34話 二つの不安
以前報告でも書きましたが、感想受付設定がユーザーからのみになっていたので、変更して誰からでも感想送れるようにしておきました。
気軽に感想を送ってくださると、作者は喜んではじけてまざります。
〜〜ラルナside〜〜
なんだろう……みんないつもと違う気がする。
……違うというより……なにかおかしい……
…………
私は、そんなことを思いながら周りを見渡した。
暴走した会話を止めようとしていたアノクダツさんが、なぜか青じいに叱られている。
いや……考え過ぎ……なのかな……?
まぁ、とりあえず……
「ねぇ、三人共そろそろ落ち着こうよ。 恥ずかしいよ? というか、恥ずかしくないの?」
私は三人の熱を冷ますように、少し冷ややかに言葉をはいた。
「ん……う、うむ」
私の言葉を聞いて我に帰ったのか、おじいさんは咳払いをしてから話を戻した。
「ラルナも大まかな事は分かっているようじゃしな。 早速になるが、帰るための準備に入ろう」
「準備?」
「うむ」
準備って、いったいなにをするんだろう?
「お前はともかく、俺達はこのままじゃ入れないだろう? そのための準備だ」
疑問を浮かべていた私に、ヘイロンがそう言った。
「なるほどね……って、ヘイロンも来るの?」
「俺と、あともう一人いる」
「もう一人?」
「まぁ、そこら辺は移動しながら話す。 リュカを連れてこい」
「うん、わかった」
私はリュカを背負いながらヘイロンの背中によじ登った。ヘイロンはそれを確認すると、すぐに移動のために空を飛んだ。
冷たい風が、肌を刺すように吹き付けて来る。
私は、できるだけ寒さをしのぐためにリュカに抱きついた。
あったかい……リュカがいてくれてよかった。
「おい、怪我人にあんま乱暴すんなよ」
リュカに抱きついている私に、ヘイロンは前を向きながらそう言った。
「してないわよ! あんたこそ、落とさないでよ!」
「お前がちゃんとつかまっててくれれば良いだけだろう?」
「あんたが落とさないよう気を使いなさいよ! あと寒いのよ!」
「それはどうしようもねぇだろ……」
会話の途中、不意に強い風が吹いた。
「……ぅ」
私は小さくうめき声をあげ、リュカに抱きついたままたまらず顔を毛皮の中に埋めた。
風はしばらくの間続き、私の耳から他の音を奪う。
…………
風が止むと、小さな呼吸音だけが私の耳に入ってきた。
……リュカ……
音と共に、身体がゆっくり膨らむのがわかる。
頰を伝ってリュカの体温と鼓動を感じると共に、私は言いようもない不安に包まれた。
胸が苦しくなり、喉から勝手に空気が漏れていくような感覚が私を襲った。
途端に、体が震えだした。
……これが、寒さによるものじゃないということは、すぐにわかった。
「……」
「……」
怖い……
もう二度と話せなくなるかもしれない……
もう二度と会えなくなってしまうかもしれない……
そんな不安と恐怖が、体を包んで締め付けてくる……
…………前もそうだった。
ヘイロンがずっと寝込んでいた時も……
インヨのおばぁさんは、ヘイロンならこれくらい大丈夫だって言ってたけど……でもやっぱり、怖かった。
…………
私の震えがさらに大きくなったとき、ヘイロンは口を開いた。
「安心しろ……」
「……!」
私は、ヘイロンの言葉に声も無く驚いた。
…………
……そっか……ヘイロンの背中に乗ってるんだから、震えてたらわかるよね……
「リュカなら大丈夫だ……絶対に……」
「……」
「あいつは強い。俺よりもお前よりも、強い」
「……」
「だから大丈夫だ」
ヘイロンの言葉が、恐怖と不安の上から被さり私を覆う。
「それに、リュカを死なせないために俺達が動くんだろ? だったら、そんな事で怯えてなんていられねぇだろ」
…………
「……わかってるわよ……バカ」
私は、いつの間にか目尻に溜まっていた涙を袖で拭い、改めて決意を固めた。
〜〜ヘイロンside〜〜
ラルナの国……ジャダイが遠くに見えてきた所で、俺達は地面に降りた。
結局俺は、ラルナに何も話さないまま目的地に到着してしまった。
……懐かしいな……この浜辺も……
「ヘイロン」
景色を眺め懐かしさに浸っていると、先にここにいたシャカラが声をかけてきた。
「あ?」
「そいつがナーガの人間か」
「ああ、そうだ」
「……」
シャカラは、俺の背中にいるラルナをジッと見ている。
その視線を感じながら、ラルナは俺に小声で話しかけてきた。
「あの竜は?」
「蛟族の女王。 シャカラだ」
「女王?」
「あぁ、女だからな」
その瞬間、シャカラの視線が鋭くなる。
「……」
「……」
その視線を浴びた俺達は、小声の会話を止めた。
「……そいつのいう通り、私は女だ。 それになにか文句でもあるのか」
「い、いや別に……」
震えた声でラルナが答える。
その言葉を聞いたシャカラは、視線を外しその場から離れていった。
「ねぇ……ヘイロン。 もしかしてだけどさ」
「ああ、あいつだ」
「まだ何にも聞いてないでしょ!」
「でもそういう事だろ?」
「そういう事だけど……」
「てか、いつまで背中に乗ってんだお前。 降りろよ」
「わかってるわよ」
俺は少ししゃがみ、ラルナが降りるのを待つ。
ラルナがリュカを背負い降りたのを確認すると、俺は腰を伸ばしてから元の姿勢にもどった。
「ふぅ……」
「大丈夫か? ラルナ」
リュカを背負って一息ついているラルナに、王竜のじじいがそう言った。
「うん、大丈夫。 それで、こっからどうするの?」
「うむ。 まずヘイロンとシャカラを、ガルトの能力で小さくする」
「え? 小さくって……」
「む? 移動中にヘイロンから聞いていないのか?」
じじいは、そう言って俺を見てきた。
「まぁ、色々あってな……話忘れてた」
「全く……お前という奴は……」
呆れたようにため息をつくと、じじいはラルナにガルトの能力だけを説明し始めた。
…………
……近くで話しているはずのじじいの声が、どこか遠くで話しているように感じる。
許されようとは……思ってない……
むしろ、恨んでくれていた方が楽なのかもしれない……
貶され、殴られる方が……
それで、気が済んでくれるなら……俺は……
…………
俺は、胸に溜まった重い空気を静かに吐き出した。
いつまで俺は悩んでるんだ……
「ヘイロン?」
いつの間にか近くにいたラルナが、俺の名前を呼んだ。
「ん? ああ悪い、少し考え事してた。 で、話は終わったのか?」
「うん」
「じゃあ後はガルト、頼んだ」
俺がそういうと、ガルトは俺の肩に乗ってきた。
「任せてくれ」
ご閲覧ありがとうございました!
最近、この小説の表紙? ぽい物を描いたので、近々イラスト置き場が更新されるかも……




