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26話 能ある鷹は爪を隠す

〜〜ラルナside〜〜


いつの間にか寝てしまっていたのか、辺りはすっかり暗くなり、村の竜は皆丸まって寝てしまっていた。


竜の寝息と風に揺れ擦れる葉音が、すこしうるさく感じられる。


なんでこんな時間帯に起きちゃったかなぁ……


「はぁ……」


「んぅ? どうしたのラルナ?」


私のため息の音で起きたのか、リュカが首をあげこちらを見てそういった。


「ちょっと目が覚めちゃってね。 やだなーって……」


「ふーん……」


「あんた、興味ないなら最初から聞かないでくれるかな……」


私はそう言って、もう一度ため息をついた。


そういえば、ヘイロンまだ見てないけど……どこ行っちゃったんだろう。


暇だしヘイロン探しがてら、散歩でもしよっかなぁ。

眠くなったら、また戻ればいいだけだし。

……ちゃんと戻れるかわからないけど。

ま、いっか。


「ん? どっかいくの?」


「ちょっと散歩にね」


「なら僕もいくよ!」


「シーッ!! あんた声うるさい……!」


「それに、ラルナ一人じゃ心配だしね」


「暇なだけでしょ、あんた」


「いやいや、僕も一応ラルナの護衛役だからね。 ちゃんと守らないと」


「守られた覚えあんまりないんですけど……」


「きっと忘れてるだけだよ」


「いや、ぜった……」


「忘れてるだけだよ」





〜〜ヘイロンside〜〜



「じじい。 やっぱり嫌な予感がする。 ここは早めに離れるべきだ」


俺は少し前から感じていた不安を、王竜のじじいと青爺に伝えた。


いつになく真面目な顔つきの俺の顔に、二人は呆気に取られているのが、顔を見てわかった。


「あのなぁ……俺だって一応色々考えてるんだぞ?」


「ヘイロンよ……お前は余と同じタイプの竜と信じておったのに……裏切られた気分だ……」


「そうか、俺はあんたとだけは一緒にはされたくないけどな……」


「昔はあんなに可愛かったのにのぅ……反抗期というやつか……」


「アオ……また、話がずれておるぞ……」


「おお、すまんすまん。 続けてくれ」


そう言って、青爺は言葉を止めた。


たく、話し合い参加しねぇなら、ちゃちゃ入れるなっつうの。


「ヘイロン。 さっきの話だが、なにか根拠はあるのか?」


「根拠は……ない……けど、なんかひっかかるんだ……」


「ひっかかる?」


「ああ。 ついさっき感じただけなんだがよ。 なんか上手くいきすぎてるっていうか……」


「うーむ……」


「なんじゃ、お前も結局余と同じでなにも考えておらんではないか」


「あんたは考える脳すらないだろ。 すこし黙ってろ」


「そんな酷いことを言ったら余は泣くぞ。 大声で泣くぞ」


「勝手に泣いてろよ……」


はぁ、話が全く進まねぇ……

てか、青爺ってこんな馬鹿だったけか?

昔はもっとこう……いや、こんなもんだったか。


冷たい風が、枯葉を巻き込み吹きつけてくる。


わからねぇこと考えててもしかたねぇか……

それだったら、今分かる事を話したい。

今分かる事……


そう言えば……


「なぁ、じじい。 あの鳥のやつはいったい……」


「そういえば話しておらんかったな」


「…………」


「……やつの名はガルトマーン」


やっぱり……そうだったのか……


「…………」


「驚かんところを見ると、なんとなく察しはついていたようだな」


「まぁな」


「お前も奴から聞いているかもしれんが、ガルトは味方じゃ」


「ガルト?」


「奴にそう呼んでくれと言われてな。 マーンとは、王という意味なのだそうじゃ」


この口ぶりからして、じじいはもうガルトマーンと会ってたんだな。


「王……あいつ敵側の王なんだよな。 それが俺達に着くってことは、やっぱり……」


「うむ。 敵側に反乱か何かが起きたのだろう。 それが暴走を続け、儂等に飛び火が来たのか……それとも……」


「それとも……?」


「王が変わり、一族の在り方そのものが変わり、好戦的になったのか……」


「どっちもありえるな……」


「いや、おそらく後者の方が色が濃いだろう。 反乱であれば、少なからずガルト派の奴らも出てくるはずだ。 しかし、ガルトは一人で動いておった」


「じゃあ、ガルトを超える新たな王がいるってのか……冗談キツイな……」


「それはまだわからん。 実際、ガルトより強い王がいたのなら、そいつを含め全員で押しかけられたら竜族は簡単に滅ぼせたのだからな。 だが、奴らはそれをしてこなかった」


「…………」


「それを、しなかった……だけかもしれんがの」


「脳ある鷹は爪を隠す……か……」


ずっと黙っていた青爺が、間を空けてからそう言った。


「というかコウよ、なぜそれらを直接ガルトとやらに聞かんかったのだ」


「ガルトも急いでおったのだ。 簡単な会話しかまだ儂もしておらん」


二人の会話が続く中、俺は青爺の言葉を何度も頭の中で繰り返していた。


やっぱりひっかかる……

なんなんだ……この不安は……


脳裏にパクシャの言葉が浮かびあがる。


もう、平和ボケじゃいられねぇんだ。

考えろ……


脳ある鷹は爪を隠す……


爪を隠す……


村での戦いが終わり、傷を癒してから、俺達はここまで無事に来て……

無事……?


いや、違う……


「そういうことだったのか……!」


「うむ?」


「なんでこんな簡単な事がわかんなかったんだ!!」


俺の声を聞き、青爺も王竜のじじいも話を止めた。


「俺達ははめられたんだ! ここを見つけるために、あいつらは村の竜族の移動を見逃した! 爪を隠したんだ!」


俺が叫ぶのとほぼ同じに、強い風が吹き荒れた。

それは明らかに不自然で、その場にいるもの全員がなにによって生まれた風なのかを悟ることができた。


「ヘイロン。 お前の予感は当たっていたな。 じゃが、少し遅かったようだ……」


「竜族の皆を起こすのだ……急襲じゃ……!」

ご閲覧ありがとうございました!



すみません、投稿少し遅れてしまいました。


というのも、久しぶりにこの小説を書いてくと、どうしても「異界人」のほうのネタ感が入ってしまいそうになるんですよね……


この「ナーガ・ラージャ」では、言ってしまえば「ハンターハンター」的な感じなシリアス感を出したいんですが……


うーん……ナレーションでも入れてみようかなぁ


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