何をしたの……


なぜ、国が私を迎えに来ているのか……それは、私が生きていると知ったから。

じゃあそれを教えたのは誰か……それは恐らくヴィシュヌ。

でも、なんでヴィシュヌは私達がここに今日帰ると知ったのか……


……ヴィシュヌは、未来を知ってるのだろうか……


以前にもヴィシュヌは気になる行動を見せた。


私が捕まった時、まだヘイロン達が来ていないにも関わらず、ヴィシュヌは私の拘束を解いた。

まるで、ヘイロン達が来ることが分かっていたかのように……


でも、おかしい。


未来が分かっていたのなら、もっと簡単に私達を潰せるはず……

そもそも、私を竜族に渡さないようにすることだって出来た。

ガルトの裏切りだって、分かってたはずだよ。


……詳しくは未来を見れない力なの?


…………


暗闇が続く中、突如静寂が消えた。


鎧の擦れる音と、人の声が微かに聞こえ始める。


……もう、すぐだ。


私はその音に耳を澄ませながら、ペースを崩さずにそのまま歩く。


近づくにつれ、音は大きさを増す。

それに呼応するかのように、私の心音も大きくなっていく気がした。


……帰ったら、なんて言われるんだろう。


私の緊張は多分、全部この疑問から来ているんだと思う。


人の声が明瞭に聞こえてくる。


私は、自然と木々に隠れるように進み始めた。


最初の家が見えてくると同時に、王宮の兵が私の方向を見て並んで待っているのが見えた。


……ッ!


私はその異様な風景に、声を上げそうになりながら、木の後ろに隠れる。


あれを見れば、聞かなくてもわかる……ヴィシュヌはやっぱり、国と関わってたんだ。


…………


私は木から少し顔を出し、もう一度見る。


よく見ると、後ろには馬車が控えていた。


……ここから出てあそこに行けば、もう帰れないかも知れない。


…………


……帰るって、どこによ……


私は、見えない何かを握るように、強く拳を握る。


私の帰る場所はもう一つだけ。

行くしかないんだ。


意を決し、握った拳を解くと共に、私は並んだ兵の前に出た。


その瞬間。


「敬礼ッ!」


一人の兵が大声でそう言った。


それを聞いた周りの兵は、一斉に右手を胸の中心に当てた。


……久しぶりに見た光景。

今見れば余計に感じる……この光景の異常さを……


先程声を出した兵が、ゆっくりと私に近づいてくる。


多分この人は……


私もゆっくりと歩き、近づいてくるその人の元へと向かう。


お互い目の前まで近づくと、その兵は頭の鎧を取った。


やっぱり……


鎧を取ったその顔は、お世辞にも優しい顔立ちとは言えない、髭を生やした厳つい顔だった。


「ダイルさん……」


私の消え入りそうな声を聞いたダイルさんは、恐らく精一杯の優しい顔を作る。


「ご無事で良かったです……! ラルナ王女……! 本当に……!」


その顔は、優しい顔というよりも、嬉しさを隠しきれない顔だったのかも知れない。


私も、今作れる精一杯の笑顔を作り……


「……ただいま」


と、一言返す。


「……おかえりなさいませ」


ダイルさんはもう一度敬礼をして言うと、そのまま話を続けた。


「申し訳ありませんが、色々な事情があり、また直ぐに馬車で移動します」


「事情……?」


「そのことは、後ほど追って話をしたいと思っております。 今は馬車にお乗りください」


「……わかった」


「では、こちらへ……」


私はダイルさんに先導され、後ろの方に控えていた馬車に乗った。


馬車の中は、恐らく4人用なのだろう。

長椅子が、前と後ろで向かい合うように置かれている。


なんとなく私が後ろ側に座ると、ダイルさんは向かい側の椅子へと座った。


扉が閉められると、ゆっくりと馬車は進み始める。


窓から見える景色は村ではなく、また森へと戻っていた。


あれ……王宮に戻るんじゃ……


「御心配なく。 この馬車は王宮に向かっております」


私が問う前に、ダイルさんは答える。


「ラルナ王女は今まで行方不明の身でおられましたので、いきなり村や街中を通ってしまうと混乱を生みかねます。 なので、それらを避けるために迂回ルートを通って裏門から王宮へと帰ります」


「……そっか」


「途中、どうしても街中を通ってしまう箇所があります。 その間はカーテンを閉めて頂きます。 夜明けには恐らく王宮につくでしょう……少し時間はかかりますが、ご理解の程を……」


「大丈夫……」


だったら、夜明けまでに今の国がどうなってるのか聞いておきたいけど……


瞼が重い……


なぜだろう……馬車に乗ってから、急に眠気が強くなったきがする。


疲れてるのかな……


私は首を支えるのが辛くなり、壁に寄りかかる。


まぁ……今日は色々な事があったから……

疲れるのも仕方ないか……


…………


もう、会えないかな……


視界が狭くなると同時に、虚しさと寂しさに襲われる。


……ちゃんと、自分から言って別れれば……

そうしたら……こんな気持ちには、ならなかったのかな……


私は、完全に目を閉じて思考を止めた。

ご閲覧ありがとうございます!



やっぱり、感想やブクマ、評価、レビューなんかを貰えると、自分の小説が読まれてると実感できるので、とてつもなく嬉しいです。


前書きでも言いましたが、改めて……


本当にありがとうございます!

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