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25話 守護竜 青竜

〜〜ヘイロンside〜〜


なんやかんやがあって……


「ほらよじじい。土産だ」


俺は王竜のじじいの目の前に、狩った熊兎を投げ置いた。


「なぜ土産が熊兎なんじゃ……」


「仕方ねぇだろ。文句があるならこのバカに言ってくれ」


俺はそう言ってラルナを睨んだ。


「バカって誰のことかしら……!?」


「自分の胸に聞いてみろよ……! このバカ!」


「ま、まぁまぁ二人共その辺にしときなよ」


「お主らは相変わらずその調子なのじゃな……」


じじいは、俺達の会話を見ながら苦笑いを浮かべた。


「しかし、本当に良かったのう。無事にここにつけて」


「あぁ、確かにな。俺もちょっと驚いてる」


正直、ここまで来るのに一戦はあると思っていた。

たどり着けるのも……半数いけば良い方だとおもってた。


「それより、僕お腹空いちゃったよ〜……」


「お前なぁ……」


「リュカ、少しは空気読みなさいよね……あんた」


「ワハハハ!!リュカも相変わらずじゃのう!」


「エヘヘ〜〜」


「なんで照れてんのよ……」


「ったく……そこにある熊兎でも食ってろ」


「いいの!?」


「その代わり静かにしてろよ」


「うん!わかった!」


それだけ言うと、リュカは熊兎にかぶりつき始めた。


その場に咀嚼音が響く。


あいつは本当に、エアークラッシャーだな。

つか、静かにしろっつたろうに……


「ゴホン……とにかく、無事でなにより……いや、無事とは言えないか」


じじいは、親父の横腹の傷と、肘から無い右腕を見てそう言った。


「これぐらい大丈夫です」


「嘘をつくでない。お主の口から聞かなくとも、その傷を見ればわかる」


「……」


「……すまぬな」


「な、なぜ王竜様が……! ……この傷は、私がただ単に未熟者だったが故にうけた傷です」


「いや、本来ならば儂が助けに行かなければならなかったのだ……謝らせてくれ……」


じじいはそう言って、静かに頭を下げた。


……違う……親父が傷を負ったのは、親父のせいでも、じじいのせいでもない……俺のせいだ。

俺が弱かったせいだ。


俺は、そう声を出そうとした。

でも、出なかった。


………


結局それは出せないままに、会話は進んでしまった。


「……そういえば、あの助けてくれた鳥の化け物ってどこいっちゃったんだろうね」


リュカが、食べるのを止めてそう言った。


「その事についてなのじゃがな……」


「ちょっと待ていッ!」


「「!!??」」


突然空から響いてきた大声に、俺は……いや、その場にいた全員が、体を震わせた。


この声……!


俺は、すぐにそれが自分の知っている竜の声だというのがわかった。


帰ってきてたのか!


