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35話 小さな竜

〜〜ヘイロンside〜〜


ガルトの能力で小さくなる……いったいどんな感覚なんだろうか……


「少し驚くかもしれないが、動かずにじっとしていてくれ……」


ガルトからそう言われ、俺は目を閉じた。


…………


妙な緊張感が体を走る。


……まだか?


そう思うと同時に、自分の体に異変が表れ始めた。


!! 身体が……縮んで……!


俺はそれに驚き、少し体を動かしてしまう。


……やべー……体動かしちまったけど、大丈夫か……?

……失敗とか……しねぇよなぁ。


そんな不安を抱えながら、十五秒くらいたっただろうか。


ガルトが、自分の体から離れたのがわかった。


「もう動いてくれてかまわない」


その声が聞こえ、俺は安堵し、ゆっくりと目を開く。


俺は、自分の手と足、そして尻尾を見てから、周りの風景へと目をやった。


「……本当に、小さくなってやがる……」


いつも見る風景が、何倍にも大きく見える。

草も……木も……竜も……

その全てから、大きな重圧感のような物が感じられた。


大きさが変わるだけで、こんなにも違うものなのか……


「ヘイロン!」


「……!?」


この姿で見る風景に、不思議な感動を受けていると、ラルナが大きな足音を立てながら近づいてきた。


俺はその地響きに小動物のように反応し、ラルナの方へと顔を向けた。


「な、なんだよ……」


「……」


不思議な物を見るような目で、静かに俺を見つめてくるラルナ。


普段とは逆の立場になると、こんなに怖いのか……


そんな事を考えていると、急に体が浮く感覚に襲われた。


「……なっ」


ラルナに手で掴まれたのだと気付いたのは、体が浮いてから少し経ってからだった。


「お、おい! なにしてッ……はなせ!」


「あんたって……」


手の中で暴れている俺を見ながら、ラルナは少し笑いながら言葉を放った。


「なんか……トカゲみたいだね」


と、トカ……?


「はッ!……てめぇ……!」


俺は一瞬固まったが、すぐに自分が小馬鹿にされているのだと気付き、もう一度手の中で暴れた。


「馬鹿にすんなコノヤロー!!」


「別に馬鹿にしてないよ。 ただ、心の底からそう思っただけ」


「だから、心の底から馬鹿にしてるんだろうが!?」


「ハイハイごめんごめん。 わかったから肩に乗ってて」


そう言いながら、ラルナは自分の肩に俺を近づけた。


「子供をあやすような言い方しやがって……覚えとけよお前! ぜってぇ言い返してやるからな!」


俺はそう言って、しぶしぶラルナの肩に乗る。

その姿を見て、親父が口を開いた。


「良いではないか。 翼の生えたトカゲ。 かっこいいと思うぞ」


「フォローになってねぇから少し黙ってろクソ親父……!」


「す、すまん……」


「シャカラの方も終わったみたいじゃぞ」


親父が謝った後に、王竜のじじいがそう言ってシャカラ達の方へと顔を向けた。


「ラルナ。 すまんが肩に乗せてやってくれ」


「うん」


ラルナはそう言うと、シャカラの方へと向いた。


「ていうか、やっぱりあの人と行くんだ……」


「だからそうだって言っただろ? 聞き分けねぇ馬鹿だなお前」


俺はラルナの独り言に、わざと毒をいれて返した。


「……」


「……」


瞬間、肩を大振りに走り出すラルナ。


「おい! おまッ……」


肩が大きく揺れ、また体が浮いた。

俺は危うく落ちそうになり、急いでラルナの服を掴む。


「おい馬鹿! 止まれ!」


「は?」


俺の制止の声を聞き、ラルナは止まって不思議そうにこちらを見てきた。


「は? じゃねぇよ! 俺の事を考えろ!」


「え? ……ちゃんと掴まってればいいでしょ?」


「て、てめぇ……さっき自分でなに言ってたか覚えてんだろうなぁ……首筋に噛み付くぞ」


俺はそう言って自分の鋭い歯を見せた。


「じょ、冗談だって! ちゃんと歩いてくよ」


ラルナはそう言って、肩は大振りのまま歩きだす。


「ば、馬鹿! それじゃかわらねぇだろ! おい! 待てって!」


結局そのままシャカラの所まで行き、俺は肩の上で振り回された。


目的地が目で見えているほど近い筈なのに、俺は途方も無い疲労感に襲われる。


……はぁ……はぁ……こいつ、覚えてろよ……


ラルナはシャカラを両手に乗せ、俺の時のようにジッとシャカラの事を見ていた。


俺も疲労のたまった体を起こし、ラルナの肩から顔を出してシャカラを見た。


そこにいたのは、俺の知っているシャカラではなく、翼の生えた少し大きい白いトカゲだった。


……た、確かに……トカゲみてぇだな……


シャカラを見て、ラルナの言っていた事に納得してしまい、変な気持ちが込み上げてくる。


……お、俺もあんな感じなのかよ……


「か、可愛い……」


「はぁ!?」


俺は、ラルナの発言に思わず声をあげた。


「か……かわ……」


シャカラも、珍しくおどけている……と言うか、もしかして照れてるのか?

いや、そんなことより……


「てか、なんであいつを見た感想は可愛いになるんだよ!!」


俺は、大声でラルナに意義を唱えた。


「同じだろ!? 俺とほとんど同じだろ!? トカゲでいいだろうが!」


「いや……色、違うじゃん?」


「色だけだろ! だったらあいつも白いトカゲでいいだろ!」


「私白色好きだから……」


「んなの知るか!!」



ご閲覧ありがとうございました!

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