↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
40/64

39話 言葉の裏側

〜〜ヘイロンside〜〜


時間は過ぎ、外はもう夕暮れに染まっていた。


あれからラルナは、ずっと膝を抱えて座ったまま、顔を下げている。


俺はそんなラルナを床から見上げながら、どう声をかけて良いか、ずっと迷っていた。


今……この場で言えば、ラルナはきっと……


俺は口を開き、喋ろうとするが……


「…………」


結局何も言えず、そのまま口を閉じた。


覚悟は決めた筈なのに……どうして言えないんだ……どうして……


言うんだ!

こいつの為にも……!


「ヘイロン」


「ッ……!」


最後の一歩を踏み出せずにいる俺の様子を見て、シャカラが話しかけて来た。


「なにを躊躇っているのだ。 いつまでお前は、口を開けては閉めを繰り返している」


「ぅ……」


「迷っていても仕方がなかろう。 話さねば決断することすらできないのだぞ」


「…………」


ラルナは顔を上げ、なんの話をしているのかわからず戸惑っている。


…………


「そんなに話すのが辛いのであれば、私からラルナに……」


「まてッ!」


「……?」


「俺が、言う」


もう決めたんだ。 だから俺が……


「なに、ヘイロン。 何か私に言うことでもあるの?」


明らかに元気のない声で、ラルナは応える。


覚悟は決めた。

今更揺らぐな。 非情になれ。


……こいつの為にも。


「……ふぅ……」


俺は小さく息を吐いてから、ラルナに言葉を放つ。


「ラルナ。 お前はもう帰れ」


場の空気が一気に張り詰めた。


視界の先では、ラルナだけでなくシャカラまで驚いているのが見えた。


「冗談でしょ?」


ラルナは、苦笑いを浮かべ俺に言う。

その表情が、俺の心を針で刺してくる。


冗談だと、言ってやりたい。


だが俺は、非情に徹し、平静を保ちながら、冷たく言葉を投げる。


「……冗談なんか言ってねぇよ」


その言葉を聞き、ラルナは立ち上がり俺を睨む。


「じゃあ、なんであの時に言ってくれなかったの……」


「あの時?」


「私がお爺さんの話を聞いて、突然倒れた時よ……!」


……ッ!


俺はラルナの言葉を聞き、その時の事を思い出す。


(……私、皆が迷惑じゃないんだったらここに置いて欲しいと思ってるの)


そうだ……そうだよな……

あの時に言ってやれば……


俺はそれを思い出し、さらに胸が苦しくなるのがわかった。


「…………あの時は、お前の話を聞いて情が移ってたのかもな」


「……」


「でも悪いが、今はなんとも思っちゃいねぇ」


「……」


今にも破裂しそうな感情を抑え、俺は最後の言葉を吐く。


「ハッキリ言ってやる。 俺はお前……」


「……ッ!」


その最後の言葉を聞き終える前に、ラルナは走ってこの家から出ていった。


「…………」


張り詰めた空気が続いたまま、辺りに静けさが訪れる。


これでもう、あいつは帰ってこないだろう。

もう、辛い目にも会わない。


……寂しいが、お別れだ。


ラルナが出ていった扉を見つめ、俺は心の中でそう呟いた。


破裂しそうになっていた感情が、不思議と萎んでいく。


「なぜだ……」


静けさの訪れたこの部屋に、シャカラの声が響く。


「私にはやはりわからない。 お前達……いや、お前のその行動がわからない」


「……」


「あの時……お前は反対していたのではないのか? あいつを……ラルナを残したいと考えていたのではないのか?」


「……」


「答えろ。 なぜお前は、王竜様の言いつけを破りあんな事を言った」


「……」




時は少し遡り、ジャダイ出発前日まで戻る。



「ここからが我の提案だ」


ガルトは一呼吸を置き、また口を開く。


「今、リュカ殿は致命傷を負っている状態……そしてそれは、我らでは治すことが出来ない。 ならば、どう治せば良いのか。 恐らく、方法は一つしかないだろう」


「人間の知識を借りるのか」


王竜のじじいの言葉に、ガルトは縦に頷く。


「ここから一番近い国はジャダイ……ラルナ殿の国」


俺はガルトがそこまで言って、何を言おうとしているのか理解した。


「お前……まさかラルナを帰そうなんて考えてねぇだろうな」


「……ラルナ殿だけではない。 リュカ殿も残って貰おうと思っている」


「ふざけんじゃ……」


「ヘイロン」


ガルトに言葉を吐こうとする俺に、じじいが静止をかける。


「わかっていると言ったであろう」


「……」


俺にそう言うと、じじいはガルトへと顔を向ける。


「ガルト……お主の提案に、一つ条件を付け足したい」


「条件?」


「うむ。 ラルナとリュカ……帰るか残るかは、二人の意思に任せたいのじゃ……」


「つまり、二人に残れと言うのではなく、残るかどうかを聞くと言う事にしたいと」


「しっかりと力のリスクの事も説明した上でのう」


「そんなのいらねぇだろ!」


俺は、じじいとガルトの話が終わったところで声を出す。


「あいつらなら、絶対に残るって言う筈だろ! そんな疑うような真似……」


「それはヘイロン……お主の願望でもあるのではないか」


「ッ!! それは……!」


「不安なのではないか? 自分からラルナ達が離れていってしまうのが」


「んなこと思っちゃいねぇ!! 俺はただ……!」


「ただ、あいつらの事を思って……か?」


じじいは、俺の言おうとした言葉を先読みして、言葉を放つ。


「本当に思っているのではあれば、こんな危険な目に合わせている方が辛い筈じゃろう」


「…………」


じじいの言葉は正論だった。


「……決まりじゃな。 この件に関しては、シャカラとガルトに任せようと思う」


「……待ってくれ」


「……?」


「俺も……俺も行かせてくれ」


だから俺も、こんな事を考えたんだろう。

ご閲覧ありがとうございます!


花粉症なのか疲れ目なのか寝不足なのか……とにかく目に潤いが足りない……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。