「青爺!!」


「青竜様!? 外海の旅から帰っておられたのですか!?」


俺達の驚いた反応をニヤニヤしながら見た後、青爺はゆっくりとその場に降りてきた。


「え、誰なのあの竜」


「青爺?青竜様?」


リュカとラルナがそう言いながら、こちらに近づいてきた。


「青爺、俺と同じ守護竜の一人」


「そして、儂と同じ龍の力を持つ竜……」


「守護竜 青竜様」


「ひっさしぶりじゃのう!ヘイロン!アノクダツ!」


「アオよ、もう少し遅く帰ってきて欲しかったのう……タイミングが悪い」


「余は余のタイミングしか知らぬのじゃ! コウよ、まだまだ甘いのう!ガハハハ!」


「なぜそれで甘くなるのじゃ……」


「お?」


青爺は、少しじじいと喋ると、リュカとラルナの方へと顔を向けた。


「主らが、人間のリュカと、人狼のラルナか?」


「逆な、青爺。人間のラルナと、人狼のリュカだ」


「おお!そうであったか!すまんすまん!」


青爺はそう言って無邪気な笑顔を見せた。


「ちょ……ちょっとついてけないんだけど……」


ラルナは小声でそう言ってきた。


「心配すんな、すぐ慣れる」


「慣れるまでが心配なのよ……」


「大丈夫だ、ちょっとテンションが高いだけだからよ。それにほら、リュカを見てみろ」


「よろしくね!青いおじさん!」


「うむ!よろしく頼むぞ!リュカ!それと、青爺で良いぞ」


「わかった!あおじさん!」


「あおじさん?ガハハハ!!それも面白いのう!」


「アハハハ!」


「ガハハハ!!」


二人は声を合わせて笑っている。


「相性ピッタリね……」


「お前もあんな感じで接すればいいんだよ」


「無理よッ!」


その日は、青爺の乱入と、疲れてたというのがあり、話はそこで終わった。


というか、勝手に終わってた。




〜〜ラルナside〜〜



青爺の乱入があって、話がめちゃくちゃになった後、私とリュカはアノクダツさんと一緒に村の竜の皆の元へと向かった。


王竜のおじいさんのこの浮島はそんなに広くない。

四つほど大きな広間があるけど、二つは水浴び場とおじいさんの寝床になってる。

そしてあと二つは、今は虯の村の竜達の住処になってる。


私達人間にしたら広い方なんだけどね……

竜にとっては狭いんだろうなぁ……ここ。


そんな事を考えながら歩いていると、リュカが話しかけてきた。


「ねぇ、ラルナ。ヘイロンどこ行っちゃったんだろうねぇ」


「さぁ? あいつ、勝手にどっか行っちゃったからね」


「お腹空いたのかな?」


「あんたじゃあるまいし……アノクダツさんは何か聞いてる?」


「いや、私も何も」


「アノクダツさんも知らないかぁ……」


「そもそも私はヘイロンと……あまり話せないからな」


アノクダツさんは、そう言って私達に歪んだ笑顔を見せてきた。


私もあの時はあんな事言ったりしたけど……ヘイロンもそろそろ……

でも……


「そういえばアノクダツさん」


リュカの言葉で、私の思考はプツンと断ち切られた。


「さっき、あおじさんが帰って来た時に、ガイカイ?から帰ってきたとかって言ってたけど、ガイカイってなんなの?」


「あ、それ私も少し気になってた!」


「む?外海を知らないのか?」


「うん」


「そうか……知識の豊富な人間でも知らないのか」


わ、私が知らないだけだったりするけど……


「この大陸は海に覆われているだろう? その海の外。それを外海と呼ぶ」


「海の外って……あの海の!?」


「ああ。そこにはまだ未知の大陸があるはずだ。それを探しに青竜様は旅に出ていたのだ。今回は見つけられなかったみたいだが」


そっか……あれだけ広いんだから、同じような大陸があってもおかしくないもんね……


「見つけられた事はあるの?」


「一度だけあったみたいだが、その大陸には人も竜もいない……ただただ森の広がる小さな大陸だったそうだ」


「そうなんだぁ」


新しい大陸かぁ……

ちょっと気になるなぁ……私も。


風の音に混じり、村の竜の喋り声が聞こえてくる……


「そろそろみたいだな」


「案外近かったね」


「うん」


その後、アノクダツさんは村の皆に、話し合った事というか、青爺の事なんだけど……

それを報告してた。


その後アノクダツさんは、どっか行っちゃったけど、多分二つ目の広間に行ったんだと思う。


「アノクダツさんも大変だね」


「それよりヘイロンはどこに行っちゃったのよ……」


「ヘイロンいないと寂しいね」


「別に私はそんな事思ってないけどね」


「本当にぃ?」


「……なにが言いたい訳?」


「いやぁ、ラルナって実はヘイロンの事が……」


「打つよ」


「ごめんなさい……」

ご閲覧ありがとうございました。

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