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32話 力のリスク

少し遅れましたがあけましておめでとうございます!

〜〜ラルナside〜〜


あの後、ヴィシュヌ達を逃してしまった私達は、一度王竜のおじいさんの巣に帰ることにした。


私は、完全ではないけれど力をある程度意識する事が出来るようになった。


これで私はやっと力になれる。


しかし、力を得て喜ぶ私とは対照的にリュカの容態は悪化していくばかりであった。


「リュカ……」


あれから3日。

リュカは目を開ける事はない。


「リュカ……ごめ……」


私は、今も寝ているリュカに謝ろうとして、口を塞いだ。


違う。 謝るくらいなら行動をしなきゃいけないんだ。

今、私が出来る行動を……


「まっててね。 すぐに良くしてあげるから」


私は、リュカの頭を撫でながらそう呟いた。




〜〜ヘイロンside〜〜


強い風が吹くと同時に、俺は体を震わした。

木々はすっかり枯れてしまい、辺りにはこの時期独特の静けさが現れていた。


……王竜のじじいに親父、インヨのばあさんと青じい、そしてガルト。

ここから、少し離れた場所にはリュカとラルナがいる。


こんな形で俺達が集められたと言うことは、恐らくラルナについての話し合いがあるからだろう。


俺はラルナとリュカの方を見て、もう一度体を震わした。


「リュカの容態はどうなのだ……インヨよ」


「……良くなる兆しは……」


じじいの質問に、ばあさんは首を横に振りながら答えた。


「そうか……」


「……もう三日間も何も食べず飲まず……単純に考えても、リュカちゃんには限界が来ているのかもしれません……」


ばぁさんの一言一言が、重く感じられた。

俺はそんな重い言葉を振り払うように、声を押し出す。


「……死ぬまであいつを見てるだけしかできねぇなんて……俺はやだぞ」


この場にいる全員が同じ気持ちなのだろう。

皆の顔は、暗くはなっていなかった。


「馬鹿馬鹿しいな」


「ッ!」


そんな俺達の気持ち踏みにじるように、罵声の言葉が上からふってきた。

その声を聞くよりも早く目に入った純白の鱗に純白の翼。


俺はすぐに誰かわかった。


俺とはまるで対照的な色合いの竜の名は……蛟女王……


「シャカラ……!」


シャカラは、こちらに向かってゆっくりと地面に降りてきた。


「久しいなヘイロン」


「なんのようだよ……」


「別に私はお前に用があってきたわけではない、王竜様に用があってきたのだマヌケ」


「てめぇ……! 相変わらず憎たらしい口調をしやがって!」


「褒め言葉として受け取っておこう」


シャカラはそう言って俺の言葉を適当に流し、じじいと話し始めた。


「王竜様。 蛟の村はほぼ立て直す事が出来ました」


「うむ。 村の竜は連れてきたか?」


「はい。 今は下で待機させています」


「良い判断じゃ。 疲れたであろう? しばし休んで行くと良い」


「ありがとうございます」


ここまでの会話が終わると、シャカラはすぐにガルトに鋭い視線をむけた。

その視線に、恨みや憎しみが込められているのは言うまでもない。

……ガルトも感じているだろう。


しかし、ガルトはそれを受けながらも怯まずに堂々とそこに立っている。

それがまたシャカラをイラつかせているのだろう。


「おいシャカラ」


俺はその視線をこちらに向けるように、シャカラに呼びかけた。


「なんだ馬鹿者」


「……んな怖い顔してんじゃねぇよ。 もう知ってんだろ? あいつは敵じゃねぇって」


「知らんな」


「じゃあ教えてやるよ。 あいつは敵じゃねぇ味方だ」


「奴がまだ味方のふりをして騙しているとも限らんだろう。 やはりマヌケだな」


「騙されているにしろ、今の俺達にはガルトの力が必要だ」


「変わったな。 いつのまにお前はそんなに弱くなった」


「仲間を頼るのは別に弱さじゃねぇだろ」


「いいや、それは弱さだ。 それに、そいつは仲間じゃない」


「……お前はただビビってるだけだろ?」


「なんだと……」


「……自分より強い奴がいる事が怖いんだろ」


「なにを馬鹿な事を……」


「近くに自分より強い……しかも敵かも知れない奴がいたらそりゃ怖いよなぁ」


「……」


