27話 年寄りを馬鹿にするんじゃない
〜〜ヘイロンside〜〜
「じじい! 俺はラルナ達を!」
「ああ、頼む」
「コウ。 余は何をすればいい」
「コウには敵の足止めを頼みたい。 できるか?」
「考えるのは苦手だが、力には自信がある。 余に任せのだ」
青爺はそう言うと、空に飛び上がっていった。
「ヘイロン。 儂とお主で竜族の避難じゃ。 お主はラルナ達を見つけ次第全力で守れ」
「青爺だけで大丈夫なのかよ」
「避難が終わったら直ぐに儂も駆けつける。 ……いや、もしかしたらもう避難は終わっているかもしれんな」
じじいは、そう言って口の端を上げた。
「……?」
俺は、じじいの言っている意味がよくわからず首を傾げた。
「ゆっくりはしてられん。 動くぞ!」
「お、おう」
〜〜ラルナside〜〜
「うッ……!」
眠りから覚め、暗い森を歩いていると、突然風が私達を強く打った。
私はそれを受け、小さく声を上げた。
「大丈夫? ラルナ」
「う、うん。 それより今の……」
「なんか、おかしな風だったね」
「……」
なにか、おこったのかな……
「リュカ、戻ろう。 嫌な予感がする」
「うん……」
〜〜ヘイロンside〜〜
俺とじじいは、村の竜が寝ているであろう広場にやってきた。
「これは……」
「やはりな……」
しかし、そこには月に照らせれて光る緑しか広がっていない。
「おそらくアノクダツの奴だろう。 事態にいち早く気づき皆を避難させたのじゃ」
親父の奴も、気づいてたのか……
「避難する場所は決まっておるはずじゃ。 ヘイロン、わかるな」
「この浮島の真下だろ。 わかってる」
「うむ。 恐らくそこにラルナも一緒にいるだろう。 お前が合流した次第ここから離れるのだ」
「……じじい達はどうすんだよ……まさか、死ぬつもりじゃ……」
「馬鹿を言うな。 儂を誰だと思ってる」
「……」
「……借りた物返しに行くだけじゃよ」
険しい顔でじじいはそう言うと、敵がいるであろう方角に飛び去っていった。
じじい、後で直ぐに行く……!
〜〜青竜side〜〜
コウに頼まれて足止め役を受けたが……
「うむぅ……この数……」
青竜の目の前には、10を超える数の敵が立ちはだかっていた。
さて……どうするか……
「貴様が王竜か?」
目の前の敵が、青竜をじっと見つめながら問うた。
「……人の名を聞くときは、まず自分から言うのが筋というものではないのか?」
「……よかろう。 私の名はスレーン・ド・ラジット。 ヴィシュヌ様に使えるもの。 貴様の名はなんだ」
スレーン・ド・ラジット……
確か、ヘイロンが戦ったと言っていた奴か……
「余の名は青竜」
「守護神竜の一匹か……」
「ならばどうする」
「放っておいても良いが、どの道貴様も死ぬ。 今、殺しても構わんだろう」
「舐められたものじゃのう。 まるで余を殺せる力を持っている前提で話おる」
ラジットは、それ以上口は開かずに青竜に有無を言わさずに向かっていった。
この地を壊す訳にはいかんからな……6割……いや、5割くらいじゃな。
青竜は翼と手を大きく振りだす。
「ッ!?」
ラジットは、その行動の意味を考える暇もなく、片足を切り取られた。
「ぐぅあが……!」
痛みに悶えながら、ラジットは青竜から距離をとった。
「鳥ども……あんまり年寄りを馬鹿にするんじゃないぞ」
〜〜ヘイロンside〜〜
「皆の者! 落ち着くのだ!」
指示をだす親父の声が聞こえてくる。
あれか…!
「親父!」
「ヘイロンか!」
俺は、勢いを殺さずに地面に着地した。
「無事で良かった、ヘイロン」
「そんなことより、ラルナとリュカは!」
「なに? 一緒ではなかったのか!? ここにはいないぞ!」
「なんだと!」
くそッ!
じゃあ、まだあそこにいんのかよ!
「親父! あんたは皆を連れて逃げろ! じじいからの命令だ!」
「……わかった」
一瞬、顔を曇らせたが、親父は頷いた。
無事でいてくれよ……ラルナ! リュカ!
〜〜ラルナside〜〜
「嘘……誰もいない……」
戻ってきたそこには、竜族の皆は既にいなくなっていた。
「ちょっとぉ! どうするのよリュカぁあ!!」
私はリュカの頭を揺らしながらそう叫んだ。
「僕にいわれてもぉおぉおぉお……お?」
「ん? どうしたのリュカ?」
「う、上見て……」
私は、リュカの頭から手を離し空を見上げた。
「……ッ!!」
空には、見知らぬ鳥の化け物達を圧倒する青爺と王竜のおじいさんの姿が見えた。
風の刃に……炎……?
「青爺に王竜のおじいさん……あんなこともできたんだね」
前に、ヘイロンが王竜のおじいさんはランク外って言ってたけど……これの事だったんだ。
炎を吐き圧倒するおじいさん。
風を操り切り裂いてく青爺。
……!
見惚れてる場合じゃない!
「リュカ! ここから逃げよう!」
「いいや、それはダメだ」
「え……きゃッ!」
聞き覚えのない声に驚き振り返る前に、私は何かに吹き飛ばされ、後ろの木にぶつかった。
痛みで私は一瞬息ができなくなったが、思考は働いていた。
この声……あの時の……
「ラルナ!」
吹き飛ばされた私に近づき、リュカが顔を覗いてきた。
「大……丈夫」
「良かった……」
「安心しろ……女は殺す気はない」
私は、声のする方を睨んだ。
「やっぱり、あんただったのね。 ラジット」
「ほう……覚えていたか、私の名を」
そう言って、近づいてくるラジットの前に、リュカが飛び出していく。
「グゥルルルゥゥ……」
「ッ! ダメリュカ! 逃げて!」
「グゥルルルゥゥ……」
「犬っころ……ちゃんと私の話を聞いていたか。 私は、女は殺さんと言ったのだぞ」
「…………本当?」
「ああ、本当だ。 ………女はな」
次の瞬間、リュカは横に勢いよく吹き飛ばされた。
「リュカッ!!」
吹き飛ばされたリュカは、大きな音を立て木を折っていった。
「リュカ! リュカ!」
「少し黙れ」
「うくっ……!」
私は、ラジットの足で掴まれ、握り締められた。
「う……ゔ……」
息が……
リュカ……リュカ……
私は、身をよじりリュカの方を見た。
だめ……土煙のせいで何も見えない……!
大丈夫だよね……リュカ……
私は、あまりにも衝撃的な出来事に涙が流れていることにも気付かなかった。
そして、そのまま私は意識を手放した。
ご閲覧ありがとうございました。
いやぁ〜……もっとサクサク投稿できると思ったら、まさか二週間もかかってしまっていたなんて……
これもそれも、何もかも口内炎のせいだ!
きっとそうだ!
ということで、次からはもうちょっと早めに投稿できるよう頑張ります……