「仕方ねぇよなぁ! お前”女”だもんなぁ!」


「貴様……!」


シャカラは牙を剥き出し、俺を押し倒してくる。


「少し喋りすぎだ……」


「いつまでもビビってんじゃねぇよ。 しっかりと村の竜達を守りたきゃ、自分のプライドくらい捨てやがれ……!」


「お前に私の何がわかる!」


「やめんか二人とも!!」


青じいは喧嘩をしている俺達に向け、大声でそう叱りながら、尻尾で俺を叩いた。


「痛っ! なんで俺だけだよ!」


「すまん。 避けてくれると思っていたのだが……避けなかったから当たってしまった!ガハハハ!」


青じいはそう言って豪快に笑い始めた。


青じいも叱るのか笑うのかどっちかにしろよな……


「すまぬ青竜殿……我のせいで」


ガルトは申し訳なさそうに青じいに謝った。


「気にするなガルト! 悪いのは全部こいつらのせいじゃからな! ガハハハ!」


青じいはそう言って俺の頭を掴んで寄せてきた。


「だからなんで俺だけ……」


「ゴホンッ!」


じじいはわざとらしく大きく咳払いをして、話しを止めた。


「色々脱線し過ぎじゃ。 話を戻すぞ。 まずリュカの事、そしてラルナの力についてじゃ」


「王竜殿」


「む? どうしたのじゃガルト」


「リュカ殿とラルナ殿の力に関して、色々説明と提案がある」


ガルトは少し前に出て、話し始めた。


「まずラルナ殿の力……というより我達全体にも言える話なのだが……全ての力は、力の大きさに比例してリスクを負う事を知っておいて欲しい」


力のリスク……


俺は虯の村での事を思い出した。


……思い当たる節はある。

多分、虯の村での戦いで起きたあの症状……それがそのリスクにあたるものなんだろう……


「例えばだが、我の力。 自分自身や触れた物を大きくしたり小さくしたりする能力では、小さくすれば、そのサイズに見合った力しか出せなくなる。 逆に大きくし過ぎれば、一時的に大きな力を得るが、その後に肉体への大きな負担がかかってしまう。 これが、我の力のリスク。

そもそもこの力という物は、ガルト族や竜族にしかないと思っているかもしれないが、全ての生き物が個々に形は違えど、もっているものだ。 だが、大抵の生き物はそれに気づかずに死を遂げる。

我は、この力をコリョクと呼んでいる」


コリョク……個々に違う力をもつから、個力か……


「すまない。 質問をしてもいいか?」


「なんだ?」


親父の声に、ガルトはそう言って返した。


「個々に力が違うと言っていたが、竜族はその種族によって皆同じ力を使うのだが……」


あ、そういえば……そうだよな……


「それはコリョクではないのであろう。 恐らく、その種族特有の特技、特性というものだろう……そう考えると、もしかしたら蛟や虯というのは竜族とはまとめられているが、本来は全く別の生き物なのかも知れないな……我のかってな推測ではあるが」


「なるほど。 その特技や特性にもリスクはあるわけだな……」


「恐らくだが……」


……多分だが、じじいや青じいのあの力はコリョクなんだろうな……


皆、ガルトの話しを聞き思い当たる節や、疑問があるのか……険しい顔をしていた。


「ここまで長々と話したのだが、我が一番言いたいのは”ラルナはここに置いておくべきではない”という事だ」


「な!?」


俺は、その言葉を聞いて反射的に叫んだ。


「ヘイロン。 落ち着くのじゃ」


じじいは落ち着いた声でそう言ったが、俺は素直に落ち着く事は出来ない。


「でもじじい!」


「わかっておる。 ヘイロン。 そして、ガルトが言いたい事もなんとなくじゃがわかった」


「……」


「ラルナの力は、天候を操るという大きな力。 そして、それに比例してくるリスクはとても大きなものじゃ。 まだそのリスクがなんなのかもわからない今、ここに置いておくのは危険だと言いたいのだろう?」


ガルトは小さく頷く。


「そして今、竜族にはガルトを加え大きな戦力がある……無理にあの人間を駆使する必要はない」


シャカラはそう言って俺を睨んでくる。

俺はシャカラになにか言い返そうとしたが、それより先にガルトが口を開いた。


「ここからが我の提案だ」

ご閲覧ありがとうございました!


さぁて……次回はどっち投稿しようかなぁ……

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